何となく書かれたSSの断片、アイデアメモ+α程度のもの、書きかけて放棄したもの、その他。唐突に日記化してたりするかもしれません。
再度、拾い上げてSS化する可能性は、無いとは言えず。反応次第というところ。
ここは更新してもLinksには載せない予定。
最近、志貴はわりと遅くまで居てくれる。だから、一緒にご飯を食べに行って、部屋に戻って。
「あとはお風呂ね。一緒に入る?」
なんて言ってみたら乗ってきたから、今、一緒にお湯に体を浸している。
「あれ、志貴、のぼせてない?」
正面で、顔が真っ赤だ。
「いや、大丈夫だよ」
「でも……」
志貴は目を伏せて、それから慌ててそっぽを向く。
「ほんと? 何とも無いの?」
近寄って、額に手を当てる。ああ、でも、お風呂じゃどんな体温だったらおかしいのかなんて判らない。
「いや、だからっ」
正面から覗きこむと、志貴はまた顔を赤くする。
「……おまえが目の前で裸だからだよ」
え……? わたしを見て照れてたの?
「でも、しょっちゅうみてるじゃない、わたしの裸なんて」
訊いてみたら、顔を上げてくれる。わたしが体を起こして胸元までお湯の上に出したら、ちょっと下の方に目をやっている。
「幾ら見たって、見飽きないよ」
「そういうものなの?」
「そうだよ。千年見てたって、飽きるものか。それともアルクェイド、俺の顔は見飽きた?」
あ……。
「そんなことないっ」
そういうことか。確かに、志貴のことは幾ら見てたって飽きたりしないと思う。いや、きっと人間を見ていて飽きることなんて無いと思う。
っと、お湯の中で志貴がこっそり手を伸ばして来ているのを見つける。
「きゃっ」
自分の手で胸を覆って身を引き、タッチを逃れる。
「しょっちゅうしてるじゃないか、これぐらいのこと」
うん。全然、嫌じゃないのに、いつもこんな風に一度は逃げてしまう。おっぱい、志貴に見られるのは何も嫌じゃないし、触られるのだって。
「見せるのは平気なんだろ?」
残念そうにして、志貴が笑う。
「えー? ドキドキしてるよ?」
「へえ、どんな風に?」
言いながら、ついっ、ともう一度手が伸びてくるから、今度はガードを下ろしてあげる。志貴の手が、心臓の上に届く。おっぱいの下の方を触る格好。
「判る?」
うん、っていう志貴の返事は上の空。わたしも手を出して、志貴の心臓の上に置く。志貴も、ドキドキしてる。
志貴の指が好き。
触ってくれる志貴の手が好き。
体じゅう、撫でて貰うのが好き。
初めは優しく胸の形をなぞっているのに、だんだん力が篭って行くのが好き。
おっぱいを鷲掴みにして、夢中みたいに揉んで来て、ちょっと痛いぐらいなのだって、好き。
「んっ」
でも、ちょっとこんな声を出したら、慌てて優しくなるのも好き。
またすぐに力が強くなっても、志貴の手だから、好き。
「ふふっ」
志貴の方に体を寄せる。志貴は、横から抱きつくみたいにして、胸を触ってる。揉み揉みされている間は、わたしが優位だ。そんなに気持ち良いのかな、なんて思うぐらい、楽しそうに触ってくれる。
でも、ひとしきりたっぷりと揉んだら、今度は先っぽを指で挟んだりして、悪戯してくる。こうなると、志貴が優位。
「あん……」
ふくらみを愛撫されて、乳首は少し尖ってる。でも、そこに直接は触れずに、まわりを指先でつついたり擽ったりするだけ。触って欲しいのを知ってて、意地悪してくる。
「うふっ」
親指と中指で乳首のすぐ外を摘んで、人差し指で先端を弄る真似だけしてる。
「やんっ」
思わず、体を揺する。
「ん、どうかしたか? アルクェイド」
余裕ぶって言っているけど、声が上ずっている。志貴だって、早く触りたいんだってことには、最近気付いた。
「別に?」
だから、つい、こんな返事をしてしまう。
でも、わたしも触って欲しくてうずうずしている。
だから……
「うわっ」
志貴の頭を抱き締めて、胸に受け止めた。
「ああ、このやろっ」
