◇ Round 3

 アルクェイドが仰向けに体を倒し、秋葉は着いて行って胸を吸い続ける。
「甘えんぼみたいだね……ぁん……」
 笑われるけど、楽しかった。志貴の精は嘗め尽くしたから、舌に感じられるのはアルクェイドの肌と汗。気のせいかと思う程度の仄かな匂いは、恐らくアルクェイドの肌そのものだろう。
 少し顔をずらして、谷間に埋めてみると、頭を抱き締めてくれる。
「うふふ、悔しいです、アルクェイドさん」
「ん、なあに?」
 ねっとりと柔かく息苦しいぐらいに顔を挟み付ける二つの果実。自分がそれを酷く心地良く思っているのが悔しいのだ。官能より安らぎを覚えていた。
「兄さんも、こういうことするの好きなんでしょう?」
 首を左右に振って楽しんでしまっている。
「好きだよ」
 兄の声がして、秋葉は動きを止める。傍に居ることを、ほとんど忘れていた。
「うん、だから、ちょっと代わってくれないかなあ」
 戸惑うように顔を上げると、志貴はアルクェイドの胸の峡谷の奥に唇をつけ、両手で左右から押し付けて揉み始める。
「いっつも、するね」
 乳首を指先で弄っている。その指を秋葉は咥え、甘噛みして引き剥がし、乳首に吸い付く。
「なんだ、秋葉もアルクェイドのおっぱいが気に入ったのか?」
 笑って、志貴は反対側の乳首を吸い始める。唇で挟んで引っ張ったり、ぷるぷると揺らしてみたり、両手でふくらみを揉んだりしている。夢中で乳を吸っているような姿が愛らしくて、可笑しかった。少しずつ、秋葉も真似を始める。
「おっぱい片方、妹に取られちゃったね、お兄ちゃん」
 アルクェイドが笑う。途端に志貴が手に力を入れたのが秋葉にも判った。
「あん、ママのおっぱいはちゃんと二つあるんだから、兄妹仲良くしなさいっ」
 また笑って、アルクェイドは二人の頭を静かに撫でた。
「誰がママですかっ」
 言いながらも、しばらく兄と二人で柔らかな乳房を堪能した。
 やがて胸を離れ、手を滑らせて下の方へ持っていく。
 くびれた腰。平らな腹。縦長に凹んだ臍のあたり。
 あんなに胸は大きいくせに、ずるい。
 思いながらも、次第に自分が勝っていそうなことを見つける。アルクェイドの肌は黄金のように輝かしくて、張りがあって、滑らか。でも、自分だって肌は綺麗だと秋葉は思う。いや、触った感じは自分の方が上だと思えた。
「兄さん?」
 再び胸の谷間に顔を挟んでいた志貴に呼びかける。
「ん?」
 起き上がった兄の手を取り、寝そべったアルクェイドの腹に触れさせる。戸惑った様子の兄のもう一方の手も捕まえて、今度は自分の腹に当てる。
「私とアルクェイドさんと、どちらの肌が綺麗だと思われます?」
 問うと、志貴は面白そうに顔をほころばせ、両手を動かして二人の肌を丁寧に撫でる。
「わたしよねー?」
 あっけらかんとアルクェイドが笑っている。
「うふふふっ、くすぐったいですっ」
 脇腹の方まで手が及び、指が蠢くの連れて二人とも嬌声を上げる。
「うーん、秋葉かな?」
 迷った末に、という風情で志貴は答えた。これを聞いて、勝ち誇ったように秋葉はアルクェイドを見た。
「えーっ、じゃあ、ここは?」
 そういってアルクェイドは志貴の手を胸に導く。
「駄目ですよ、アルクェイドさん、そこだと肌だけの勝負にはなりません」
「ふーん、初めから勝てる条件で勝負したわけだ」
「そうですよ? でも、それはつまり、肌は私の方が綺麗だと認めるわけですね?」
 一瞬だけ考える様子だったが、すぐに笑顔が戻り、アルクェイドは起き上がって秋葉を抱き締める。
「うん、妹の肌って瑞々しくてサラサラなのにくっつくみたいで、すっごく綺麗で気持ち良いと思うよ?」
