「どうしたの? もっと色々、わたしの初めてを奪いたい?」

白の夢


 レンが挑発している。弄られて、性懲りもなく俺は勃起させている。もう一方の手で、頬を撫でてくる。それから、思い出したように、服を脱ぐ。
「レンッ」
 あっさりと脱ぎ捨て、もう残っているのはニーソックスとショーツだけ。白亜の少女の体は妖しく細くて、平らな胸には、仄かに輝くような珠が二つ。腿を跨ぐ脚の間は、桃色の布地越しにも濡れているのが判る。恥じらいは見せつつ隠しはしない。
 ごくん、と唾を飲む。開いて見せた口の中に、肉色の舌が動いている。
「ふふふ、いま体を自由にしてあげたら、志貴は何をするかしらね」
 また、唾を飲む。
 そんなの、決っている。
 間違い無く、押し倒して、犯す。思った途端に、
「ほら」
 実際、自由を取り戻し、呆れるほどの動きで白いレンを組み伏せていた。仰向けにして、両腕を押さえ付けて、上から顔を覗き込んでいる。
 怯える気配はない。蔑む表情を作りきれず、喜びの笑みが零れてしまっている。不思議に思えて、踏み止まる。
「なんでこんなこと、するんだ?」
 しばらくは沈黙が続いたけど、ちょっと頬を脹れさせて、返事をしてくれた。
「なんでって、しているのは志貴でしょう? 初めから言っていたじゃない、志貴が望んだからだった」
「馬鹿言え。俺は君が出て来れるってことも知らなかったんだ。こんなこと、望むわけがない」
「……叶わないと知っているからって望まないわけじゃないでしょう?」
「難しいこと言うなあ。でも、ほんとに俺じゃないよ、こんなこと願ったのは」
 あることを思い出しながら、答えた。
 不思議そうにしていた白いレンが、怖い眼をして口を開く。
「望んだのはわたしだとでも? そうね、わたしが望んだんだとしたら、志貴としちゃ、気持ち良く犯せるってものよね」
「まだそんなことっ」
 未だに、目的が判らない。精が要るってだけなら、こんなややこしい真似はしなくても良いはず。やっぱり、あっちのレンを出し抜いて何か企んでいるのか。
「良いわ、言ってあげる。嫌がるのを無理矢理犯す方が好きとかじゃないってことに免じて、ね」
 挑むように、誘うように、白いレンが告げる。
「わたしが抱いて欲しいの。だから、好きに犯して良いわ」
 奇妙なことに、これも嘘には思えない。
「……良いのか? 俺で。精が無いと死ぬとかって理由なのかも知れないけど」
 白いレンは、はっと息を呑む。硬直が解けても、口をパクパクさせるばかりで、何か言おうとして逡巡している。そしてやっと、
「志貴は、わたしなんて、嫌?」
 そんな、おかしなことを口にした。
 困惑しながら、そんなことはないって否定する。今の姿勢は、犯そうとした結果なのだし。
「でも、理由は?」
 白いレンは、複雑な表情をする。
「良いでしょ、理由なんて。でも、わたしは……」
 言葉が途切れて判らない。
「……きゃ、いや……」
「ん?」
 また何か言ったけど、よく聞き取れなかった。何か、嫌って言ったみたいだけど。
 しかたなく、促して耳を傾ける。
「……『俺で良いのか』って、言ったんでしょ、さっき」
 拗ねた様子。うん、と返事する。
「だから、わたしはっ」
 そっぽを向いたままで、言葉が落ちた。
「志貴じゃなきゃ、いやっ……」
 言ってしまって、怯えたように、ちらちらと視線をこちらに向けている。
「レン……」
 元々の欲情が、この白いレンの仕業だとしても。いま、愛しくて抱き締めたいのも、欲しくて抱きたいのも、たぶん事実で。
「レン……」
 上を向かせて、顔をお合わせる。頬は真っ赤だけど、目を閉じることも逸らせることもなく、見詰めてくる。
 耳元に口を寄せて、囁く。
「言われた通りだね」
 耳がくすぐったいのか、びくんって震えてる。
「何度も言ったじゃないか、俺のこと変態って。でも、こんな小さなレンに、本気で欲情してるから。ほら、煽ったのは君なんだ、覚悟するんだぞ?」
 言って、耳朶を唇に挟んだ。
「んふぅっ」