文句言いながら、乳首に吸い付いて、ぺろぺろし始める。
「んんんっ、それ、好きぃっ」
いっしょに、もう一方の乳首も可愛がってくれる。
「あん……えっちー」
「ねえ……志貴?」
ざばっ、とお湯に体を浸して息を整えている志貴に、話し掛ける。
「ん?」
バスタブの端に腰掛けて、垂れて来たものを手に掬いながら。
「……千年も、一緒に居れたら、良いね」
思わず口にしてしまって、それから少し後悔した。
志貴は、束の間、押し黙ったけど、不意に笑ってくれた。
「でも、アルクェイド。ほんの三十分、一緒に居るのだって、素敵だろ?」
ああ……そうだね。
「うん。ふふ、じゃあ、もう三十分ほど素敵なこと、しよっ?」
ざばっ、とお湯にわたしも浸かって、志貴に抱きついた。
「って、ホントに好きだな、アルクェイド」
首を抱いて、耳に吹き込んでくる。
「んー、志貴は大好きだよ?」
ぞくっとして首をすくめる。
「そうじゃなくてだ、やらしーこと好きだなって」
「えー、何も、やらしーことしようなんて言ってないよ?」
そう言うと、志貴は動きを止めた。体を離して顔を覗いたら、ちょっと困っている。
志貴のお腹の下の方に手を出したら、また大きくなってる。きゅっ、て握ってあげたら、息を詰まらせた。
「ほら、でも、そう言う意味だったんだろ?」
「えー、ずるーいっ」
「ずるくないっ」
志貴の方からも、わたしの脚の間に手を出してくる。正面から抱きついて、胸どうしくっつけて、耳に囁き返す。
「ふふ、そういうずるっ子には、胸でも口でもシテあげないっ」
「う、それは……」
今度は志貴の顔を胸に埋めてあげる。
「これから、ずーっと胸で挟むのもペロペロもシテあげないっ」
「ははは、降参、降参っ」
ふふふっ。こんなこと言いながら、シテあげなかったことなんて無いんだけど、な。
「秋葉ちゃんのお兄さん、こういうの好きなんだ?」
秋葉の友達が家に来るなんて滅多に無いことで、それなのに、当の秋葉は間が悪くも出かけてしまっていた。
今、シャツをはだけ、ブラをずらして露わになった三澤さんの胸に、顔を埋めている。どこからどうやって、こんなになったのやら。琥珀さんがお茶を入れてくれて、客間で待つ間の話相手を買って出ていただけなのに。
むにゅって、柔かくて。ひょっとしたら、サイズはアルクェイドより上かもしれない。
アルクェイドのほどの、ぽよんぽよんなのに吸い付く感触は無い代わりに、顔にピッタリ密着してくる気がする。頭を抱かかえられているから、息苦しいぐらい。でも、温かくて蕩けそうで、離れたくない。三澤さんの言葉にも、返事が出来ない。もっとも、「こんなの」の意味は、胸のことではない。。
秋葉と比べるのもなんだけど、三澤さんはふくよかだ。胸がまさにそうで、他のところもなかなか。でもウエストは締まっていたりで、すごく良いプロポーション。
「んっ、く……」
ふっくらしているのは、足とかも同じ。歩いたことも無いんじゃないか、なんて思うぐらいに、足の裏が柔かくて滑らか。
そんな両足で、すっかり勃起したイチモツを挟まれている。いや、もっと言えば、揉んだり扱いたり撫でられたりしてる。
「気持ち良いんだ、秋葉ちゃんのお兄さん。ふふふ……」
舌ったらずな調子で、無邪気にひどく淫らな言葉を口にする。頭に残っている、あどけないような笑顔とはまるで結び付かない。だけど、悪戯してくる足の動きは、言葉の方に相応しく巧み。どう考えても、さっきまでの会話からしても、三澤さんが男に慣れているなんてありそうに無いのに。
「男の人って、こんな風にされてるとシャセイするんだよね?」
これは、明らかに知識だけで言っている感じ。保健体育の時間にでも習って、そのまま口にしてるみたいに。走ったら汗をかくとか、怪我をしたら血が出るとか、そんなのと同じレベルで言ってるっぽい。
「大事なトコロだから、無闇に触っちゃ駄目だって」
……だ、そうだけど。だから足でってのは、尋常な発想じゃない。
