わたしのどこが好き?


 

☆胸

 がばっ、とばかりにむしゃぶりついて、押し倒す。
 そのままアルクェイドの胸に顔を埋めると、ほんとに窒息しそうになる。おっぱいを手で寄せたりなんかしたら、なおさらだ。温かいものに挟まれて、首を振っても左右から押し戻される。頬に擦れる肌は濡れた石鹸みたいにすべすべで、弾けてしまいそうに張り詰めている。
 溺れてしまいそうなほど、柔らかい。
 ぐにぐに揉む両手にはつい力が入ってしまう。ときどき怒られるけど、わりと我慢してくれてたりするらしい。手の動きに合わせて、顔への当たり具合が変わる。官能に頭を押えられて、離れられない。
 でも、息が保たなくなってくる。アルクェイドの胸に抱かれて死ねるなら本望かも知れない、とは言え流石に死因が窒息なのは避けたい。
 だから、やっとの思いで顔を上げて、息を継いだ。目を合わせてしまい、アルクェイドが笑う。
「おっぱい好きよねえ、志貴?」
 照れたように、からかうように。その顔に浮ぶ喜びが、俺も楽しくしてくれる。
 それ以上に、やらしーことをしている自分を意識させてくれるけど。
「アルクェイドのことなら、全身隅々まで好きだぞ?」
「うふふ」
 誤魔化しつつも羞恥に俯かされたら、当然、視界を双丘に占められる。大きくて、丸くて真ん中だけちょこっと突き出してて、真夏のように輝いている。南国のビーチの砂丘とか連想しながら両手で撫で回すと、少し汗で湿っている。みっしりとした肉感、柔らかいのに、しっかり弾む。癒着しそうに手に馴染みながら、自己主張は忘れない。
 頂には、ピンク色をした珊瑚みたいな乳首。摘んで、既に少し尖っている先端をくりくり責めてやる。
「あん……」
 小さな喘ぎを耳にして、背筋がぞくりとした。アルクェイドの感じてる官能が直に返って来ている雰囲気。いっしょに気持ち良くなれるのは良い。貪り合うのと一緒に、与え合えたら良い。
 じゅる、と零しそうになった涎を啜り、また顔を谷間に落とす。口を開けてミルクプリンな色の谷底に口付け、舐める。濃厚なクリームめいた舌触りが、また快感の電撃。芳しいアルクェイドの匂いに満たされて、全身の細胞が浮き足立っている。臍の下の俺のモノは、今すぐでも突っ込むのに充分固くなってる。でも、それよりアルクェイドの胸を堪能したくて夢中。
 べったり舌を押し当てて、肌を味わう。食べてしまいたいってのはこのことか、吸いついて、甘噛みして、いっぱい跡を残しながら山頂を目指す。あっさり平らげられそうなほど、アルクェイドが愛しい。
 ぷくん、と乳首が突き出しているから、唇を寄せ、細く息を吹き付けてやる。
「うふふ、また変なコトしてる」
 首をもたげて見ているアルクェイドは、紅潮している。息が当たるだけの刺激でも、むずむずする感じはあるはず。
 ふーふーと何度も吹き掛け、今度は鼻から息をたっぷりと吸った。微かに、だけど確かに、肌が薫る。果物みたいに、揉むと搾られて香りが高まりそうに思う。
 乳首を吸うのは辛うじて我慢し、もう一方の山の麓に唇を移した。
「ぁん……」
 ちょっと残念そうな声。目だけ向ければ、拗ねた表情。真ん中の真珠玉への刺激をアルクェイドも期待してたんだろう。
 焦らしは成功ながら、それをからかうほどの余裕は無く、かぷ、と食い付いて再び登り出す。しなやかで足を取られ、身が沈んでしまう山肌をじっくりと辿っていく。温かくて手の中で蠢く感触は、子ウサギでも捕まえている感じ。
 潰さないように、でも逃がさないように、押さえたり緩めたり揺すったり。
 こんなに綺麗で、いやらしくて、愛しいウサギなんて居ないけれど。
「……でもちゃんと眼は赤いんだよな」
「ん、眼?」
 俺が見ていたのは、寄せられて並んだ乳首、ほんとは赤じゃなくて桃色だ。
 口を大きく開けて、乳首の周りに被せる。舌先で周囲をくるくる巡る。空いた方のおっぱいをまた思い切り揉みまくり、唇で先端を挟んだ。
「うふっ……」
