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1kb SS劇場 ゲスト公演2

1024バイトで超短編を書こうという遊び。
下のリストから各話に飛びます(付きは18禁です)。

  1. 心淵
  2. 桜陵辱
  3. 受け継がれる遺志
  4. ちちカルチョ補追編1
  5. ちちカルチョ補追編2
  6. ちちカルチョ補追編3
  7. 黒髪
  8.   
  9. ヨルニアルク
  10. 寝たふり
  11. 散歩
  12. ゴーストゴシップグラマラス別解
  13. ラッパのマーク味
  14. 姫君の衝動


  1. 心淵

     タスケテ。

     きょうはじめてはいったまきひささまのへやで、まるでにんぎょうみたいにわたしのからだがうごかないのは、どうしてなんだろう?

     タスケテ。

     さっきまでまきひささまが、わたしのおなかをけったりくびをしめたり、なにかこわいものをわたしのなかにつきさしていたのは、どうしてなんだろう?

     タスケテ。

     あんなひどいめにあったのに、だれもたすけにきてくれないのは、どうしてなんだろう?

     タスケテ。

     わたしとひすいちゃんの、うまれてはじめてのたんじょうびいわいのはずなのに、わたしだけがまきひささまのへやによばれたのは、どうしてなんだろう?

     タスケテ。

     わたしがこんなにこわがってるのに、やしきのなかにひびくくらいひすいちゃんのわらいごえがきこえるのは、どうしてなんだろう?

     タスケテ。

     まどのそとにはきもちがいいくらいのあおぞらがひろがっているのに、わたしのこころがまっくらですごくさむいのは、どうしてなんだろう?

     タスケテ。

     わからない、なにもわからない。ねぇおねがい、だれでもいい、だれか、だれか、

     タスケテ、

     タスケテタスケテ、

     タスケテタスケテタスケテ……



  2. 桜陵辱

    「ソラッ、こっちへ来るんだっ!」
    「いやっ、許してください、兄さん……」

     慎二は力なく横たわる桜の髪を掴んで引き摺り上げた。

    「あ……う……」
    「はぁ? 許してくれ? 何様のつもりだよ、おまえ」

     苦しげな桜の様子に慎二は唇を歪める。

    「おまえは僕のものだろう? 黙って従ってれば良いんだよ!」

     桜の白い肌に凶器を押し付ける。
     抵抗できない桜の身体を思うままに蹂躙する。
     そして。

    「ふん、お前にはその姿がお似合いだ。いいか、帰るまでそのままだからな」
    「そんなっ。こんな姿、その、先輩には……」

     全てを終えた後で、桜を絶望へと追い込む宣告。
     せいぜい衛宮に見つからないようにするんだな、と言い残す。

    「う、うう……」

     桜に出来た事は、ただ嘆く事だけ。
     しかしそれも。

    「桜?」

     今、会える訳の無い人の声を聞くまでだった。

    「いやっ! 見ないでください先輩っ! こんな、私を、見ないで……」

     激しい拒絶。
     それに戸惑いながらも、士郎は尋ねた。

    「どうしたんだ、その……」

    「……額にマジックで書かれた『肉』は」
    「いやぁぁぁぁっ! 見られたぁぁぁぁぁっっ!!(涙」



  3. 受け継がれる遺志

    「そうそう、切嗣さんってロリコンだったのよぅ」
     ガチャン。
     その衝撃に洗っていたお皿を取り落とした。
     その、俺が正義の味方だと信じていた男がその為に手段を選ばない男だったというのは聞いた事がある。
     だが、今のはそれ以上の衝撃だった。
     ヤツが、あの男がよりにもよってロリコンだっただと!?
    「……嘘、だろ?」
     思わず愕然として問い返す。
     対して藤ねぇ。
    「マジよー。なんたって当時中学生だった私に手を出してさー」
     しかも趣味悪いっ!?
     とっさに連想されるイメージ。
     瀕死の床についた切嗣と俺。


