1024バイトで超短編を書こうという遊び。
下のリストから各話に飛びます(ゥ付きは18禁です)。
目覚めの瞬間の当惑も、朝に強い翡翠からはすぐに消えた。 ――志貴様の部屋。 隣には愛する人。安らか過ぎる寝顔に、あの強壮さは伺えない。あれも感応能力の影響だろうかと時折疑う。ならば、自分も望んでいるのだろう。昨夜の痴態を思い出し、翡翠は一人赤面した。 ――お体に障らなければ良いのですけど。 暴力的ではなく、むしろ優しい。ただ余りに激しくて翻弄されるのだ。 静かに体を起す。一糸纏わぬ肌に、情熱の跡が薄赤く残っていた。 全身を指と口で辿られて身も世もなく喘ぎ、一心に応えた。人が恥ずかしがることばかり求め、躊躇うと拗ねて見せる志貴に、結局毎度承諾させられる。 達するまで口唇で愛し、溢れた精を甘露のように飲み込んだ。己の行為の破廉恥さに今更悶える。羞恥に消え入りつつ嫌ではない。 身に注がれた時の感覚が蘇って陶然とする。知らず両手で肌を撫で回していた。小さな乳首が尖っていた。 ――でも、もう行かないと。朝まで一緒に寝て欲しいとの願いは叶えたはず。 求婚された今も、翡翠は志貴に仕える身のつもりだ。恋人の時間は愛しいけれど、そればかりが歓びではない。 「おはようございます、志貴様。今日も良い一日を」 |
早くしないと融けるし、と留守宅に上がった。ハーゲンダッツのストロベリーを冷凍庫に放り込む。まだ3つも入っていたのには自分で呆れた。 「居ないよな?」 一応、寝室まで見に行く。乱れたベッドを直すつもりが、代わりにそこに寝てしまう。二部屋ぶん一緒にしてある鍵がカチャッと音をたてたせいで、一月だけの同居人のことを思い出した。 「おまえ、ひょっとして、好きだったのか?」 今になって、そこに考えが及ぶ。事実なら、それだけでも変なヤツだし、不幸ってものだ。こんな社会不適合者達に関わったばっかりに、碌な眼に遭わなかったのだから。 魔術師の実験に巻き込まれたなんてことを憐れむべきかどうか。ただ、私のことを好きだったのかもしれない男なら、せめて時々は思い出してやりたい。 こんな風に惚れた腫れたが意識に上るなんて、と自分の思考に驚く。 この部屋の主のせいだ。あれもヘンな奴だけど、ベッドで他の男のことを思い出したりしてたら妬いてくれるかな。 ああ、私の頭の中はあいつばかりみたい。いや、シーツに残っている匂いのせいにしておこう。 思って、つい俯せになる。 そんな匂いが判別できたりする自分のことも、棚に上げておこう。 |
大抵、式は連絡も無くやって来るし、留守だったら勝手に上がり込んでいる。 そんなのは構わないけど、たまに仕事を持ち帰ってたりした時は暇にさせてしまう。 「ごめん、すぐ終わると思うから」 「別に、落ち着いてやってくれ」 ベッドにうつ伏せになってコンビニの袋を置き、そこにあった雑誌を手に取った。 って、それはちょっとまずい。 「それ、先月号だよ」 「どっちみち読んでないから関係ない」 一応男性誌だから取り上げる口実が欲しかったんだけど、あっさり否定された。別にポルノじゃないにしてもグラビアはヌードだったし。 「すけべ」 さっそく見たらしくて、笑われた。 「大概の雑誌にあるじゃない、それぐらいの」 「良いから早く仕事済ませろよ」 正論なので、従う。 一通り片付けて、式の様子を見る。いつも行儀が良いのに今は気を抜いているらしく、寝そべったままでポッキーを一本咥えていた。 気だるげな姿が新鮮に映る。 着物の裾がやたらに乱れていると思ったら、膝を曲げてパタパタさせたりしている。脚がちらちらと覗いていて、眺めてしまう。 「こら、早く終わらせろ」 雑誌に目を向けたままだけど、僕が見てるのはバレてたらしい。 |
朝、相変わらず安らかな志貴の寝顔を翡翠は恍惚と眺めていた。 「志貴様……」 反応は無い。 見慣れていなければ判らないほど小さく笑うと、頬を染めつつ、翡翠は未だ眠る主に顔を近づける。 「志貴様?」 やはり返事が無いのを確認して、こっそりと翡翠は唇を志貴と重ねた。微かな接触だが、それだけで少女は顔を真っ赤にする。 「志貴様」 深呼吸して平静を取り戻し、三度目の呼びかけ。刹那、志貴の両腕が跳ねて翡翠の首を捉えた。 「志貴様っ!?」 ベッドに引き倒され、その上抱き留められた。 「モーニングキスなら、目が覚めてからしてくれれば良いのに」 返事が出来ず、翡翠は黙り込んだ。 「ふふ、最近毎日してくれてたよね?」 指摘されて再び耳まで赤くなる。 「申し訳ありません、あのような不埒なことを」 からかう積りでしかなかった志貴は、過剰に詫びる翡翠に手を焼く。 「じゃあ罰ゲームをひとつして貰うから、それで終わりっ」 承諾する翡翠に志貴が告げる。 「今からもう一回、キスしてくれる?」 また絶句し、体まで硬直させた。 「はい」 やっと返事して、甘美な償いを果たす。 「明日から、毎朝しようか」 「……はい、志貴様」 |