同じように、小さい頃、他人に体に触れさせちゃって言われたらしい。特に、胸とか、お尻とか。まあ、オンナノコの部分とか。
だけど、裸のおっぱいに顔を埋めさせるのは、この子にはOKらしい。よく判らない。でも、おかげ様で、何か良い匂いのする、たわわに実ったバストを堪能させてもらっている。触りたいんだけど、それは許してくれない。手は駄目らしい。
「秋葉ちゃんのお兄さん、シャセイしちゃいそう?」
言いながら、また足を蠢かせる。ゆっくり蹴るみたいに足の裏で俺の下腹部に押し付けながら、もう片方の足で精巣の方を突付いたり揺らしたり。
腹に力を入れて耐えつつ、舌を出して、ぺろりと胸の谷間の肌を舐めた。
「んっ」
小さく、はしゃいだ声。これだけ聞くと、小学生ぐらいの子が遊んでるとかみたいだ。だけどその実、弄り倒されて本当に射精寸前。三澤さんの肌は、甘くて優しい。
「シャセイしてくれる?」
チョコレートでもねだる口調。それと一緒に、頭をギュッと抱き締めてくれる。息が詰まり、仄かな甘い匂いに満たされる。スカートが捲くれ上がって丸見えになっていた太腿の白さを思い出す。その付け根の、これまた白のショーツとかも。
その瞬間、また両足そろえてイチモツを挟んで来て、すりすり往復された。
「うぁぅ……」
くぐもって、声にならない。そんなに強烈ってわけじゃないけど、充分に気持ち良くて。後先なんて、考えるには遅すぎるし。抵抗せず、快感に甘んじて流された。
どくんっ、どくん。どくっ。脈打つ感覚。快感に、弾けた。
「ひゃっ……んん? シャセイしたの?」
足にかかったんだろう、三澤さんがびっくりした声を出してる。
……さて。どうしたものか……な……?
(チャットで見せていただいた某絵師さんの落書をネタに、即興で書いたもの……を、後に多少は文章を整理したものです。羽ピンがなんだかお馬鹿ですが、ご容赦されたい^^;)
上のタイトルからリンクしています。
2006年度のエイプリルフール企画。少々準備不足でした。
上のタイトルからリンクしています。
唐突に罵られていると思ったら、あの長い髪をしたアルクェイド、朱い月と向かい合っていた。
「また性懲りもなく来おったな、人間め」
顔かたちの綺麗なのは寸分の違いもないのに、いつも、佇むだけであたりの空気を剣呑にしてしまう。
その迫力が、今日は弱い。
不機嫌そうな声のわりに、アルクェイドが良く見せるのと同じような悪戯な笑いを浮かべているから、そのせいだろうかと思った。
「いや、お前が呼び付けるからだろ? 俺がここに現れるのは」
「それは違う。来れるように路を繋いでやったのは事実だが、いそいそとやって来たのはお主の勝手だ」
「だけどな、例によって気が付いたらここに居たんだが」
言葉を交わしつつ相手の姿を眺めて、やっと気が付く。そりゃ、柔らかい感じがするはずだ。
「無意識にでも機会を逃さず来てしまうのであろう? ずうずうしいやつ、恋人にでも会いに来るようではないか」
「恋人って、お前がか?」
言ってから何か面映ゆくなってしまい、誤魔化すように続けた。
「いや、それよりさ。なんでお前、そんなエプロン姿なんだ?」
そう、いつもながらの豪奢なドレスを着てはいる、だけどその上から愛らしいピンク色のエプロンなどしているのだ。一目で判らなかったのが不思議だけど、印象が優しいのもそのせい。良く見れば、白いウサギが何羽もピンクの布に跳ねている。見事なまでにファンシー。
「決まり切ったことを、惚けるつもりか。今日は何の日だ?」
「今日って、まだ日が変わってないならバレンタインだけど……」
昼間の騒動を思って、クラクラした。具体的にどんな事態だったのかサッパリ思い出せないのに、大騒ぎだったってことだけは確信が持てる。バレンタインにチョコをくれる女の子が多いのが原因なんだし、幸せな騒動だけれど。
「って、お前も?」
まさか、こいつまで?
