不夜城の夜 十万ヒット感謝&記念ページ

 当サイトは2003年11月08日 にカウンタが十万に達しました。感謝と記念にこのページに刻みます。
 ……私自身はまだ何の用意も出来ていないのですがm(__)m 繋がりは不明ですが、私も朱い月をネタにひとつ書こうとは思っています。

十万ヒット記念 1kb SS 劇場特別公演 「朱い月」

 私のほうからのリクエストに応じてくださった皆様に感謝。
の付いている物は18禁です)

  1. 月ふたつ (のち 様)
  2. 責任 (権兵衛党 様)
  3. 『見て、いる』 (MAR 様)
  4. 見ているだけでなく (しにを 様)


1.月ふたつ 

黒い虚空に朱い雫が一滴、ぽつんと浮かんでいる。
不吉な色とは裏腹に、優しく大地を照らす。
淡い灯りの中で、ひとりの女性が立ってる。
金髪を靡かせ、静かに立つ美姫。
朱い月という姫は、輝くように大地にある。
空の朱い月と、地の朱い月。
鏡像のような二つの月は、見つめ合っていた。
この閉じた世界が始まって以来、それは微動だにしない。
お互い以外のものは存在せず、他を必要としていない。
ただ自分の写し身だけがあるだけ。
ずっと、それは変わらなかった。
そう、今までは。
見た目は変わらない。
暗い空が輝くことはないし、大地が芽吹くこともない。
月は沈まず、星は瞬かず、太陽が昇ることもない。
けれど、変わり始めている。
私はそう感じていた。
どれほどそうしていたのだろう。
私も外へと戻らなければならない。
日が落ちれば来ることになるだろうが、とりあえず、しばしの別れ。
私は一つ鳴いて別れを告げる。
そして背を向けて、尻尾をたてて、外界へと向かう。
そんな私の背中に、ぽつりとひとつ。
「また、次の夜に」
振り返り、後ろを見る。
やはりそこに変化はない。
首をかしげながら、外に向かう。
耳に届かない、微笑みを背にしながら。
作者: のち 様


2.責任 

「ここは夢の中か?」
「そのようなモノだ」

 目の前に平然と、朱い月が立っていた。
 しかもその姿は『白の姫』を模している。

「ならばおまえは内包する朱い月の欠片か」
「察しが良いな。いかにもこの身はその通りのものである」

 そう言い放った朱い月を睨みつける。
 私は、コイツが好きになれない。宝石のゼルレッチの名にかけてだ。

「何の用だ。まさか千年もすぎてから復讐に来たか?」
「それこそまさか、だ。それなら確たる身体を得てから始めよう」

 それも道理と言えば道理。だが、不可解ではある。
 確かに『白の姫』の記憶の中に私の姿はあるであろうが。

「では、何故私を呼んだ?」

 単刀直入に尋ねる。長々と話をしていたい訳でもない。
 向こうだってそうだろう。
 ……と、思ったのだが。

「ちょっと話がして見たかったのだが……」

 予想外な答えが帰ってきた。
 訝しげに睨むと、朱い月のヤツ急に落ち着きがなくなって。

「いや、アルクェイド・ブリュンスタッドが自分を殺した男と懇ろになってな……」
「……それで?」

 一拍の後。

「……いや、世の中そういうモノかと試みに」
「……アホな事で呼ぶな……」

作者: 権兵衛党 様


3.『見て、いる』 

背を撫でられ、乳房を揉み潰され、その先の突起を甘噛みされる。
腹をなぞる指が、まるで弦楽を奏でる奏者のように。
首筋をなぞる舌が、まるで絵筆を走らせる画家のように。
白く、暖かく、柔らかい、極上の素材を捏ね上げる芸術家。

その様を、私は見ている。

ただのヒトが、あれを。
世界に君臨する真祖を。
私の写し身を。
思うが侭に蹂躙し、弄び、嬌声を上げさせ。
跪かせ、口と舌で奉仕を求め。
悦びに打ち震えさせる。

その様を、私は見続けている。

その指が、花弁を割り開き、芽に触れる。
たまらず反り返るその背に、接吻を降らせる。
艶やかに輝く髪をもてあそび、その口に指を甘噛ませ。
快楽にこらえ切れず流された涙を舌で掬い。
まるで別の生物のように荒々しい剛直を突き込む様を。

私は見続けている。
涙を拭われた、その瞳で。

ヒトの指が、あれを責めさいなむ。
あれが悦びの声を上げる。だから、私も悦びの声を上げる。
あれが悦楽に打ち震える。だから、私も肉の悦びに打ち震える。

時が満ち、月が朱く染まり、世界が真の姿に戻るまで。
私はその見たものを見続ける。
その感じたものを感じ続ける。
あれの影として、そして観察者として。

作者: MAR 様


4.見ているだけでなく 

 なるほど、興味深いものであった。
 これが、愛の行為というものか。
 なんじゃ、その目は?
 違う……?
 言われたように動いたし、そなたの好きにさせたつもりだが?
 舌と手を使って、そなたのそれを摩り舐めしゃぶったではないか。
 アレにするように、私の纏うたものを全て剥ぎ取り、欲しいままにしたではないか。
 それではダメなのか?
 胸を鷲づかみにして。
 爪先を口内に含んで。
 背中に舌を這わせて。
 尻肉を揉みしだいて。
 舌先を絡ませあって。
 そして、そなたのもので強く激しく私の中へ入って。
 あれが、交合というものではないのか?
 それだけではない?
 わからぬ、私にはわからない。
 無反応過ぎると言われても、わからない。
 ただ、全てを見ようとしただけ。
 目も、鼻も、耳も、口も、体全てを使って、そなたとそなたの成す事を見ていただけ。
 それがいけないのか?
 そうなのか。
 ただ、そうされて、アレが嬉しがる気持ちは少しだけわかった気がした。
 偽りでは無いぞ。
 そうか? それでよいのか。
 やはり、私にはわからない。でも、そなたが言うのならそうなのだろう。
 それは……、嬉しい。
 
  了
作者: しにを 様