獄楽両女界曼荼羅


 寝室で妹を抱き締めているというだけなら、まだしも仲の良い姉妹で済むかも知れない。だけど、二人とも裸となると少々雰囲気がおかしくなる。
 背中から裸体を抱き、凛は、桜の豊かな乳房に両手を添えている。戸惑い、照れながらも桜に拒絶の気配はなく、姉に体を委ねている。むしろ触っている凛の方が、妹以上の恥ずかしさと奇妙な悦びに胸を高鳴らせていた。
 妹が魅力的な女の子であることは嬉しいけれど、その体つきの違いには、やっぱり嫉妬してしまう。直に触ってみて、ねっとりと柔らかくてそれなのに指を押し返す感覚に、自分の胸との違いを痛感させられる。
 おまけに、とんでもなく肌が滑らかで潤っていた。ふくらみの形を辿る手に、優しく吸い付く。ついつい指に力が入り、双峰を変形させて遊んでしまう。自分の手に弄ばれる乳房を、凛は桜の肩の上から覗き込んでいる。見え方のトリックで、自分のバストがこれぐらいになった気分も味わえた。ついつい、確かめるように指を使ってしまう。
「ん……」
 小さく漏れた桜の声に、はっとして篭もり過ぎた力を緩めながらも、愛撫はやめられない。指先を頂上の突起に掛けると、また桜は甘い声を零した。つつき回す指に、愛想良く乳首が堅くなる。自分の胸を触っても別に楽しくないのに、どうして桜の胸だとこんなに心弾むのか。そりゃ、大きさは全然違うけど、やっぱり他人の体じゃないと駄目なのか。
 自分で乳首を触るのは、それなりに気持ち良いけど。でも、そのときも特に指が楽しい訳じゃない。
 夢中になって揉みながら、桜の背中にこすれて凛の乳首もまた尖り始める。触れ合う肌が、思いがけない快感を湧き起こす。シャンプーと肌の匂いが混ざって、媚薬みたいに凛の思考を侵していく。
「姉さん、先輩が待ち焦がれちゃってます」
 とろけた声で言われて、やっと凛は士郎が居たことを思い出した。それぐらいに、桜の肌とバストは魅惑だった。
 女の、それも姉妹の自分でこうなのだから。
 凛は思う。士郎が、桜の胸に目を、心を奪われてしまうのは仕方のないことだろうと。もっとも、そんなことを士郎に認めてやりはしない。
 当の士郎は、桜の正面で、たっぷりと凛の手に揉みしだかれる豊満な胸を食い入るように見詰めていた。こちらもまた、裸。脚の間では男性器が隆々と勃起している。
 今まで飛び掛からずに我慢できていたのは奇蹟に近い。桜もまた、先程から逞しい屹立を熱い眼で眺めていたのだ。

 なんでまた、こんな、いくら溜まっていたって妄想さえしなかったこと。

 士郎は、思わずには居られない。しかし、桜に声を掛けられ、束の間の疑問も霧散する。
「良いですよ、先輩……」
 ありえない光景に心痺れていた士郎が、切っ掛けを得て片手を出し、凛の手に重ねて一緒に桜の乳房を揉み始める。直接、肌を味わうことはできなくても、ボリュームと弾力は存分に楽しめる。その上、士郎にとっては凛の手だって触れれば快感。
 凛は凛で、やっぱり士郎と触れ合うのは嬉しいことだし、手を操って妹の体を弄ばされるのも悪くなかった。
 あるいは、すこし手をずらして、二人掛かりでやっと膨らみを包み込んだりする。
 もう一方の丘に、士郎は顔を押し付けた。凛の手に場所を譲らせて、うっとりと頬擦り。えも言われぬまろやかな鞠は、ぽよんぽよんと士郎の頭を弾ませる。
「ぅんっ……」
 遊ばれてしまって恥ずかしくなり、桜が肌を自分の名前どおりの色に染める。
 今度は口を付ける。ぺろぺろと肌を舐めて天辺を目指し、士郎は乳首に吸い付く。そこを弄っていた凛の指と一緒に、舌で転がす。ひそやかに脳天まで沁みるような、桜の匂い。
「あふっ……」
「んっ……」
 ぬるりと敏感な乳首を刺激された桜と同時に、指を吸われた凛も喘ぎを漏らす。二人で桜を可愛がっていることを意識させられ、いっそう、ふしだらな行為に没頭していく。
 お返しをしたくなった桜が手を士郎の胸に当てる。撫でると、士郎は体を震わせた。しなやかな指が蠢き、士郎の乳首を弄ぶ。