 それ以上は焦らしてなんかいられず、欲情に押されて先っぽに舌を落す。こんなに甘いキャンディも無い、ぺろぺろ転がしまくる。美味しくて涎が溢れる。
「ぁっ、んふ……ふふっ」
 胸のてっぺんの辺りを搾り出すみたいに握って、蜜を吸いだす気分で舐め続ける。べとべとになりながらもグミキャンディは溶けず、かえって硬くなる。唇で摘み上げて、ふくらみをぷるぷる揺らしてやる。
「うふふっ」
 首を振りすぎて落してしまったら、ふわんっと弾みながら唇と尖った乳首とで唾液の糸を張っていた。もう一度咥えて、こんどは落とさないようにする。
 たゆん、たわん。
「またそういう変なこと……」
 笑っているけど、ちょっと蜜声。耳をくすぐられて悶えるぐらい。
「しちゃ駄目か?」
 尋ねながら、今度は丘の上に頬を載せて捏ね回す。
「駄目って言っても聞かないくせに」
 そりゃ、我慢なんて出来やしない。愛しさが抗ってるけど、手足は獣欲が支配寸前。
 谷間に顔を埋めるのも気持ち良い、こうやって片方の山をたっぷり楽しむのももちろん良い。ほんと、心の弾むクッション。唾に濡れた乳首がまだまだ硬くて、ほっぺたに当たるボタン。
「言わないけどね。志貴の好きにして良いよ」
 嬉しい言葉にますます昂ぶらされる。もう一方の丘の天辺を指で弄り倒し、ピンピンになった姿にもまた頬が緩んでしまっている。
「ん、あんっ」
 また両手で片方ずつ子ウサギを捕まえ、可愛がる。あんまり弄られているせいか、ちょっと赤くなってる。こねるほど柔らかく、揉むほど弾力、撫でるほど滑らか。
「ねぇ、こっちも舐めて?」
 抱き寄せられ、さっきと逆の丘に着地した。仰せのままに、乳首にキスする。今更まどろっこしいことはせず、吸って舐めて揺すって楽しむ。
「んんっ、んふふ……んふぅ……」
 俺の夢中っぷりは可笑しいけど、感じちゃってもいるんだろう。だいぶ、目付きが蕩けている。
「アルクェイド、胸はどんな風にされるのが好き?」
「ええ? ……そうね、志貴にいろいろされるのが好き」
 返事の可愛らしさに、思わずぎゅっと掴んでしまった。ちょっと痛かったっぽいけど、文句は言わずにいてくれる。
 感動するけど、はぐらかされた答えだ。それでもまた、両手で捏ねながら丘の間で窒息してみる。さっきよりもっと熱い。潤って少しべたべたする。舐めたら塩気があって、淡い媚香に汗の匂いが混じっている。
 大きく深く鼻で呼吸したら、脳の両半球が熱くなって変なクスリでもキメた気分。いや、知らないけど、どんなクスリだってこんなにはなるまい。
「もうちょっと、具体的には無いのか? こうされるのが好きとかって」
 恥ずかしがらせて楽しみたい気はある。でもアルクェイドが気持ち良いことをしたいのも確かで、訊く。なのにやっぱり、
「んー、えっちな志貴のしたいコトされるのが好きってだけだから」
 そんな、幸せだけど恥ずかしくて死にそうなことを言ってくるだけ。
「もう、志貴、おっぱい中毒って感じだもの」
 にぱ、と笑って両腕で抱き寄せられ、もう幾度めだか、胸に顔を埋める格好。くっつくたび、初めて触ったみたいに嬉しくなる。このタチの悪いクスリ、耐性は付かないらしい。
 もちろん、慣れてしまわないことに異論など無い。
「中毒って言うなら、アルクェイド中毒だよ」
 腕の力が増し、更に胸元に沈む。
「じゃあ、わたしは志貴中毒ね」
 対抗して言ってるだけっぽい、でも耳にして気分の良い言葉。
 はあ、と息を吐き、腕を振り払って体を起こす。仰向けのアルクェイドに馬乗りの格好。おっぱいが名残惜しくて疼く両手を、脇腹の肌に触れて宥めてやる。くすぐったいみたいで、もぞもぞしてる。
 さっきから突撃待機なイチモツが、痛い。
「胸でして良い?」
 一応、殊勝なフリをして訊いてみる。
「良いよ? えへへ、ほんとに好きよねえ、志貴。胸に挟んでするの」
 言われて何か凄く恥ずかしくなって、言う通りのことの前に、もうちょっと責めたくなった。怒張の方もお腹のあたりに触れさせて楽しみつつ、もう一踏ん張りしよう。