 思わぬ賛辞を受けて、秋葉は当惑する。
「もちろん、アルクェイドだって最高に綺麗だぞ」
 志貴が背中を撫でているのが見えた。すぐに、自分の背中も撫でて貰えた。
 優しい抱擁と背中を擦る感触に酔っていると、志貴が言うのが聞こえる。
「さて、今度こそ、本当にアルクェイドの番だな」
「うん、気持ち良く、してね?」
 嬉々として、アルクェイドは仰向けになる。志貴は脚の間に入り、女の部分に顔を寄せる。何をして良いものか迷って、秋葉は単にそれを眺めていた。
「ほら、アルクェイド、秋葉も見てるんだからさ。こんなに涎を垂らしてないで行儀良くしなきゃだめじゃないか」
 からかう志貴に、アルクェイドは脚をもぞもぞさせるだけ。
「ほら、秋葉、良く見てやろう」
 促されて、秋葉も脚の間に入って顔を近づける。自然、アルクェイドは大きく脚を開くことになる。
「あん、そんな二人して」
 恥らって、片手で顔を隠していた。
「秋葉、他の女の子のここ、見たことある?」
「ありませんっ」
 実を言えば、ルームメイトとちょっとだけ見せ合ったことはあった。でも、こんなに大胆に見せられたことはない。
「そうか。アルクェイドは結構この辺りがふっくらしてるけど、秋葉のはもうちょっと薄い感じなんだ」
 二人、頭を並べて眺めながら、金色の性毛の生えた丘を突付いて解説を始める。
「やだ、志貴っ」
 抗議しては居るものの、開き直ったのか、アルクェイドは体を少し起こして脚を更に開く。逆に秋葉の方が照れてしまい、たじろぐ。
「判るだろうけど、ここが」
 秋葉の下腹部に手を伸ばし、志貴は指先だけ泉の湧く谷間に入れる。
「ここって訳だ」
 反対側の手で、アルクェイドの谷間に触れた。先端から指が飲み込まれていく様子は、力を入れているが志貴なのは判りきっているけど、喰い付かれているみたいだった。
「秋葉、この辺が凄く弱いよね?」
 すっと奥に入り込んだ指が、膣内の上面の一点をぐりぐりと刺激してくる。
「あんっ……はい、そこ、駄目……」
 腰が崩れそうになる。
「で、アルクェイドも同じところが感じるんだ。Gスポットとか言うんだけど」
 挿し入れた指を小さく揺らすと、アルクェイドも喘いだ。
「んんっ……うん、そこ、好き……」
「ふぁう、んぁ……」
「くぅん……ひゃぁっ」
 志貴は器用に指を使い続け、二人の女を同時に攻め立てる。
 アルクェイドさん、今、私と同じ感じなんだ。
 同じ所を襲われて、同じように気持ち良くなっているのが不思議な一体感をもたらしてくれる。
「ふあぁ……あっ……」
 速度を増した指の動きに、あっさりと意識を刈り取られそうになる。意地悪なのか優しいのか、その前に止まった。
「で、ここに、おしっこの穴があって」
 膣から指を抜いて、解説を再開した。見ているアルクェイドの性器についてはともかく、手探りで尿道の位置を見つけてしまえる兄に半ば呆れる。
「ねえ、妹も、さっきみたいに責められたら」
 アルクェイドが志貴を遮って尋ねる。
「はい?」
「さっきのとこ責められたら、おしっこ漏らしちゃいそうになったりする?」
「ええっ?」
 その通りだったから、答えるのを憚った。
「ははは、何回ぐらい今までに漏らしたかな? 秋葉は」
「兄さんっ!」
 あっさりと言われて、腹を立てながらも恥辱に駆られてシーツに顔を押し付ける。
「えへへ、そっか、妹も漏らしたことあるんだー」
「あれはっ、その、兄さんが悪いんですっ!」
 顔を上げられないまま、秋葉は責任を志貴に押し付ける。
「ふふ、そうだよねー。ほら、妹も言ってるでしょ、あれは志貴が悪いんだって」
 ……え?