「うっ」
 士郎が顔を上げ、官能に染まりながら微笑む桜と見つめ合った。そのまま唇をよせ、重ねた。基本的な造りは自分と同じなのが信じられないぐらい、桜の唇は柔らかい。甘美な舌触りはソフトクリーム。吸い合って、舌を絡め合って、唾を混ぜ合わせて。その間も、互いの胸を愛撫している。
「私にも譲りなさい、桜」
 目の前で熱い口付けを見せつけられて、我慢できず凛が求めた。惜しみながらも応じて、溜まっていた唾液を全部士郎の口に注ぐと、桜は胸を押して士郎を離れさせる。
 口の中のものを飲み込まず、そのまま士郎は凛に顔を寄せる。紅葉を散らせた凛の唇に吸い付き、ゆっくり舌を突き出す。ノックに応じた凛の口に、そっと、含んでいた桜の唾液を流し込む。
 二人の遊びに気付いていなかった凛は、戸惑いながらも、こくんと素直に飲み込んだ。
「桜のだよ、今の……」
 告げられて、無闇に昂ぶってしまい、束の間硬直する。やっぱり、妹と共に淫らな行為に及んでいることに興奮している。無視して士郎がキスし直し、舌を使い始める。やっと凛も応じた。士郎は、知らず、姉妹の唇の味の違いを楽しんでいた。桜に比べて、張りが強く感じられる。そんな味がするわけはないと知っていても、甘酸っぱい感じがたまらない。
 横から、桜は士郎の頬に唇を寄せ、あるいは己の頬を擦り寄せる。
 今度は凛の唾液をたっぷりと集めると、士郎は再び桜の口に戻る。こちらは予期していたのか、落ち着いて姉のお返しを受け取り、嬉しそうに喉に落とす。士郎には届かないから、凛は桜の頬を味見していた。
 ひとしきりキスを楽しんで息を継いでいると、当然のように桜が凛に声を掛ける。
「姉さん?」
 精一杯、凛の方に顔を向け、軽く目を瞑る。すぐに意を解した凛は、しばし躊躇いつつも、背中側から身を乗り出すようにして応えた。互いに捻った位置で向き合い、姉妹が唇を重ね合う。
 複雑な過去のことなど、忘れた。凛と桜は、互いに残された一人きりの血族と、ただ愛しく唇を交わす。親愛の情の域をすぐに超えて、容易に情欲のキスに至ったにせよ。焼き餅はあっても憎みはしていない。
 先に性感に崩れていったのは凛だったが、この口付けの歓びは、桜の方が大きかっただろう。
 キスし合う美少女姉妹の姿は、あたたかくも淫ら。あてられた士郎は、両手を桜の体に延ばす。脇腹に触れられた桜が身を捩り、キスが途絶えた。
「ふふふ、衛宮くん、もう我慢できないの?」
 官能に思考が曇っていても、士郎に対してならば変わらず凛は凛である。
 激しく肯定する士郎に、凛が告げる。
「良いわ、士郎。桜と両手を繋いで?」
 差し出した桜の手を、奪い取るように士郎が握る。二人して腕を広げ、士郎は下腹部を桜の胸元に突き出した。
「ふふ、先輩、素敵……」
 先端に唇を滑らせ、ちろりと舐める。びくっ、と士郎は腰を引く。
「ほら士郎、逃げないっ。こっちに来て」
 腹をくくった様子の凛が告げると、おずおずと士郎がペニスを差し出す。憧れだった学園のアイドルが、恥じらいは見せながらも自ら口を寄せ、かぷりと含んでくれる。形の良い唇に包まれた亀頭が、更に舌で弄ばれて、士郎は快感に呻く。
「ふふ……私も参加しちゃいますよ?」
 桜が顔を横に向け、根元付近に舌を届かせる。手を握り合うのは嬉しいけど、手で愛してあげられないのはもどかしい。
 大切な後輩にまでペニスを舐められて、士郎はますます快感と背徳に引き裂かれていく。
 まだフェラチオに自信のない凛は、一所懸命なのを隠しきれないまま、ぺろぺろと士郎を愛している。それでも、桜の胸を揉む手の方も休んではいなかった。気持ち良くて手に馴染んで、意識もなく続けていた。
 姉よりは行為に馴染んでいる桜は、今度は陰嚢を唇に挟んで舌で味わっている。士郎にならば愛され慣れた胸を姉の手で弄ばれるのは、不思議な快感だった。
「もう、待ちきれないって感じね、士郎……」