「この身も、何だ?」
笑いを抑えきれない様子で、問い返してくる。
「いや、だから……チョコレートくれるのかと……」
口にして、また頬が熱くなった。
「それ見ろ、この身までアレや誰やと同列に扱いおってからに」
「いや待て、お前のことなんてまるっきり忘れてたぞ? お前が呼び出すから相手するだけで」
相手する。
自分で言っておきながら、意味深な言葉だ。また、今まで具体的に何をしてきたのか思い出せないくせに、思い出さない方が良さそうなことを山ほどして来たってことだけは確信が持てた。
「本当か?」
妖しい笑いで、問い詰めてくる。
「ホントだって」
ずい、と歩み寄って俺の襟元を掴み、繰り返し念を押す。
「この身からチョコレートを貰いたいとは思っておらんかったのだな?」
「思ってなかったよ、そんなこと」
「本当だな?」
「しつこいな、本当だよ」
不毛なやりとりのあと、やっと引き下がってくれる。
「そうか」
キスしてしまえそうな距離で、朱い月は満足げな笑顔を見せた。
「なら、こんなものは要らんな?」
と、不意に目の前に派手な赤いものが現れる。いや、朱い月が手に持っているだけ。赤い箔押しがされてリボンまで飾られた、ハート型の薄い包みだ。
「それって……?」
「何に見える?」
素直に見れば間違いなくチョコレート、派手だけどちょっと安っぽい、コンビニでも売ってそうな感じ。
「チョコレート?」
「うむ、その通りだが、貰う気の無い相手に無理に渡すほど押しつけがましくもないのでな。適当に処分する、案ずるな」
「いや、待てって」
一瞬で粉微塵にしかねないから、思わずチョコを持つ朱い月の手を掴んでいた。
「どうした、要らんのだろう?」
冷たい調子のくせに、口元は綻んでいる。
「別にチョコレート貰いに来たんじゃないし、貰うつもりだったわけでもないけど」
じっ、と朱い月は俺を見据えている。
「別に、チョコレートを拒みに来たわけでもないしだな……」
「回りくどい、何が言いたい?」
この笑い方、可笑しいのか嬉しいのかどっちなんだろう。
「つまり、有り体に言えば、これが欲しいのだな?」
いや、獲物を捕らえて満足って笑いか。
「うん、まあ、そうかな……」
くれるって言うなら貰う。
いや、俺もそこまで無愛想でも鉄面皮でもない、欲しいかと言われれば間違いなく欲しい。
「なら、初めから欲しいと申せば良いのだ、今からでも良いから申してみよ。ねだるのが照れくさかっただけで、この身からチョコレートを是が非でも貰いたい、と」
勝手なことを吹きつつ、華やかに笑っている。
実際、照れくさいけど、欲しいと思うのも事実。どうにか、お気に召すようにチョコをねだるのに成功する。それでやっと、
「味の保証はせんぞ」
なんて可愛らしい御言葉と共に、包みを賜った。
その手に、絆創膏を見つける。
「ん、どうしたんだ? それ」
知らず知らず、また手を掴んで引き寄せていた。素肌に触れると、しなやかで温かい感触が、ぞくっとするほど心地よかった。
「何でもない、気にするな」
「いや、だけど……!」
ひとつ、思い当たる。許しを得て急いで包装を解いたら、出てくるのは、いかにも手作業で作った姿のチョコレート。無論、こいつが店でこれを買ってきたわけはないのだが、エプロンとか指の怪我とか、話が繋がる。
つまり、朱い月が手作りしてくれたのなら。
「……火傷でもしたのか?」
だとすれば触ったら痛いだろうし、撫でたりはせずにおく。お姫様然とした朱い月がエプロンして慣れない作業でチョコを作ってる姿を想像してしまい、可笑しいけど、愛しくもなる。
嬉しいやら申し訳ないやら。
「いや、何もないと言っておる」
あっさり自分で絆創膏を剥がしてしまい、仰せの通り何の跡形もない綺麗な指が現れる。
「ええと」
それでやっと、思い出す。たとえ、本当にチョコを手作りしてくれたのだとしても、こいつが湯煎の温度ぐらいで火傷したりなんてしない。たぶん、火に直接触れたってどうってこと無いだろう。
「ほら、言った通りであろう?」
じゃ、一体なんのために。訊き返したら、笑われた。
「今、おぬし、人が怪我をしているのを見つけて楽しそうにしたではないか。そういうことだ」
どういうことだ。
思ったものの、理解した。チョコレートを手作りしてて火傷してしまった朱い月、という絵を俺が一人で楽しんでいたってこと。