 そう言えば、さっき確か「妹も」と言ったような。
「ふふふ、アルクェイドさんもあるんですね?」
「うん、志貴の顔に掛けちゃったあるよー」
「そんなこと、何を嬉しそうにっ」
 言いながら、自分のときは避けられてしまったのは経験から予想できたせいだろうかとか、考えた。
「こらこら、お勉強の最中だぞ? 秋葉。今度はここだ」
 谷間の上の小さな突起を示して、志貴が言う。
「ぁん」
「ぅくっ」
 同時に秋葉も触れられた。
「名前は知っているよね?」
 恥ずかしくて知らないと言ったら、何度も何度も復唱させられたことがあるから、素直に答える。
「……クリトリス」
「うん。じゃあ、クリトリスの機能は何かな?」
 初めて聞かされたとき、そんな馬鹿なと思ったこと。
「気持ち良くなること、です」
「正解。良く出来たので、ご褒美」
 志貴の指が尖塔の包皮を捲り上げるのが見える。それから、剥き出しになったそれを転がして震わせる。ほとんど同時に、秋葉も同じことをしてもらえる。女二人、また甘い声を唱和した。
 さっきからの淫蕩な睦み合いに比べれば、いくら鋭敏な個所とは言ってもささやかな刺激だった。でも、自分がどんなことをされているのかを目の前で見ているみたいで昂ぶった。
「んふっ」
「ああんっ」
 それに、対抗心よりは親しみを覚え始めているアルクェイドと共通の快感を覚えているだろうこと何か楽しい。
「さて、お勉強はこれぐらいで良いね? 秋葉」
 言うと、志貴はアルクェイドのヴァギナに口付ける。谷間に舌を使い始め舐められて敏感に反応があった。
「ふぁんっ、ん、もっと、して……」
 鋭敏な突起を摘んで愛撫し、左右の陰唇を口と舌で辿る。
「ひぁうぁ……」
 指を二本挿入して奥の上側を擦ったり、大きく往復したり。クリトリスを唇に挟み、舌で繰り返し左右に揺する。
 そんな、アルクェイドが受けている微に入り細に入り精妙な愛撫を見ていると、それだけで熱くなってしまう。さっき、二人で志貴を愛撫したようには行かないのを残念に思いながら、仕方なく秋葉はアルクェイドの顔の方に近寄った。
「妹、ほら」
 愛撫に陶然としたように目を閉じていたが、気配を察したのだろう、秋葉の頭を抱き寄せる。そのまま唇を重ねようとするのを、秋葉は受け容れた。その後で、自分が可笑しくなる。殺してやりたいとさえ思ったことのある女性とキスしているのだ。それも、共に愛しい人と同衾して、三人で性交するなどという淫らな状況で。
 ちっ、ちゅぷっ
 素敵。
 今夜だけで数え切れないほど絡み合わせているアルクェイドの舌は、次第次第に秋葉の弱点を突く精度が上がってきている。とっくの昔に融けている理性が、更に気化して姿を消していく。
「あふっ、あ……」
 時々、突き放して喘ぐのは、志貴の愛撫のためだろう。
「舐めて貰って、気持ち良いですか?」
「うん、すごく……」
 さっきから概ね自分ばかり可愛がって貰っているのは理解しているけど、もっとして欲しくて。膝を開いてアルクェイドの腰を跨ぎ、お尻を突き出して志貴に捧げる。牡を誘う愛の蜜は止めどなく、腿を伝って筋を残していく。
「私にもしてください、兄さん……」
「駄目よ、今はわたしの番よ」
「うふふ、兄さん、お好きな方をどうぞ?」
 志貴が顔を上げたのを確かめ、腰を揺すって見せつける。
「えっちだなあ、秋葉は」
 そう言うと、ぺろり、と腿の付け根を舐めてくれる。
「んふっ」
 強い刺激ではないが、体は歓喜した。二度、三度、同じように舌が触れる。