「アルクェイド、その前にもう一つお願いを聞いてくれる?」
 言いながら、アルクェイドの手を掴んで胸元に持って行かせた。
「ん、良いよ、何?」
 パイズリしたいって先に言ったわけで、アルクェイドは自分で乳房を内側に寄せてくれる。それで、ちょっと思いついて、今すぐにも挟んで腰を振りたいのを抑えて、言った。
「自分でおっぱい揉んで見せて?」
「ええっ?」
 きょとんとした感じで俺を見る。見られてると判ると恥ずかしくて、アルクェイドの胸元に眼を戻す。
「アルクェイドが自分で胸を可愛がってるところが見てみたい」
「えーっ?」
「アルクェイドに自分でおっぱいを揉ませたい、というのがお願い」
「もう、楽しいの? そんなこと」
 言いながらも、おずおずと手が動き始める。ぎこちない仕草で、細いアルクェイドの指が踊り出し、静かにふくらみの形を変える。眺めながら、感触を思い出して俺も手を動かしている。
「そう、アルクェイドが気持ち良いところをしっかりさ」
 ちらりと顔を見ると、羞じらって、そっぽ向いていた。でも素直に、指先が乳首を弄り始める。自分で求めたことながら、してくれるのが無闇に嬉しい。
 思わず涎を落してしまい、慌てて口を閉じる。胸に落ちた唾液を掬い取って、アルクェイドは乳首に塗りたくる。指の動きに合わせて、ぴくんぴくんって小さく体の跳ねるのが見て取れる。
「やっぱり乳首が感じるんだ」
 囁きかけたら、返ってきたのは怒って見せて羞恥を隠している返事。
「よく知ってるでしょ、そんなのっ」
 自分で胸を愛撫するアルクェイドの姿は、ひどく不似合いなのに扇情的。いや、何をしていようと、アルクェイドは見る媚薬。ただ見ているだけでも官能の井戸。
「あふっ」
 先端を自分でくすぐって、アルクェイドが甘い息を吐く。聞く惚れ薬、嗅ぐ興奮剤。小刻みに弾かれて、また乳首は尖る。
「自分で吸える?」
 唾を飲んで告げると、ためらう仕草を見せながらも、やって見せてくれた。手を添えて胸を押し上げ、首を曲げ、口を突き出し舌を伸ばし……。
 ちろ、ちろ、とアルクェイドの乳首を本人の舌が這う。照れ笑いが妙にそそって、もっと恥ずかしがらせたい。愛しいほど意地悪したくなるなんて小学生みたい、でもしたいことは、したい。
「えっちだなあ、アルクェイド。そうするの、気持ち良い?」
「……あんまり。志貴に舐めてもらう方が好き」
 またこんなことを言われ、素直に愛しさに身を委ねて、もう一方の乳首に口付けた。舐めて甘美な劇薬。触る魔薬。
「んふんっ、良いでしょ、もう?」
「駄目……」
 言うことを素直に聞いて、自分で胸の先端を吸ってくれる。羞じらって、頬が真っ赤だ。そそられて、また両手を使う。ぐにゅぐにゅ力を入れると、アルクェイドは自分で舐めるのをやめてしまった。
 代わりに、ねだってくる。
「志貴、舐めて……」
「ん、何処を?」
 言いつつ、ふくらみを二つ寄せて乳首を並べ、摺り合わせてやる。
「そこっ。おっぱいの先っぽっ」
 両方いっぺんに唇に挟んだ。
「んふん……ぁん」
 左右交互に、ちゅーちゅーぺろぺろ、思うだけ楽しんだ。どっちかの方が感じたりするのかな、なんて調べようとしたけど、あまり判らない。
「あっ……んふっ……ふぁうん……」
 悦楽の声が、耳から入り込んで俺も官能に溶かしていく。
「志貴……ふあぁっ!」
 ひときわ高く上がった声は、逝った時に似ていた。自分も放ってしまいたくて、覆いかぶさるようにして勃起しきったペニスを胸に挟む。手を胸に沿えて挟みつけると、おっぱいの柔らかい肉に包まれて蕩けそう。そのまま、腰を前後させる。隙間無くペニスを覆ってくれる感じの肌に擦れて、快感に震えた。
「うふふ、志貴の、がちがち」
 とろんとした眼つきで言っている。俺自身も性感に酔いながら、訊いた。
「いま、胸だけで、逝った?」
 にまっ、と笑っただけで答えてくれない。
「こら、答えないと、こうだっ」