    『――僕はね、ロリコンになりたかったんだ』
    『安心しろ。爺さんの夢は俺が――』


     お、俺がぁぁぁっ!?
     その瞬間。
     俺の世界が崩壊。

    「うあああっ! 親父ぃっ、俺からの手向けだっ! あの世で藤ねぇと仲良く暮らすがいいいぃぃぃぃっっ!!」
    「ちょ、ちょっと士郎、冗談だって、きゃーーっ!?」

     艦橋にバズーカでもブチ込んだよーに大荒れ。
     珍しく逃げ惑う藤ねぇを追いかけて暴れまくり。
     ドカン、ズゴォォンとかあからさまに物騒な破壊音を撒き散らしながら……

     この日、衛宮邸は跡形も無く崩壊した。



  4. ちちカルチョ補追編1

     手が、その双丘に触れる。
     ……いや、触れるなんてものじゃない。
     彼女の後ろから、揉みしだく。
     弾力のあるそれを力強く、力強く、そして優しく。
     敏感な所を戯れに摘み上げれば、彼女の口は嬌声を洩らした。
     耐えるような、浸るような、そんな声。

     声を聞きながら思う。
     不思議な事もあったものだと。
     彼女とこうしていることが、ひどく不自然な事のようで。
     けれどそれでいて、とても自然な事のような。
     両の手で乳房を弄びながら彼女の首筋に口づけをする。
     吸い上げるわけではなく、ただ唇を触れさせるだけの行為。
     ――傷は残さない。
     そんな事をすれば、――に怒られてしまう。
     ふと、彼女の潤んだ瞳と目が合った。
     彼女の肩越しに見詰め合う。

     「……気持ち良い?」

     何気なく、そんなバカな事を聞いた。
     彼女は乱れた息のまま、コクンと頷く。
     その様子が、ひどく可愛くて――わからなくなった。
     それは自分の感情なのか……自分の中の何者かなのか。
     守るという行為がまるで代償行為のように思えて、考えないために激しくした。
     気がつけば、彼女が見上げるその先には、白く光る月が、ある――

    Syunsukeの馬鹿企画 ちちカルチョ 月姫編 で取り上げなかったキャラについて頂いた作品です。


  5. ちちカルチョ補追編2

     乳房にそっと触れようとしたら、身体をビクリと震わせた。
     緊張してがちがちになって、きゅっと瞳を閉じている。
     彼女の様子に苦笑しながら、ゆっくりと両手で揉みしだいた。
     できる限り優しく、快楽をというよりも緊張をほぐす意味合いで。
     黙って何かに耐えるのを見ていると、初めての時を思い出す。
     あの時は、愛撫している途中で泣き出してしまった。
     ゴメンなさいと繰り返しながら、ぽろぽろと涙を零して。
     緊張していたのか、何かに怯えていたのか。
     未だに判断はつかないけれど、とりあえず今日は大丈夫みたいだ。
     彼女の様子を窺いながら、きゅっと乳首を摘んでみた。
     またも彼女はビクリと震える。
     確かあれは二回目の時。
     乳首を強く摘んだら、突然の刺激に驚いて、ベッドの上で漏らしてしまった。
     そのことであんまり取り乱すから、その日はそこまでにしたんだっけ。
     指先でソレを弄びながら彼女の顔を眺める。
     目の端に涙を浮かべているけど、今日はまだましな方。
     念のために聞いてみる。

    「気持ち良い?」

     答える余裕は彼女にはない。
     返事がない事に嘆息して、思った。
     今日こそは最後まで、いけるのだろうか――?