 いきなり、それだけで喘ぐ。向こう側の耳も、指でつついてあげる。
「ふぁうっ……」
 細く息を吹き込む。耳の周りを一通り舐める。逃げたいのに頑張ってじっとしているのが判る。
「いきなりこういうのってのは、辛い?」
「んっ……うん……うぅんっ……」
「はは、どっちか判らないじゃないか」
 言いながら、反対側の耳に唇を移す。
「ひゃうっ!」
 全身脈打つような反応。楽しくなって、両耳を挟み撃ち。どうやら、息を当てられるのが一番駄目みたいだ。
「志貴……お願い……」
「ん、なに?」
 白いレンのさっきの態度からすれば、ひどく、しおらしく言った。
「キスして……」
 言われて、それだけの言葉が、何かぞくっと震えるほど快感。抑えられず、いや、抑えようとせず、白いレンの可憐な唇を奪った。二度も俺のものを口にしていたわけだけど、忘れる。小さいくせに、しっかり舌は絡み付いてくる。見なくても、愛らしくも艶めかしい動きが手に取るように判る。
 息苦しくなって離れると、赤い目が名残を惜しむように見ていた。戻って、もう一度唇を合わせる。指を添えて、目を閉じさせる。
 小さな舌が、甘い。ほんとに蜜を含んでいたみたいに甘露。全身の神経が信号を発火していく。良い匂いがする。レンも、いつも不思議に香るけど、白いレンも同じように芳しい。穏やかなのに、熱が湧く。
「はぅ……」
 息を継ごうとして、恍惚としたレンの顔が目に入る。緩んだ表情は、幼い造形に相応しいのに、今の俺には淫らに見えて。唇には戻らず、首に口付ける。
「ひゅんっ」
 赤ん坊みたいな肌を、舐める。舌触りが、ゼリーみたい。
「んふ……ん……」
 喘ぐ声が愛らしくて、
「ふあ……んふ……しき……」
 いやらしくて、
「ひゃう……」
 もっと啼かせたくなる。あんまり肌が美味しいから、唾はいくらでも出てくる。レンの体を、唾液まみれにしていく。
 平らな胸も、手を当てれば柔らかい。まだ舐めていないあたりも、しっとりと汗で潤っている。白い肌は血色良く輝いていて、色素の薄い乳首は周りと同じ色をしている。未熟な蕾は、まだ眠っている。
 お腹に、ほっぺたを当てる。下を向いて、お臍のあたりからキスしながら登る。このあたりの肌もまた、美味。ちょっと強く吸い過ぎて、紅い跡を残してしまい、反省しつつも同じことを繰り返す。白いレンの柔肌に、俺の印を刻んでいく。
「あ……」
 胸の方に近づくにつれ、緊張していくのが判る。
「大丈夫」
 声を掛けて、脇の下をつつく。
「にゃっ、ひゃふっ!」
 頓狂な声を上げさせたところで、乳首に口付けた。舌先で、転がす。
「ひゅんっ、ひゃうっ」
 こっちも、声の出るボタンらしい。舌を震わせ続けると、レンの囀りも同じだけ続く。少し、硬くなってる。
「しっかり感じるんだ。幼い体なんて何度も言ってたけど、充分えっちな体じゃないか」
「それは……あふん……」
 何か言いかけてたけど、また乳首を吸ったら途切れた。
 丁寧に舐め続けるうちにしっかり尖って来て、舌をくすぐり返される。左右交互に口付けつつ、開いた方のを指先で楽しむ。こりこりとした珠は、唾に濡れて光っている。薄い胸も、こうして掌を当てればちゃんと柔らかい。
 すっかりピンと張り出した乳首を片手に任せ、バンザイさせて滑らかな腋の下にキスする。こんなところにまで薄紅くマーキング。
「んっ、にゅっ」
 自分で付けた跡を舐め取ろうと舌を使う。
「ふふふふふっ、だめっ」
 腕を掴まれて逃げられず、レンは身悶える。
「ふふ、くすぐったい?」
「当たり前でしょっ」
 ちょっと怒ってる。
「そっか。じゃ、こっちも」
「あんっ」
 反対側の腕を上げさせて、腋に唇を近付ける。まだ触れてないのに、笑いを堪えているのが判る。息を吹きかけただけで笑い始めた。
 ちゅうっ、と口付けたら、笑いがもっと破裂した。
 ちょっと辛そうだから、これぐらいにしておく。
「駄目か。レンは結構、ここを舐められるのは好きみたいなんだけどな」
 つい、そんなことを言ってしまい、強いられた笑いの名残を見せたまま白いレンに睨まれる。