 きゅ、と乳首を抓ってやる。やっぱり返事しないから、これでもか、なんてグリグリ責めた。
「あん、痛ぁい」
「返事しないからだっ」
「痛いことしたら教えたげないっ」
 表情や態度から答えは判っている。でもそれ以上追求する余裕は無くて、ペースを速めた。おっぱいを揉む手の感触と、挟んだイチモツに受ける柔らかな締め付け。汗で湿っているだけだから、熱いぐらいに擦れる。
「言わないと、逝ったって見なす、ぞっ」
 やっぱり返事はなく、首を起こしてペニスの先端を舐めてくれる。
「はうっ」
 感触の違いに暴発しかけて、どうにか堪えた。いっとき腰を止めて、舌と唇を楽しむ。手を緩めれば刺激は弱くなるのに、できない。別にいつ逝っても良いんだから、と欲情が唆してくる。抗いながら、止まらりたがらない腰を諭してゆっくり動き、滑らかな双丘のスリットを味わう。だんだん唾で潤い、とぷ、とぷ、と吐き出している先走りの液も増えていく。
「ふふ……」
 アルクェイドが悪戯げに、いきなり睾丸に手を伸ばしてきた。ゆるゆる弄ばれて火勢が上がり、吐精を抑えるのがますます悦楽の苦行。
 唇を噛みつつ、腰をあまり動かさず、おっぱいを代わりに上下に揺すってペニスを擦る。動かない分、落ち着いて亀頭を舐めてもらえる。手の中で暴れる二匹の子ウサギ。生き物みたいに這い回るアルクェイドの舌。吸い付かれると、もう果てそう。袋を揉まれて、追い立てられる。
「アル、クェイド……」
 溶けそうなほど舌も気持ち良いけど、今は胸が良い。そんな欲望に突き動かされて再び、大きく腰を振った。摩擦が強くて痛いぐらい、でも快感。えも言われぬ魅惑なアルクェイドのおっぱいを蹂躙して、思い切り楽しんでいる。手の中で押し潰されて、先っぽを摘まれて、ふくらみは赤くなってる。
 それでも、アルクェイドは許してくれている。俺のしたいことをされるのが好きって言った通りに。それに気付いて、愛しさが欲情に加勢する。
「あぅ……」
 もう、限度。最大限のストロークで、穂先から根元まで存分に胸の谷間を味わった。
 どくん、と腹の底で脈打つ。湧き上がって、出口を求めてる。沸き立っている。
 限度とは思っても、いつ放っても良くても、ぎりぎりまでは堪える。その方が最後に気持ち良い。快感の為に快感に耐える。
 どくん。お尻のあたりに力を込める。
 胸から目線を上げて、アルクェイドの顔を見る。手を差し出して、頬に触れてくれる。顔を撫で回す指が痺れるように官能的。
 腰を引いて、傘の裏を撫でられる感触に寒気のような快楽。突き入れる時の、差し貫く熱さが快感。アルクェイドの浮かべる恍惚が俺にも官能。目が合えば、照れるけど喜びが勝る。
 そのまま抜き差し続けたら、全身に震えが広がっていく。
「ある、く……」
 名を呼ぼうとして、弾けた。
「くはぁっ」
 どくん、どくん、と脈動してアルクェイドの胸の間から精を放った。飛び跳ねて、顔にまで多量に。
「志貴の、熱い」
 快楽に息を呑みつつ、まだ擦り付ける。乳首に亀頭を突きつけ、精液でどろどろにしてやる。ぐりぐりした感触が尿道口に気持ちよくて、とく、とまた少し吐き出した。もう片方の乳首にも擦りつけ、腹に力を込めてどうにかこっちにも絞り出してやる。
「はあっ……」
 知らず、また両手で乱暴に胸を揉んでいた。そのままアルクェイドに跨って、しばらく放心していた。
「もう、おっぱい腫れちゃったじゃない、あんなに激しくするから……」
 顔に白いものを付けたまま、アルクェイドは少し膨れて笑っていた。

「でも、おっぱいが好きなのは改めて確認しなくても判ってたと思うんだけどな」
「それもそうだ。じゃ、他の所を試さないとな?」
「えー、まだするのー?」
 文句を言う素振りながら、幸い、どう見たってはしゃいでいる。

 次は、どこを試そう?

/わたしのどこが好き? 胸

 


 

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©Syunsuke