「駄目、わたしにしてっ」
 膝を立ててアルクェイドも腰を上げ、ゆらゆらと誘いかける。
「ひゃふぅ」
「ふぁんっ」
 二人同時に声を出したのは、二人同時に指を突き入れられたかだろう。ぐりぐりと膣内壁の上面の一点を刺激されて秋葉は腰から崩れそうになる。目の前ではアルクェイドが同じように嬌声を発している。抱き締められて、胸の感触が柔らかくて面白い。悦楽と一緒にやっぱり尿意を覚えてしまうけど、アルクェイドも同じだと聞いて奇妙に安心する。
「あん、志貴ぃ、もう頂戴っ」
 アルクェイドが強請るのが耳に入って、負けじと甘える。
「兄さん、先に私に」
「ずるいぞ、わたしの番なのに」
「ふふふ、兄さんに決めて貰いましょうよ、私とアルクェイドさんとどちらが美味しそうか」
 また二人、抱き合って腰を揺すりながら、志貴を挑発している。
「うーん、でも、何をどうして欲しいのかなぁ?」
 二人の中に入れた指を緩やかに抽送し、時々クリトリスを弄りながら、志貴がとぼけてみせる。
「やん、志貴の、頂戴っ」
「だから、俺の何をさ」
「兄さんの、おち……」
 勢いで言いかけて、やはり止まってしまった。
「ちゃんと俺に判る説明をしてくれたら、そうするんだけどな」
 その口振りから。どうあっても今回もねだらせるつもりだと判った。
 ただでさえ恥ずかしいのに、アルクェイドにすぐ傍で顔を見られている。こんな状態で、はしたない言葉なんて口にしたくはない。逡巡する間に、アルクェイドは先に進んでしまう。
「だから、志貴のペニスをわたしに入れて……」
 今のじゃ兄は許さないと言うことが判る。美しい恋敵が淫らな口上を述べるのを目にして、やはり羞恥に悶えているのが判って、同じなんだって思う。
「いやあ、ペニスなんて難しいことを言われても判らないなあ?」
「やーん、嘘つきー」
 意を決して秋葉は口に出す。どういうわけか、両手ともアルクェイドの乳房を掴んでいた。
「私に入れて下さい、おちん……ちん……を」
 何とか最後まで音量を保たせた。
「うーん、誰のおちんちん?」
 言われて、ミスに気付く。
「志貴のおちんちんっ、ちょうだいっ」
「いや、これは体の一部だし、いくらアルクェイドでもあげるわけには」
 競う相手も、同じようなミスをしている。
「意地悪……んふんっ」
「お判りでしょう、兄さん……んあ……」
 妙に息が合っていた。
「兄さんの、おちんちんを、私に入れて下さいっ」
 半ば自棄に、秋葉が大声を出す。途端に、お尻の穴を突付かれる。
「ひゃっ」
「うーん、秋葉の何処に入れれば良いのかなあ?」
「えへへ、志貴、意地悪だー」
 判っている。何と言わせたいのかぐらい、秋葉にも判っている。本当に口にしたことはほとんどない、猥褻な単語だ。
「私の、大事なところです」
「ん、秋葉のことは隅から隅まで大事だぞ?」
 そんな、嬉しい言葉もやっぱりいぢめっ子には違いない。
 きっと、昔の方が返って平気で口にしただろう、こんなにも愛し合う喜びを憶えてしまう前なら。それが卑語だなんて、社会的約束ごとに過ぎないのに、それでも滅多に発音はできない。
「ほら、こう言えば志貴が入れてくれるかは判ってるんでしょ?」
 アルクェイドが秋葉を抱き寄せ、耳打ちする。秋葉が想定していたのと同じ一文を耳に流し込まれた。
「アルクェイドさんっ」
 それだけでも、恥ずかしかった。
「言わない? じゃ、わたしが入れてもらっちゃうから」