「何よ、こんな時に他の女のことなんて……」
 無神経ね、と膨れている。
 しっかり、女の子だ。
「ごめん」
 素直に詫びて、口付ける。舌を突きだしてくるから、応える。僅かにしか触れないのに、快感が続けざまに弾ける。
 また胸のあたりに口を寄せると、また言ってくる。
「もう、さっさと犯せば良いじゃない、まどろっこしいわね」
「はは、それは催促と受け取って良いのかな?」
 すべすべしたお腹に頬を擦りつけながら、返事する。俺の方は、白いレンの肌に溺れそうで、入れたいのに我慢してる訳じゃない。
 ふんっ、なんて、自分が焦れてるとは認めない。だから、腰の方への移動をストップして、お臍にキスする。小さな窪みに舌先を入れる。
「ひゃふんっ」
 頭を掴んでくるから、その手を握ってあげる。今度は口にしないけど、お臍はあっちのレンと一緒で気持ち良いみたい。
 脚がバタバタし始めたのを合図に、その付け根のあたりにまで移動する。
 目の前には、ピンク色のぱんつ。大事なトコのあたりは、とっくに洪水。
「えっちだな、漏らしたみたいだぞ、ここ」
 濡れた布地の上から唇を押し付ける。
「んっ」
 変態、なんて言ってる。息を吸うと、動物質なのに花を思い浮かべる生々しい匂いがした。
 レンの女の子を食べるみたいに口を大きく開けて、ゆっくりと息を吐く。
「ん……はぅ……んふ……熱い……」
 もどかしげに、啼いている。二、三度繰り返すと、音を上げた。
「意地悪……」
 もう一回だけ同じことをして、満足する。
「ほら、脱がすよ?」
 うん、と承諾を得た。お尻を持ち上げて、引き下ろす。次は両脚を持ち上げて、一息に抜き取る。
「あ……」
 白いレンは、脚を閉じて手で隠してしまう。
「うーん、見せてくれないのかな?」
 そろそろ俺も欲しくなってきているけど、まだ大丈夫。
「いじわる……」
 言葉と共に手をどけて、おずおずと脚をくつろげる。俺が手を出さないことを言ってるのかな。
「酷いな、何もしてないじゃないか」
「それが意地悪なのっ」
「そっか。じゃ……」
 脚を膝から持ち上げて開かせ、大事なトコを存分に鑑賞できるようにする。まともに生え揃ってもいないし、造りは本当に幼い。あっちのレンとはきっと瓜二で、ただ、余計に未成熟に思えた。
 だけど、その幼い妖花はたっぷりと蜜を溢れさせていて。その芳香で、牡を誘っている。
 ごくん、と唾を飲みつつ、膝から手を滑らせる。細い腿だけど、肌も肉感も官能を直撃する。また涎を落としそうになりながら、我慢して内腿を揉んだり擽ったり。肌理細かなのは胸とかと同じだけど、張りはこっちの方が上。
「志貴……」
 甘えた、切羽詰まった声。花蜜を味わいたいけどまだ抑えて、代わりに、脚の付け根のあたりにキスを繰り返す。レンが両手で頭を掴んでくるけど、するに任せる。
 また名前だけ呼ばれて、こっちも名前だけ呼び返して誘惑に耐える。花芯の両側に舌を遊ばせて、しゃぶり付きたいのを宥める。甘い匂いに、口の中が唾でいっぱいになる。
「志貴ぃ……」
 我慢比べは、二度も放った後の俺の方が有利だった。
「意地悪……」
「ふふふ、さっきの仕返しだよ」
 そこら一面、こちょこちょこちょ。レンは体を痙攣させて、とうとう折れた。
「気持ち良く、して……お願い」
「えっちだなあ、散々変態なんて罵った相手にでもそんなこと、ねだっちゃうんだ」
「だって……志貴だもの……」
 その一言に、不意に欲情している以上に愛しくなって、白いレンの女の子の部分に口付けた。
「んあぁっ!」
 狭い谷間を舐め上げる。小さなボタンを顕わにして、唇に挟んでしゃぶる。レンの匂いが、脳天まで突き抜ける。湧き出る泉を飲み尽くそうと、音をたてて吸い、舌を動かし、唇を使う。甲高くレンの啼くのが聞こえて、それが蜜を貪るのに合っているから、白いレンを演奏しているみたいだ。
「はふっ……ぁあっ……」
 クリトリスは指に任せて、ひたすら谷にしゃぶり付く。雫の流れていく先を見て、お尻の方までつついてやる。
「しっ、きぃぃ……」