「……計算尽くかよ」
「拗ねるな、人間。それを手作りしたのは嘘ではないぞ」
「……ホントか?」
「本当だ」
「絶対?」
別に疑わなくても良いのだけど、朱い月の方こそ拗ねた表情になるのが可笑しくて、何度も念押ししてしまう。
でも、ちょっとしつこかったか。
「何度も何度も、信じぬのなら良い、返せ」
ひょい、と取り返されてしまった。
「いや、ごめん、信じるから」
あっちを向いてしまった朱い月に、後から声を掛ける。エプロンの下のドレスは背中が大きく明いてて、晒された白い肌が眩しい。
少しドキドキしてるところに、そっぽ向いたまま返事が来る。
「そんなにこれが欲しいか?」
降参。もう逆らわない。逆らえない。
「うん、欲しい」
答えると、ゆっくり、朱い月が振り返る。エプロンを下に落としてドレス姿。初めと同じように、赤いハートに口付けるみたいなポーズだ。
「なら、もう少し素直にそう申せば良いのだ。罰として一つしかくれてやらん」
口元を箱で隠したまま言い、返事を待つ様子。
もちろん、数なんて問題じゃない。
「判った、有り難く頂戴いたします、お姫様」
「よし。ならば、心して受け取れ」
片眼を瞑って、満足げに笑って見せてくれる。
その表情に硬直してるうちに、赤い箱を指先で弾いて放り投げてしまった。どこまで飛んだやら見えなかったし、とうとう落ちた音は聞かなかった。
ならば、仰せのままに一つだけ受け取ろう。
そう思って朱い月に目を戻し、また息を詰まらせる。
どこでそんなこと覚えてくるんだ、この地球の隠しボスみたいな何者か。
朱い月、小さなハート型を唇の間に挟んでいる。
早くしてやらないと機嫌を損ねそう。意を決して首っ玉に抱き付き、受け取った。
甘い甘い、蕩けそうな唇の味しか感じなくて、チョコレートの出来は判らず仕舞い。
婉然と笑って、秋葉は顔をあげる。唇から唾液が糸を引いて、ドロドロになるぐらいに愛してくれた男根の先端に繋がっている。名残を惜しむように、ぺろりともう一舐め。
「あぅ……」
もうちょっとでイくって瞬間に止められた俺は、間抜けな声を出してしまう。またもう一度、唇で啄むように口付けて、尿道口に舌先を滑らせた。美味しいものでも舐めるみたい。とろりと、先走りの液は漏れていた。
「ふふふっ」
体を寄せてきて、俺の胸に頬を押し付ける。秋葉のお腹が亀頭に当たる。すっと体が下がり、肌が敏感な穂先を撫でていく。
感触に、息を呑んだ。
細い指で弄ばれたり、紅い唇と舌で奉仕されたりするのに比べれば、ほんの些細な刺激。でも、秋葉の肌は快楽の泉。
俺の反応に気付いた様子の秋葉は、お腹を擦り付けながら顔を寄せてきて、肉色の舌を見せつける。少し首を傾げて、キスしてくれる。
ちゅっ
悪戯に笑い、もうちょっと口を吸いたい俺を見捨てて、また俺の下腹部に顔を埋める。
たっぷり唾を亀頭に落とし、そこに胸を押し付けてくる。体を揺すって、すりすりと撫でつける。柔らかなシルクの肌。繊細でとろけるような快美感。慣れない感覚に、喘ぐ。
柔らかな胸の肉に、穂先が突き刺さったみたい。
「秋葉、乳首尖ってるぞ?」
指摘してやると、一瞬動きを止める。俯いたままだけど、耳まで赤くなる。あんなに濃厚な口淫までしてくれるようになったけど、我にかえったときの恥ずかしがり方は変わっていない。
「兄さんこそ、こんなになさっているくせに」
自分がそうさせたんじゃないか、とは言わないでおく。
「うぅっ」
強い刺激。見れば、その堅くなった乳首がペニスの先端に当たっていた。
顔は見えないけど、秋葉の笑いが薫る。してやったり、ってトコか。そのまま、乳首を擦り付けてくれる。
「んっ……」
抑えた声をあげる。そりゃ、秋葉だって感じるはず。唾液でねとねとしながら、敏感な部分同士が転がし合う。
手を伸ばして耳に悪戯を始めたら、秋葉の方は、そっと睾丸に手を添えて、緩やかに揉んでくれる。
「んっ」
「くっ」
一緒に、吐息を吐いた。
小刻みに体を揺すり、乳首が鈴口を責め立てる。ほんと、口に含んで舌を使って貰うとかに比べたら弱い刺激なのに、鮮烈。
「……秋葉?」
呼びかけて、顔を上げて貰う。迎えに行って、ちゅっと唇を重ねる。頭を抱いて、さっき逃げられたぶん、存分に吸う。舌がつつき合い、誘い合いして、互いの口の中を案内される。