    Syunsukeの馬鹿企画 ちちカルチョ 月姫編 で取り上げなかったキャラについて頂いた作品です。


  6. ちちカルチョ補追編3

     服の上から、その胸に触れる。
     本当に良いのかと視線を合わせると、穏やかに微笑み返した。
     戸惑いながら、徐々に徐々にその動きを強くしていく。
     指先が触れた先端はすでに硬く、たまらず貪る様に吸い付いた。
     布越しの愛撫。
     彼女は頬を赤らめ、照れたような表情で、でも止める事は決してしない。
     全てを見透かしながら、その上で微笑む。
     だからと言って気を抜けば何をされることやら。

    「気持ち良い?」

     聞いてみると、彼女は嬉しそうに頷く。
     単純に快楽におぼれているわけじゃない。
     ようやく自分の手の中に入ったと、それを喜んでいる。
     見せる感情も嘘じゃないだろうけど、その実計算高くて、嫉妬深いのだ。
     艶のある光景のはずなのに、どこか喜劇めいているのは彼女の喜びようが強すぎるからなのか。
     そもそもが演じている様な存在の彼女は、端から諦めていたような節さえある。
     それが叶えられたのだから、その喜びようもわかるというもの。
     だから今この時だけは、彼女の恋人で居ようと思った。
     お互いの関係を表す言葉は多いけれど、ただ、今この時は恋人と。
     たとえ二人の会えるこの時が、夢の中での話としても――

    Syunsukeの馬鹿企画 ちちカルチョ 月姫編 で取り上げなかったキャラについて頂いた作品です。


  7. 黒髪

    「あの、兄さん」
    「うん?」
     志貴の顔が真下に。
     すると見上げる秋葉の顔。
     やや妙な構図。座した志貴に背を預けていた秋葉がそのまま半ば寝そべった格好。
     だから、ちょうど上下に位置している。
    「さっきから、ずっと髪を」
    「え、ああ」
     初めて気づいたといった顔。
     その手は、まだ漆黒の流れの中にあった。
     特に言葉もなく、裸のままゆったりとして。
     志貴の手はたえず秋葉の髪に潜り、梳き、弄んでいた。
    「凄く手触りが良くてさ、気持ちいい」
    「私も兄さんに触れられると、身震いするほど」
     会話をしつつ手は、愛撫するが如く動いている。
    「こんな綺麗な髪の毛が……」
     口篭る。
    「何です。言ってください」
    「……汚されても、まだ綺麗かなあって。思っただけだぞ」
    「汚す?」
    「それは……」
    「もしかして、これでですか」
     秋葉の手がするりと動く。
    「あ、秋葉、握るなって」
    「いいですよ、兄さん。それでも、綺麗だと思ってくださるか、試してみたいです」
    「いいんだな」
    「ええ」
     志貴は立ち上がり、秋葉は自分の手に髪を絡めてそれを包み込む。
     僅かな動き、そして……。
     黒髪に、白い花散る。



  8. ヨルニアルク

    「寒くない?」
     幹也の声に藤乃は頭を振った。
     たしかに今夜は風もなく、そう寒くはない。
     ここしばらくの冷え込みからすれば、暖かいといっても良いかもしれない。
     それでも、自分に向けられた自然な気遣いの心に対して、藤乃は軽く微笑む。
     幹也は頷き、手にしていたコートに袖を通した。
     畳んで持ち歩くのも邪魔なのだろう。
     黒い薄手の生地。
     先程まで着ていたそれを、藤乃は眺めた。
     少しだけ惜しむ気持ちが起こっていた。
     手がすっぽり隠れ、足首まで裾が掠める幹也の服は、暖かく優しい感触だったから。
     でも幹也さんが着ている方が似合うと、小さく心の中で呟く。
    「じゃあ、行こうか」
     幹也の声に今度は頷き、そして、少し困った顔に変わった。
    「どうしたの? あ、外れそうなんだ。いいよ、直してあげる」
     幹也の指が髪に触れる。わざとだろうか、頬に触れ、喉を滑る。
     些細な事なのに、驚くほど意識してしまう。
     夜に二人だからだろうかと藤乃は考える。
    「これでよしと」
     視線が交わる。言葉によらぬ交感。
     幹也は歩き始めた。
     藤乃も続く。
     ちゃらりと、二人を結ぶ鎖が小さく音を立てた。