 泣きそうな声。それで、意地張るのも、意地悪も止めることにする。仰向けの白いレンに覆い被さって、耳元に唇を添えて、囁く。
「そろそろ、良い?」
「うふ……あら、なんのこと?」
「いや、俺にホントに犯されるんだってことに諦めは付いたかなって」
 正面から向き合って答えを待つ。
「何よ、最初っからその気だったくせに。好きにすればいいでしょっ」
 口ぶりは相変わらずだけど、今までに無く嬉しそうにしていた。
「よし、行くぞ。泣いても止めないからな」
「ふんっ」
 目を閉じて笑いを隠しながら横を向くレンに、口付けて応える。ペニスの先端を、小さな性器に宛がう。準備は充分だろうし、レンと同じ体なら、実際には問題ないはず。それでも、不安だ。
「ほら、覚悟しろ?」
「ん……」
 しっかり、亀頭を押し当てる。レンの蜜が熱いぐらいだ。まだ触れているだけなのに、小さな体は硬くなっている。これじゃ、余計に痛いだろう。
「リラックス」
 言って、腋を擽ってやる。
「ひゃはっ!」
 笑った瞬間に、ぐっと突いた。
「んあぁっ!」
 少しだけ入り込み、感覚に戦慄して止まってしまう。あんまり、きつくて。受けた官能が強過ぎて。
「だいじょうぶ……」
 今度は、レンが促してくれる。うん、とだけ告げて、更に進む。とろとろに潤った柔かな肉の狭間なのに、受け入れてくれるサイズは確かにあるのに、道が険しい。喜悦に、正気を削られる。性器の触れ合った部分同士、くっついて離れたがらないみたいな抵抗。
 首筋から方から耳から、次々とキスを降らせながら、また進む。苦痛か快感か判じ難い、白いレンの表情と息遣い。破裂するような性感に、一気に貫いてしまえって掻き立てられる。
「大丈夫?」
「うん、平気……」
 明らかに、無理してる。ためらって、一度退こうとして、雁首をなぞり返される感触にまた、息を奪われる。危うく暴発しそうなほどだった。もう、抜き差しならない。
 行ってしまわないと始らない。腹を括ろう。
「ほらっ」
 首を抱いて、捕まらせて、奥まで貫いた。
「かはっ……つぁ!」
 レンが悶える。抱き締める。俺を包む肉が蠢いて掴みかかってくる。じっとしてるのに、搾り取られそうな快感。しばらく、二人して動かず荒い息を吐き続けた。胸に手を当てればレンの鼓動が判って、同じように膣の中が脈打っている。それだけで、とろけそうだ。動かなくても達してしまいそう。
 だから、告げた。
「動く、よ?」
「うん。でも、先に……」
 何を言いたいのか、不思議に判って、
「キス……」
 言い終わらないうちに、口付けた。
 びっくりしてる目を覗きこみつつ、意を決して、腰を引く。白いレンの魔性の膣がまともにイチモツを捕まえていて、びっちりと撫でられる。こんなにゆっくりな動きだけで、気の狂いそうな、快感。
「はぅっ」
 気を抜いたら、そこで果てる。騙し騙し、先っぽだけ収まったところまで戻り、休んだら動けなくなりそうで即座に反転する。
 二度目の侵攻は、レンには幾分楽になったみたいだけど、俺にとっては変わらぬ悦楽の苦行。まとわりつき、涎を垂らす小さな無数の口に食い付かれているみたいだ。
「すごい、気持ち良いよ、レン……」
 桃色に染まった耳に、囁きを流し込む。首をすくめながらも、逃げようとはしない。体を丸めた姿勢のせいで、抱き合っていると言うより捕まえている感じで、それも背徳の気配。息が苦しげで心配になるけど、自分も似たようなものだった。
 手を伸ばして、クリトリスを探る。触れた途端、ヴァギナが蠢動して、締め付けられる。意を決して、くりくりと弄る。
「んぅっん……」
 びくびく、搾り取ろうとするみたいに、蠢く。敢えてその中で、再び腰を退く。逃がすものかって具合に吸われている。
「はっ、ぁっ」
 三度、押し入る。だいぶ優しく向かえてくれるようになったけど、緊密なのには変わりがない。クリトリスを擽るリズムの脈動は続いている。入口の方と奥とで感触が違って、ひと突きの間でさえ気が抜けない。