離れて耳に口を寄せたら、髪が馥郁と香る。陶酔するうちに、また逃げられた。
かぷ、とばかりに雁首を口にし、歯まで当てられる。充分加減してくれているけど、それでも少し痛い。心配はしていないけど、恐怖は湧く。
優しく舌が踊って、歯の触れたところを辿ってくれる。唾液まみれにして、また乳首を尿道のところに。
反対側の手も延ばして、男根で突いていない方の乳首を攻略にかかる。しなやかな肌に、指が沈む。
「あふ……」
指で乳首を擽ってやる。
「いやらしい胸だな、秋葉」
「んんっ、兄さんがイヤラシイからですっ……」
妙な誹謗を受けつつ愛撫の手は休めず、ねだってみる。
「このまま、そうやってイかせてくれないかな」
少し驚いた様子で、だけどすぐに笑いを咲かせる。
「私の胸でイきたいんですね、兄さん」
「うん、秋葉の綺麗な胸で、さ」
「私の胸に夢中ですものね、兄さんは」
「うん」
耳から手を背中に滑らせて、薄い体を挟むようにする。鋭敏で、背中を撫でても秋葉は無闇に感じるみたい。汗ばんだ肌に撫で返されて、触れる手も、快感。
「ふふ、しょうがないですね、おねだりに応えて差し上げます」
そう言って、秋葉は動きに熱を込める。小刻みに身を揺らし、尖った乳首でコリコリと鈴口を責めてくる。もぞもぞ、くすぐったいような動きで袋を揉んでくれる。
「ふーっ」
我慢は、しない。秋葉からの快楽の恵みを思うままに享受する。
「んっ?」
さわ、と慣れない感触に目を向けたら、秋葉が髪の毛を俺のものに絡ませていた。これまた、もどかしいばかりの刺激。それでも、少しずつ昂ぶっていく。変に髪の毛に惹かれて一束ほど握り、気付いたら口に入れていた。シャンプーだろうけど、俺にとっては秋葉の匂い。鼻腔を満たすほどに、更に官能に沈む。
「ふふふっ」
秋葉が、俺の指を吸い始める。しゃぶり回してくる舌に、さっきのフェラチオを追想してしまう。喉まで呑み込む貪欲な仕草と快感を思い、くりくりとした乳首やら筆で掃くような髪やらの感覚と共振する。
強烈に、指を吸われて。
くにゅ、と袋を握られた途端、決壊するのが感じられた。強烈ではないけど、満ち足りた快感。むしろ緩やかに、秋葉の胸に白いものを吐き出していく。ゆるゆると、快楽の時が続く。精液に濡れた亀頭を、秋葉はまだ乳首でくすぐってくれている。きゅ、とまた握られて、絞られたみたいにまだ噴き出す。
秋葉が指を吐き出し、代わりに亀頭に吸い付く。じゅっ、なんて音をたてて、痛いぐらいで、だけど射精の快感にアンコールをくれた。
「うふふ」
胸に張り付いた白い粘液を指に取り、口に運んでいる。嬉々として精子を舐めるなんて、随分と淫ら。なのに、それも愛しく思っている。わざわざ口の中の精を見せつけられて、恥ずかしくなるけど興奮もする。ぺろぺろと指を舐めて、ワインでも味わうみたいにゆっくりと飲み込む。ちゃんと全部飲みましたよ、なんて言うみたいに口を開いて見せる。
己の痴態を自覚したように、だけどまだ足りないとでも言いたそうに、照れ笑い。
イチモツに絡ませていた髪に白いものが残っているのを示してあげる。頬を綻ばせて、それも、口に入れた。目を瞑って、さっきよりもっとうっとりと、喉を鳴らした。
さて。こんなに良くしてもらったんだから、お返ししないと、ね。
その日、帰り道が途中まで同じになったと言う弓塚さんと、一緒に歩いていた。
「ピンチの時は、助けてね」
中学の時、バドミントン部の女子達を用具室から助け出したことは覚えていたけど、正直、そこに弓塚さんが居たことは記憶になかった。
みんなに好かれるこのクラスメイトは、俺には縁遠い存在だと思っていた。だから、不意に好意を見せて貰っても、実感がまるで無い。
なのに、帰り道の分かれる曲がり角で、突然手を引かれた。続けて告げられた言葉に、俺は息もつけなくなった。
「ねえ、遠野くん。今日、わたしの家、お父さんもお母さんも居ないんだ」
必死の様子で、だけど、はにかんで笑っている。顔が赤く見えるのは、夕日に染まっているだけじゃない。見詰められて、クラスのアイドルなんて言われてる理由を思い知る。
弓塚さんは、綺麗だ。
可愛い、という方があっているのかも知れないけど、そのとき浮んだ言葉は、「綺麗」以外ではなかった。
「だから、遠野くん……」
家に、来てくれる?