 美しい姉妹の奉仕を受けて、少年は正気を無くす想い。快感もさることながら、状況に卒倒しそうだ。同級生で一番とも言う美人と、下級生では一番だろう美少女。知る者こそ少ないが二人は姉妹で、その姉妹が裸で目の前にいて、揃って自分の性器などしゃぶってくれているのだ。とても、まともで居られやしない。
 凛が、口に受け容れた亀頭の周りを舌でぐるぐると責めている。
「姉さん、そろそろどうですか?」
 桜が、酔ったように囁く。
「そうね。初体験、させてもらうわ」
 耳に口を寄せて、答える。
「じゃあ、先輩。よろしくお願いします」
「う、うん……」
 よろしくお願い、なんてするのは、どう考えたって自分の方。思いながらも、士郎は腰を桜の胸に寄せる。凛が、握った乳房を左右に押し広げる。
「どうぞ、先輩」
「うん……」
 ためらいながら、朱の差した蠱惑的な柔肉の間にペニスを差し出す。妹のようにも思っていた後輩の体は眩しいばかりに綺麗で、士郎には、自分の体がグロテスクに思えてならない。
 谷間の底に触れただけで、温もりと肌理細かさに息を呑む。この上、挟んで包み込まれたら、どんなに快感だろう。何度も経験はしていても、予想を超えられてばかりだ。
 恐れるように期待する士郎の目の前で、桜の乳房はただ揉みしだかれている。
 ごくん、と涎を呑む。
「桜……」
 焦れったさに耐えられず、士郎は先端を桜の肌に擦り付け始めた。それだけでも、快感。だけど、包まれたときの感触を、士郎は知っている。
「ふふふ……」
 凛が笑う。
「士郎、おねだりは私にしなきゃだめなのよ?」
 余裕を見せようとしながら、やっぱり凛も昂ぶっている。凛自身は直接、快感を覚えている訳ではない。それでも、妹の胸の感触と、見せつけられている士郎の剛直に女を潤わせていく。
「遠坂、頼む……」
 士郎が素直に願いを告げる。
「ふふ、士郎、何をお願いしているの?」
「いや、その……挟んでくれ……」
 桜と握りあった手に、力が入ってしまう。
「それじゃ駄目よ、何を何で挟んで欲しいの?」
 むにむに、と桜の胸を変形させつつ、凛はいぢめっ子ぶりを発揮していた。
「あん、姉さんばっかり楽しんでずるい……えいっ」
 士郎と手を握り合わせるのは、桜の手を封じるための凛の策だった。しかし、桜は腕で胸を内に寄せてしまう。
 左右から押し寄せされたバストは、ようやく士郎のペニスを包んだ。
「はふっ」
 いきなりの感触に士郎が声を漏らす。
「しょうがないわね……」
 ここにきて、凛も力を加えた。
 桜の背中にぴったりと体を寄せた凛は、乳房に挟まれたペニスを肩越しに見る。くやしいながら、自分の胸ではしてあげられない愛撫だ。自分が妹のおっぱいを弄り倒して楽しんでいれば、士郎もまた気持ち良くなる。
「桜……遠坂……」
 士郎が、平等に名を呼んでいる。凛の手に押し潰される桜の胸の間に男根を挟んでいる、淫らな夢のような状況。堪えられず、腰を振り始める。胸の肉に擦られて、快感に溶ける。乳房の間に屹立を出入りさせるのは、あんまり胸が綺麗だから、やたらと、悪いことをしている気がした。そのくせ、余計に気持ち良い。いや、だからこその快感。
「もっと上まで、どうぞ……」
 誘われて、士郎はストロークを大きくする。押し合わされた胸の谷間に割り込ませて亀頭を差し入れるときの快感ったら。そのまま全体を潜り込ませていく感触もまた至福。幾ら豊かな桜の胸でも間に全部は納まらないから、そのうちに上に飛び出してくる。そこを狙って、俯いた桜がぱくっと咥えてくれる。温かい肉に包まれたまま穂先を舐められるのは、これまた棄てがたい。引き戻すときだって、癒着したみたいに肌が馴染んで、雁首を撫でられるのが愉悦。
 恥ずかしそうに、嬉しそうに士郎のものを愛する桜が羨ましくなり、凛は指の力を強める。しばらくは単に中に押し付けていたのだが、乳首への責めを再開する。
「あぁ……」
 桜が喘いで身を震わせたら、凛も一緒に快感を覚えた。
「姉さんも乳首、堅くしてますね……」