 再び囁いた後、アルクェイドは卑猥なおねだりをして、志貴を満足させた。大きな音で耳にすると、それだって消え入りそうに恥ずかしい。
「よし、行くよ、アルクェイド」
「うんっ」
 抱き締められていて状況は見えないけど、腰の方で動きがある。
「んふっ、志貴、すっごい元気」
「そりゃあ、こんなイヤラシイ女の子二人が相手じゃ……っと、待ったっ」
「ん、なあにー?」
「ストップ、抜くぞっ」
「あン、駄目っ」
 何が起こっているのか判らず秋葉が戸惑っていると、アルクェイドが説明する。
「志貴ってね、入れた途端にキュッてしてあげると、すぐ逝っちゃうことあるんだよ」
「キュッって……」
「ふふ、ここを、ね」
 秋葉の女に指を差し入れた。
「何だったら、どうすれば良いのか後で教え……あんっ」
 志貴が腰を使い始めたのが判る。アルクェイドは間欠的に喘ぎ始めた。その口を塞ぐようにキスして今度も乳房を揉む。キスを続けながら、お尻を高々と突き上げて志貴の顔の前に晒す。
「良い眺めだな」
 志貴はアルクェイドに性器を突き立てながら、ただ秋葉を見ているばかりで何もしてこない。
「んぁあ……ほら」
 アルクェイドの手が伸び、秋葉の下半身に至って性器をくつろげてみせる。クリトリスを軽く摘むようにして、腰を大きく揺すらせる。
「これぐらいしないと、食べて貰えないよ?」
「私は、あんな卑猥なことを口にしてしまえるアルクェイドさんとは違いますっ」
「ふーん、じゃ、舐めなくて良い?」
 二人の間に挟まれて、結局秋葉もイヤラシイことを言わされてしまった。
「ふあっ……ん、んくっ、ふぁうっ」
「あん……兄さん……」
 後で思い出したら顔から火が出るだろう、腰を上げた姿勢で女を口唇愛撫され、アルクェイドにクリトリスを弄られて、秋葉は啼き続ける。挿入されているアルクェイドは羨ましいけど、クンニリングスだって気が変になりそうなほど気持ち良い。残りの手で体を支えてくれているお礼に、秋葉も手を伸ばしてアルクェイドのクリトリスを探った。くすぐると途端に声が高くなる。もう少し遠征して、恋敵を貫く志貴のペニスに指を絡める。
 志貴の舌が肛門に集中し、前には指を挿入して腰と同じリズムで往復し始める。逞しさを指で感じているから、単に指で突かれるよりずっと感じる。でも、それだけに、物足りない。
「ふぁうっ」
「んくぅう」
 少し動いて、またアルクェイドの胸元に顔を持ってくる。突かれる度に、二つの丘は仲良く揃って揺すぶられている。大きくて柔らかいから、麓より頂上が遅れて揺れる。どういう訳か二つの乳首は対称に輪を描いていた。
 待ち伏せて、その乳首の片方を秋葉は咥えこむ。
「志貴、もっと突いてっ」
 懇願された志貴が腰の動きを激しくする。距離が短くなる代わりにピッチが上がった。
「あぁっ、くふ、ん、ひあっ」
 腰に集中すると、手は同調して速度を上げつつも、秋葉を舐めるのは疎かになる。
「兄さん、もっと、舐めて下さい」
 求めに応じて太腿、ヴァギナからお尻まで舐め廻し、吸い、甘噛みし、舌を突き入れ、音をたてて蜜を啜る。
「あん、駄目……もっと……いやぁ……そこはっ、好き……」
 そんなことをしていては抽送は甘くなり、アルクェイドが不満を漏らす。
「ねえ、志貴? 姿勢変えよ?」
「姿勢? どう、するん、だ?」
 一番奥まで突き入れた状態で志貴は動きを止めた。指に触れたから、秋葉は精巣を弄ぶ。他の男性のものなんて知らないけど、きっとここも立派なのだろうと秋葉は思った。