うん、と答えつつ、実は問いが耳に入ってはいなかった。何か訊かれたと判っていただけ。俺の手を包む弓塚さんの手が柔らかくて、どきどきしていた。手を繋いで歩き出しても上の空。
気が付いたら、弓塚さんの部屋で向き合って腰を下ろしていた。
「ねえ、遠野くん、軽蔑する? こんな、いきなり男の子を部屋に上げちゃうなんて」
告げられていたように、家には、弓塚さん一人しか居ない。イメージなんて持っていたわけでもないけど相応しく思える可愛らしい部屋は、彼女の寝室でもあり、背中の向うにはベッドがある。
「いや、軽蔑なんてしないけど。びっくりは、してる」
「良かった……。うん、わたしもびっくりしてるよ、こんなこと出来ちゃう勇気、あったんだって」
照れ笑いして、伏し目がち。今まで、クラスメイトを超えるものでは無かった。
「こんなことするの、初めてだよ、わたし。誰も、入れたことないんだから」
言いながら、ますます、俯いた。
「弓塚さん……」
口に出来たのはそれだけで、二人して黙り込んだ。もう夕日が沈みかけていて、灯りも点けていないから、部屋は暗くなっていく。
遠くで、列車の音がした。
ラーメンの屋台の間の抜けたメロディ。
「ねえ!」
声も掛けられないでいたら、いきなり、顔を上げて言う。
「……軽蔑、しない?」
恐る恐る、という仕草で、頬に手を触れてくる。
「いきなり、こんなこと……女の子から……」
流石に、言っている意味は、判った。
「嬉しいとは思っても。軽蔑なんて」
俺も手を伸ばして、そっと頬に当てた。火照っていて、柔らかくて、滑らかで。
「良かった。たぶん、こんな勇気は、二度と出せないから。今日が駄目だったら、きっと永遠に駄目だったよ」
もう一方の手が向かってきて、頭の後ろにまでまわる。迎え入れて、俺も空いている手を、弓塚さんの背中にまわした。布地越しに、体温を感じる。びくり、と震えたのが判る。
いきなり、だとは俺も思う。でも、ラッキー、とかそんなのじゃなく、愛しく想い始めていることには気付いている。薄暗くなってしまってよくは見えないけど、間近になった学校のアイドルの顔は、知っていたはずだけど、やっぱり綺麗だ。
「遠野くん……」
震えた声で言い、目を閉じた。
名を呼び返す。
ここまで来たら、男の方の仕事だと思うから。
そっと、抱き寄せながら、唇を触れ合わせた。
2007年のエイプリルフールねた。
戦力差、千対一。
およそ、戦闘と呼びうるもにはなるまい。
それを存分に見知った上での挑戦を、征服王イスカンダルでさえ、ただ信念と忠義に基づき闘って死ぬ場所を求めた騎士の誇りと受け止めた。
「馬鹿め、一騎当千という言葉を知らぬのかっ。その全力にて応えねば命は無いぞ征服王!」
それが故にイスカンダルは、神牛の車輪にて踏み殺すような真似を避け、全軍勢をもって迎え撃つ礼を尽くしたのだ。
居並ぶイスカンダルの配下、優に千余。征服王当人に及ぶ者こそ無くとも、その全員が宝具を手にした名だたる英雄である。
対するは、いかなる名を背負う者であろうとも、一人の騎士。
――――三騎士と呼ばれるセイバー、ランサー、アーチャーとも一線を画すイレギュラークラス、真なる騎士の英霊、サーヴァント・ナイト。
剣を振るい、槍を使い、騎乗して戦場を駆ける。
しかしどれだけの名馬といえど、騎乗するは地を駆ける馬に過ぎず、神代の天馬でもなければ天帝に与えられた神牛でもない。
どれだけ剣に優れようと、槍の技を極めていようと、それをもって歴史に名を刻んだセイバーやランサーにまでは叶うまい。
ならば、ただ騎士たることを貫き英霊に列したこの騎士の中の騎士、押し寄せる砂嵐の如き敵軍に立ち向かうに何をもってするのか?