     了



  9. 寝たふり

     目をつぶっている。
     ベッドで目覚めて、傍らにいたあの人が体を起こしたのがわかったから。
     こうして、寝たふりを続けていたら、どうするだろう。
     わたしを起こしてくれるだろうか。
     いつもの優しい笑顔で。
     藤乃ちゃん、朝だよ。
     暖かい声。
     その声に従って、目を開けると、間近に幹也さんの笑顔。
     うん、それは、なんて素敵な目覚めだろう。
     
     それとも、他の起こし方。
     声をかけられて、それでも眼を覚まさなければ。
     肩を軽く揺すられても知らん振り。
     困った幹也さんの近寄った顔が、耳元で囁いて。
     ぞくぞくするような震えを、それでも堪えていたら。
     ふいに息がわたしの唇を掠めて。
     そして……。
      
     目覚めのくちづけ。

     あ、ああ。
     わたし、何を考えているんだろう。
     恥ずかしい。
     こんな事を考えていると知ったら、幹也さんどう思うだろう。
     顔が赤くなりそう。
     もうなっているかも知れない。

     でも。
     でも、どうして。
     わたしは、まだ目を瞑ったままなのだろう。
     そろそろと顔を少しだけ上に向けたりしているのだろう。

     さあ、早く起きてしま……あっ。


      了



  10.  冷たく澄んだ水に潜るのとは違う。
     熱いお湯に浸かるのとも違う。
     生ぬるい。
     もっとあった筈の熱は既に失せている。
     中途半端。
     でも、気持ち良かった。
     身に何も纏わず裸で、手を広げて体を浮かべていると。
     四肢も、体も、顔も、長い髪もすべて濡れている。 
     ずっとこうしていたらどうなるだろう。
     周りは液体。
     囲まれて。
     沈んでしまうだろうか、いずれは。
     この中に沈み、肺の中まで侵入され。
     ついにはきっと溶けてしまう。
     没していく、遠野秋葉という存在。
     それは何だか怖かったが、同時に安らかな感じもあった。
     体温と同じ温度の液体は、どこか優しかった。
     溜息を洩らす。
     今は顔だけが水面に出ている。
     危うい均衡で浮いている状態。
     体を丸めれば、沈み始める。
     ゆっくりゆっくりと。
     たゆたう。
     それは……、ああ。
     似ている。
     母親のお腹の中の胎児に。
     これは羊水。
     胎内回帰。
     それならば、安心できるのも頷ける。
     これほどの安らぎはそうは得られまい。
     今の私のようには。

     息を止めて沈んでみた。
     白く濁った羊水、満ち溢れた兄さんの精液の中へと。

      了
     
     



  11. 散歩

     月の綺麗な夜だった。
     散歩には具合がよい。
     寒くもなく、暑くもない。
     ゆっくりと歩く。
     一人で歩いている時よりゆっくり。
     手にした散歩紐がぴんと引っ張られないように。
     首輪が締まっては可愛そうだ。
     彼女は四足で歩くのに慣れてはいない。
     もとより急ぐ理由は何もない。
     でも、ふと考える。
     こんな事をしているのを誰かに見られたら、破滅だろうなと。
     無理強いではなく。
     むしろ彼女からせがんだのだとしても。
     そんな道理は通用しまい。
     年下の女の子に対しての非道な所業。
     万が一合意の行為だと認められたとしても、それで終わりとはなるまい。
     でも、止めようとは思わない。
     異常だなと思う。
     でもそれを忌避する気持ちがない。
     何故だろうと考えて、朱鷺絵さんという名前が浮かんだ。
     苦笑する。
     そうだ。
     異常であっても受け入れさせられてしまったのだ。
     ならば仕方ない。
     気が付くと彼女が先に進んでいて、こちらに顔を向けている。
     白い背中から首筋の剥き出しのラインが、月明かりに妙に光って見える。
     ああ、綺麗だ。
     不思議そうにこちらを見る彼女に頷きを返して、また歩き始めた。