「そのまま後ろに寝て?」
 志貴が後ろに倒れて仰向けになるのを追って、機敏に脚の位置を遣り取りしながら、繋がったままアルクェイドは志貴に跨った。腰を突き上げていた秋葉も、志貴の顔の上に腰を下ろす姿勢になる。丁度、三人の体で作っていた三角形を一辺ぶん転がした格好だ。
「えへへ、成功ー」
 鉄棒で逆上がりの出来た子供みたいに無邪気に笑うアルクェイドが可愛らしくて、秋葉は抱き締めてしまう。
「顔がびしょ濡れになるなあ、秋葉の大事なトコ、こんなだから」
「悪いのは兄さんですっ」
 反射的に不条理な反論をしていた。
「動くね?」
 宣言して、金髪の美女は体を上下させ始める。
「志貴、今日はホントに、おっきくて堅い感じ」
 すぐに、眼を半ば閉じて、陶酔していく。羨む前に、秋葉には志貴が指を挿入した。
「ほら、秋葉も動いて」
 言われて、素直に秋葉は指を相手に腰を振る。大きさは及ばない代わり、指は女の中で蠢いて的確に急所を捉えてくれるから、悦びは小さくない。むしろ、加減しようと動きを遅めたら責め立てられてしまうから、まるで休めない。
「気持ち良い?」
「はい……」
 誰に問われたのかも気にせず返事をしたら、次の瞬間にはキスされていた。両手を捕まえられて、胸に導かれる。
「揉んでくれる?」
 実行することで、返事に代える。さっきから既に随分と揉んでいるのに、触れば触るほど手に馴染む。張りのある表面なのに添えただけの指が埋まるほど柔らかく、だけど力を込めると丹念に押し返される。快い弾力は、押えたら抵抗しながらもゆっくりと屈服していく。だけど芯は強くて従順にはならず、放したらすぐに元の姿。ねっとりとした塊は揉むほどに手と解け合って行くかのようで、腕の方まで快楽に包まれている気がした。
「ああっ」
 アルクェイドの声が、一段と蕩けている。蕩けながらも、しっかり秋葉の両の乳首を愛でている。
 時折唇を交わしながら、女二人、互いにバストを愛しあった。
「二人とも、動いて」
 志貴が下から訴える。胸の愛撫が甘くて、二人とも腰が止まっていた。
 再び、蜜壺で男を慰めながら、甘い唇を吸い合う。アルクェイドが少しずつ体を反らして行き、秋葉の頭はキスする位置から下にずれて行く。首筋を辿り、鎖骨に唾液を残し、アルクェイドが手を後ろに付いて体を軽く支える格好になると秋葉はまた胸に顔を添えることになる。そんな無理のある姿勢でも腰使いは変わらないから、胸は上下に触れて震えている。それを捕まえて内側に寄せ、左右の乳首をくっつけるようにして舐める。堅く隆起した乳首は柔らかな乳房の天辺で異質な感触。
「んふ、それ、好きっ」
 すっかり慣れてしまって、二人とも滞り無く腰を揺すっていた。
 アルクェイドが体を起し直し、まっすぐ抱き合う形に戻る。キスしながら、自然に互いの腹部に手が伸びる。お腹を撫で回し、臍を突付いて下に降りていく。気持ち良くなるためだけに存在する女の器官に辿り付き、その機能を存分に発揮させる。
「んく、んぁふ、ひゃあぁっ」
「ふ、く、ひ、ひゃうっ」
 胸を押し付け合う体勢だから、お互いの肌で乳首も刺激されていた。
「そろそろ、逝き、そう……」
 アルクェイドが告げる。
「あん、私はまだ、もう少し……」
「ははは、秋葉の貪欲でえっちなのには誰も敵わないな」
「兄さんにこそ、敵いませんっ」