 それでも、少しは慣れて、レンもほぐれてきたみたいで、スムーズに抽送できるようになる。突くときは歓待してくれて、下がるときは放してくれない。
「気持ち、良い?」
「うん……ぁ、ふあっ、んぁあっ」
 両手で頭を抱いて、腰の動きに集中。他の愛撫のできる余裕が無くなってる。子供の声には違いないのに官能に染まりきった声が耳に弾けて、意識が融けていく。
 くちゅ、ぐちゅ、と水音。レンの匂い。肌が温かい。目の前が白いのは髪の色。気付けば、愛しく思っている。
「しき……」
 熱くて甘いチョコレートの海。白いレンの中は、そんな心象。偽りの雪原は融けたみたい。雪色だった体は、すっかり血の気に溢れている。
 突き入れるたびに、レンは歌う。こっちは、引くときが鮮烈。まだ逝かずに保っているのが不思議。快感の可飽和。知らず、呻きをを上げてる。レンの唄に唱和する。
「レン……」
 名を呼んだら、レンの体からペニスに喜楽の波が返ってくる。
「しき……」
 名を呼ばれると、腹の奥で熱が湧いて、全身に伝播する。レンの中にも入っていく。
 抱き締めたくて、抱え上げた。
「あっ」
 膝立ちで、斜めに突き上げる。
「ふあぁっ!!」
 目を閉じたままで、しがみついてくる。いっそう奥まで、潜り込んでる。ピッチまで上がる。串刺しに貫いたみたいで、その妄想にまで猛る。いっそ壊れるまで突こうとする。
「しきぃ……」
 背中に、小さな手が爪を立てる。小さな背中を、撫で返す。臍の下で、起爆寸前。がくんがくんって震えてる。
 ぎゅっと。
 華奢な体を抱く腕に力を込めた刹那に。
 弾けた。
「んぁああーっ!」
「れんっ……」
 悪魔に近いという白いレンの、サッキュバスたる面目躍如な隙間も無いほどに狭く密なヴァギナの中に、穿ち入れた俺のペニスから、3度目にもなるのに呆れるほど熱く精を迸らせた。
「くっ、はうっ」
 幾度も呼吸する間、射精の快感が途切れなくて、お陰で息ができなくなって。頭の中で星が飛ぶ。レンのソプラニーノにクラクラ。背中に食い込む小さな爪が、ピリッと丁度アクセント。ぐずぐずと、飛び出した魂に置いて行かれて体だけベッドに沈んで行くような幻想。
 好き……。
 それは、ほんとうに耳にした声だったのか。白いレンの笑いが頭に浮ぶ。それは、天使みたいな微笑みで。
 絶頂感が長く続きすぎて、ほとんど、気絶していた。
 ゆっくり、魂が体に戻ってくる。
 レンをベッドの上に下ろして、体重は掛けないように上から包み込んで、口付けた。涙の跡を見つけて、舐め取った。
「志貴……」
 首に抱き付かれる。そのまま、ころんと一緒に転がって、レンを上に仰向けになる。しばらく何も言葉を交わさなかったけど、やがて、白いレンは顔を上げて覗き込んでくる。
「ふん、満足したの?」
 一番初めみたいな調子に戻っていた。いや、戻ろうとして、戻れていない感じ。
「うん」
 でも、そんなことまで指摘したりするのは、やめておいた。
 もう一回、引き寄せて、ぎゅっと抱き締めてあげたら、束の間だけは文句を言っていた。またも、変態だなんだと。だけど、そのうち大人しくなって、ふと見たら眠ってしまっていた。
 結局、あんなに欲情したのは白いレンが何かしら仕組んだからなのか。愛しく思ったのは、俺自身の本当の感情なのか。あまり、はっきりはしなかった。
 ただ、穏やかに眠る姿は、微笑ましいものだった。

 翌朝、起こされたときに翡翠は顔を赤くしていたのだけれど、理由は怖くて訊けなかった。何だったにせよ、幸い、翡翠は誰にも話さずにいてくれたみたい。

 

/白の夢・了

 


 どうも白レンのキャラを掴み損なっている気がしつつ、今回は良しとする^^; 絵だと髪はグレイがかってますが、ここは勢いで白ってことで了承願いたく。
 白レンも志貴のことは好きなんだろうと思うけど、どうなのでしょうねえ。
 ちなみに、白レン教徒の乱は1796〜1804。いや、本気で関係ありませんw

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©Syunsuke