      了



  12. ゴーストゴシップグラマラス別解

    「毛布は約束通り手配しておきましたから。
    エミヤ様がお部屋に戻る頃には届けられているかと」

     深夜のアインツベルン城のゴーストゴシップはようやく幕を閉じた。
     後はセラと別れて部屋に戻って寝るだけ、なのだが。
     別にそれでも良かったのだけど。

    「ちょっと待ってくれ」
    「何でしょうか」

     それでは、と今にも立ち去りたそうなセラを引きとめ、俺はおもむろに関係の無い話を切り出した。

    「――こんな話を知ってるか?」

     そう、むかし切嗣から聞いた、とある古城にまつわる怪談話の数々を。
     いやさっきの恐がったり、俺のシャツの端をヒシッと握り締めて付いてくるのとかがあんまり可愛かったもので、つい。
     昔は俺も藤ねぇも散々恐がらされたモノだが、今思えば、あの怪談は切嗣がアインツベルンの城に居た当時の話だったのかもしれないな。
     すっかり懐かしくなった俺は、延々と幽霊話を語り続けた。


    「お、お化けが恐いんじゃありませんからね? エミヤ様、変な事をしたら許しませんからね?」
    「はいはい」

     結果。
     寝袋の中には毛布と一緒にすっかり怯えたセラまで届いてしまったが。
     まあこれはこれで暖かいがナ。可愛いし。



  13. ラッパのマーク味

    「それ、苦いから嫌」

     今日、イリヤは腹痛。
     お薬、正露丸。

    「――――イリヤ。でも」
    「イヤったらイヤ! ……うー……」

     お腹抱えて唸ってるクセに、お薬は飲まない。――――困った。
     ちなみにセラ、動転して両腕一杯に湿布持ってきた。だから、全部セラの顔に貼った。今、酸素求めてもがいてて、役に立たない。――――こっちは別に困らないけど。

    「絶対飲まないからねっ! ……ううー……」

     さて。
     ベッドで可愛く警戒してるイリヤに、どうお薬を飲ませるか?
     ちょっと悩む。
     そして結論。

    「仕方、ない」

     溜息をついて実行開始。
     その方法。
     まず、イリヤを両腕でギュッと抱き締める。

    「何? 飲まないわよ?」

     続いて私が正露丸を口に含む。更に水も含む。
     そしてイリヤの顎をツイと上向け、おもむろに――――

    「……え、なに? リズ、ちょっとまさかっ、や、やめっやめぇぇぇっ――!?」
    「ンむ――――」


     ――――強制執行。

    「……ほろ苦い体験?」
    「単に苦いだけよっ!」

     追記。
     後でセラに「イリヤは大人の階段を一歩昇った」と言った。
     何故か今夜はお赤飯になった。



  14. 姫君の衝動

     朝から志貴は全裸だった。

     布団を剥いて驚いた。相変わらず志貴はねぼすけで、いまだすやすや夢の中。ちょっと癪だ。来てあげたのに起きないなんて。けれどその寝顔はとても綺麗で、心がほんわか暖かくなる。でも全裸。
     まあ、それだけなら別にいいと思う。わたしも初めて見るわけじゃないし、恥ずかしいけど眼福だし。だけど。

     ―――朝からシエルも全裸だった。

     こっちはなんて見苦しい寝顔。だらしなく弛みきった表情で。にへらと笑ってよだれまで垂らして。時々いやらしい手つきで胸板をさすりさすり。大体なんでこいつがここで寝てるのか。志貴はわたしのものなのに。
     側には仲良く並んだ二つの眼鏡。それが二人の関係に重なって見えて、なんだか無性に悔しくなった。
     確かに、志貴の恋人はこいつだって知っている。シエルが一番でわたしは二番。でも、だからって除け者はひどいじゃない。わたしもちゃんと愛してよ。

     居ても立ってもいられなくなって、服を脱いでベッドに上がった。志貴の体温が欲しかった。志貴。志貴。なんでこんなに好きなんだろう。隣で眠る女は気にしない。ただひたすらに貴方が欲しい。他に何も考えられないほど昂って、志貴の唇を貪った。


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