 これだけの美女に淫らに腰を振らせながら、こんなにも耐えているのだ。自分だって、男を興奮させ、滾らせ、歯止めを効かなくさせるのには役立っていると秋葉は思う。
「しょうがない、こっちも使うしか無いね?」
 言い終わらないうちに、肛門に指が当てられる。愛蜜に濡れそぼった指は、さほどの抵抗も受けることなく潜り込む。腰の動きに合わせるように、少しずつ侵攻される。今はまだ違和感だけ、でもこれがすぐに貫くような法悦になってしまうことを秋葉は充分に知っていた。
 指一本入り込み、もぞもぞと蠢き始める。膣への快感と協奏してしまうから、静止しようとしたら、アルクェイドに抱かれているからそれも出来ない。
「ふあぁ、ああぁっ」
「志貴ぃ、もう、逝っちゃう……」
「俺も。良いよ、逝って、アルクェイド」
 秋葉のヴァギナに入れた指の動きが速く、複雑になる。尻を犯す指もまた、くねり、ねじり、暴れる。一番絶頂に近い中、それでもアルクェイドは秋葉の小さな快楽のボタンを愛し続けている。
「兄……さん……」
 一気に、翔け昇るように秋葉に絶頂感が湧く。どこか判らないけど、素敵なところ。
「ねえ妹、一緒に、逝こ?」
「……はい」
 そこへ、一緒に。
 二人、抱き合うように、動きを更に上げた。ぎりぎりの意識の中、それでも残していた抑止を外して、奔流に身を任せる。目の前の麗しき人が得ている歓喜は、たぶん自分のとよく似ている。
 敏感すぎると言ってしばしば志貴にからかわれる秋葉だったが、恥ずかしいとは思っても、嫌だと思ったことはない。
「志貴、逝く……」
「兄さん、私……」
 だって、幸せ。兄さんに愛されるのは、こんなにも、幸せだから。過敏な肌を撫でられるのは、こんなに素敵だから。唇を交わすのは、天上の甘露だから。
 嬉しくはあっても、嫌う理由などありはしない。
「妹ぉ……」
「アルク……」
「ああ……」
 ペニスを挿入されていたのはアルクェイドさんだったはず。
 そんなことを、秋葉は思った。
 そういえば、抱き合っている相手は兄さんじゃないんだった。愛しい人を奪い合っている憎い人のはず。
「くああっ」
 でも、そんなこと、関係なかった。気持ち良いのはもちろん好きだし、志貴に貫かれ、抱かれ、蹂躙され、愛されるのは狂おしい快楽。
「ひゃう、ぅああ……あふぁ」
 でも、欲しいのは、共有する肌のぬくもり。溶け合うような血の熱さ。ひとつになれる幻想。
「くぅぅ、うぁ、あんっ」
 自慰だって気持ち良い。だからこそ、してしまうのだ。でも、熱くなる体に反して、芯の方が冷えてしまう。熱い想いに身が焦げるばかりで、ぬくもらなくて、心は凍てついてしまう。
「ふぁう、あふっ、ひあ、んくっ」
 だから。
 今、自分を抱き締めてくれてる人は、恋敵だろうと何だろうと、兄と一緒に確かに自分を慈しんでくれているのだから。
 そんな優しい想いの内に、秋葉は快楽と、それに倍する幸福感で満たされる。溺れるほどに満たされた。達したタイミングが一緒だったのかどうかなんて判らない。でも、そうに違いないと思える一体感だった。
 失神したわけでもないはずながら、気が付いたら秋葉はアルクェイドと抱き合って寝ていて、後ろから志貴にも寄り添われていた。
「幸せそうだったね、妹」
「はい……とても。アルクェイドさんは?」
「うん、幸せだったよ、妹を抱っこしてて」
 とても、不思議だけど、そんな感情も今は良く判る気がした。

 

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