「これより貴軍に一駆け馳走致す。しかと見定め、天地の滅ぶまで語り継げっ!」
ただ一人の騎士、その剣を天に翳し、更には騎兵槍を左腋に抱え込み、愛馬の腹を蹴って駆け始めた。尋常ならば、満身の膂力をもって構えてこそ意味を成す騎兵突撃の槍、それをこの騎士、片腕にて存分に御す。
恐るべき矢叫びを発し、濛々たる砂煙を上げ、千の兵の並べる槍衾に一片の迷いも恐れも無く突っ込んだ。
「我が剣の錆してくれる――――!」
それは、あまりにも馬鹿げた一騎駆けだった。
元より、騎兵による突撃とは、予め敵軍の隊を矢戦にて射崩した後にこそ力を示すもの。それもまた、一軍にて陣を並べて仕掛けて初めて意味を成す戦術。単騎をもって敵陣に走り込んでも、構えられた槍に針山にされることだけが結末。
だが、それを打ち破ってこそ騎士の英霊――――っ!
「
突撃にはおよそ無用のはずの剣が、陽光に閃く。時代遅れと嘲笑を浴びようと、幾度その慈悲と寛容を裏切られようと、決して過つこと迷うことなく愚直なまでに突き通した騎士道の象徴が、その騎士に突進して切り開く力を与えていた。
「――――
それは、死の壁に似ていた。
一人一人が歴史に名を刻む英霊たるイスカンダルの軍勢が、無謀を極める単騎突撃の前に何も出来ず、ただあっけなく打ち倒されていく。
あるいは槍に突かれ、あるいは蹄に掛かり、あるいは馬体に弾き飛ばされて地に伏せる。時に、その宝具に斬られる栄誉を受けて倒れる。何が起こっているのかを知る暇もなく、目の前を突風が通り抜けたか否やの間に一撃を食らい、くずおれる。
これほどに馬鹿げたことも無かった。イスカンダルの戦士達にしてみれば、あっぱれな一人の騎士に誇りある死を与えるがためだけに居並んだのだ。それが、衝突してみれば、次々と自陣が打ち破られていく。
この油断がなかったとは言えぬ事態も、誰を責めることもできるまい。それほどまでに、このサーヴァントの突撃は常軌を逸していた。およそ、考え得ることではなかった。
一対一にて打ち合ったならば、それぞれの強者、騎士に対して真っ当な勝負となったところであろう。
だが、この騎士のサーヴァント、フンバルト=ヘーデルホッヘが愛剣スターホーンを抜いて突撃をかけたならば、
麦の実りを刈り取るが如く、人垣に亀裂が進んでいく。
見れば、未だ騎士は無傷であった。
また見れば、薙ぎ倒されたイスカンダルの英霊、残らず傷を負っても、一人として死したる者は居ない。ただ敵陣を打ち破り道を穿てば足り、一人として死なせずに済むならばそれを至上とした騎士の慈悲がそこにあったのである。
戦況を見定める征服王、束の間は事の成り行きに唸りを上げていた。しかし、すぐに呵呵大笑する。
まず、騎士があたら死地を求めて挑んできたわけでなかったことが痛快であった。
そして、その見事な突撃に血を滾らせたのだ。
「場所を開けいっ! 丁重に持て成さねばなるまい」
果たして騎士の英霊は征服王の元に辿りつく。
王と騎士。その立場も信条も違えど、貴賎のあろうはずもない。
「良くぞ参ったっ!」
スターホーン(気高き騎士の魂の具現)
対軍宝具(対象人数100〜1000)
ランクB
騎士・フンバルト=ヘーデルホッヘの愛剣。
単一あるは少数の相手に対しては、名剣でこそあるが、特別な効果は示さない。
相手が軍勢である場合、これを手に突撃を掛けることにより、ばったばったと打ち倒して進む力を示す。ただし、あくまで敵陣を突破することのみに特化しており、倒された相手は一時的に戦闘を離れるのみで通常ならば死ぬことは無い。
また、敵の大将格、個人的に因縁のある相手等には効果が無く、遭遇すれば通常に戦うことになる。
(きっと多くの人を置いてけぼりですが、フンバルト・ヘーデルホッヘとは ファンタジーRPGクイズ(五竜亭)という作品のキャラです。)
2008年度のエイプリルフールのネタ。事情あって公開停止。
気付いてしまったからにはツッコミを入れずにはいられない。上のタイトルからリンクしています。
©Syunsuke