「そんなに大きいの、本当に入るんですか? 兄さん」
休日、式を出し抜いて幹也と遊びに出かけた。向こうはともかく、わたしとしてはデート気分だ。 「無理です、裂けてしまいますっ」 |
エロティックな曲面を眺めていたら、捕まって抱き止められた。すべすべの肌に押し付けられて、ほのかな香りが快い。こっそり、随分セクシーなフレグランスを使っている。 指を引き込むように柔らかで、なのにしっかり形を維持して主張している二つの実を揉み始める。にやけてくるほど気色良いし、向こうも満足げな笑いを洩らしてくれる。 乳首の少し濃い目の色を揶揄しつつ、唇に包む。吸い上げて、周囲を舌先で辿る。先っぽはお預けにして、もう一方の丘にもキスした。たっぷり乳輪だけ舐めて尖塔に唾だけ残し、元の方に戻る。また焦らしていたら背中を引っかかれ、仕方なく要望に応える。すっかり期待に硬くなっていた舌触りに楽しくなる。 喘ぎ出したあたりで、やっぱり移動した。こっちも同じようになってるから、散々に突付きまわした。 「気持ち良い?」 こっちに向けた顔には、妖しい笑みが溢れている。緩んでいた口を慌てて閉じ、ごくんって涎を飲み込んでる。 自分も唾液が溜まっていたから、胸に落とす。舐めまくって双丘を濡らし、光らせる。餓えたみたいに肉を咥え、キスマークだらけにする。ぐにぐにと捏ねて遊ぶ。また先端を吸い立てる。 耳に届く声が、酷く淫ら。 |
「ほんとに、するんですか?」 |
外出許可を取るのも、わたしには珍しくはない。でも、流石に海に行くなんて目的では初めて。 「ほんとにプロポーション良いわねえ」 昨夜、水着を買いに連れて行かれた時に、試着室で鮮花はそんなことを言っていた。 水着のデザインとか、体つきがどうとか、正直言って良く判らない。自分の体に興味が無いのだ。 言われたように、鮮花より胸の膨らみが大きいことは事実らしい。 「だからって、それが『良い』ことになるのですか?」 真剣に尋ねたのだけど、鮮花は答える前に一瞬、不機嫌に黙り込んだ。 「真面目に訊いてるんでしょうけどね。世間的には、そうよ。そりゃ、好みは色々だろうけど」 実感は無かった。しかし、こうやって海辺に来た今、周囲の男の人たちの視線を集めているのは判る。何故かわたしばかり見られている。 あんな経験にも関わらず、男性が酷く怖いということは無い。 それは、あの人のお陰。 男の人だって、もちろん色々なのだ。 「ふじのー」 飲み物を買いに行っていた鮮花の声がして、わたしは立ち上がる。 「って、あんた、胸っ!」 切羽詰ったような言葉に、視線を下に向けた。 気が付かなかった。 ビキニが外れていたみたい。 |
「駄目です、兄さん、こんな」 鮮花には幾度と無く夢見たことだが、いざとなると拒絶が口に出る。 禁忌と、悦びと。 怖くはない。ただ、畏れはある。 満たされてはならない。 「あっ……」 餓えるほど欲しながら、叶えられたら壊れてしまう、矛盾。だけど息遣いを感じて、理性に反して躰から降伏して行く。寝間着の内に指が入り込み、肌を撫で、胸のふくらみを愛でられると、守りが崩れていく。 実家で親も居るのに。また拒むポーズを見せようとして、口を塞がれた。 乳首を摘まれ、喘ぐ。先端を擽られ、官能の甘さに蕩ける。 捲り上げて胸元まで露わにされ、羞恥に顔を背ける。その実、悦楽。 頂を包むように吸い付かれて、期待に震える。 ここに来て動いてくれない。 「兄さん……」 気が付くと、ショーツの中に侵入されていた。とっさに脚を閉じ、開くわけにも行かず、悶える。 指が女の谷間へと進んで行く。 意地の悪い囁きに、おずおず口を開く。 その褒美に、鋭敏な三つの突起を一度に責められる。 「ああっ……!」 甘美な電流に、白く弾けた。 「ん……」 |