 背中で擦られた乳首が、思いがけず鋭い官能。桜の肌の感触と興奮で、既に、くっきりと凛の乳首も勃起していた。
「……これが士郎を惑わせるのよね」
 ぐにゅぐにゅと乳房をこね続ける。めまぐるしく感触が変わり、士郎の快感もまだ高まる。
「そんな、こと……」
 真に受けはせずとも、言い訳がましい想いは湧く。だけど同時に、ちょっぴり誇らしくもあり。
 ふつふつと湧く唾を垂らして、士郎の熱いペニスを潤わせてやる。ときどき止まるのは、きっともう達しそうだから。そうと判りつつ、すぐに舌で責めて行き、休ませてやらない。
「ちょっ、桜っ……」
 とうとう、士郎は退いた位置で休もうとする。しかし、味わってきた性感が途切れるのには、もう我慢できない。
「先輩、姉さんに向かって突いてあげて下さい」
 体を横に傾けながら、桜が言う。丸い2つの果実が、ちょうど凛の顔の下になる。誘われて、すぐに動いてしまった。胸の谷間を斜めに辿り、士郎のペニスは凛の顔を狙い始める。凛の手が、桜の胸だけは水平に維持している。
 擦られ方が強くなって、士郎には更なる快感。既に試練。
「気持ち良いですか、先輩」
 声をだせず、ただ士郎は何度も頷くだけ。
 自分に向かってくる士郎の剛直を目にして、凛の昂ぶりは更に増す。桜の乳首を可愛がり、乳房をこね回しながら、自分の胸を背中に押しあて、擦り付ける。眺めに馴染んできて、自分も胸が気持ち良いから、自慰しているみたいに思えてくる。
 悪戯に笑いながら、桜は舌を伸ばして横から舐め続けている。
 凛の方は、舌は届きにくいから、さっきの桜を真似て唾液を落とす。はしたないぐらい、たっぷりと垂らしてしまう。士郎のものがドロドロになっていく。桜が舐め取ったりもしている。
 胸の谷間から、ぬちゃぬちゃと音がしている。
「あんっ……」
「んふぅ……」
 姉妹の艶声がハーモニー。
「くぅっ」
 士郎もまた、唱和していた。
 学園一のアイドル女生徒と、タイプは違えど違わず美しいその妹と。こんなこと、バレたら殺されそうだ。そうは思いながら、今もって信じられない気分ながら、男としてこれ以上の光景もない。背徳感も、優越感に転じていく。行き着くのは、至高の快感。
「先輩、手を……」
 ずっと握り合っていた手を、桜が振り解いた。そっと片方を体の後にやり、凛の内腿を撫でた。
「ひゃふ?」
 不意の感覚に跳び上がらんばかり。
「ふふ、姉さん、気持ち良くしてあげますから」
 そのまま辿って、ふっくらとした桜の指は凛の女に至る。無論、とっくに蜜で濡れそぼっている。草むらを掻き分けて泉を探り当て、そっと撫で始める。
「ぁあっ」
 別の指が、谷間の上の小さな突起をつつく。すぐに、くりくりと責める動きになる。
「ふあぁ……」
 弄ばれながらも、気持ち良くて、愛しく思えて、凛はされるがままにする。
「両手で同じことしますね、姉さん……」
 囁くと、桜は余っていた方の手を自らの脚の間に運ぶ。迷い無く、膣に指先を沈める。同時に、凛の中にも潜っていく。
「あ……」
「んン……」
 一本だけ指を埋めて、残りの指で周囲を弄り回してくる。気持ち良いけど、もの足りない。もどかしい。桜のしていることを理解した凛は、桜との一体感が更に上がる。桜が感じている刺激、快感、欲情、それを全部、自分も抱いている。同じぐらいに、愛しさも覚えてくれていたら嬉しい。
 ぬぷ、と桜の指がどちらも奥に進む。すぐに、別の指が追っていく。しっかりと入り込んで、あちこち探り始める。
「ぁううっ……くぁっ」
 目の焼けそうな淫らな姉妹の姿、勿体なくて死ぬ気で堪えている士郎が、それでも快感の声を零す。よく漏らさずに居るものだと思う。耐えれば耐えただけ後の快感が大きくなる気がして、そのために今の快感に抵抗している。二人をちゃんと満足させることが、この歓喜の園に居座る対価。あるいは義務。
 それとも、呪詛。
「先輩、遠慮無く出しちゃって下さいね? 姉さんの顔に思い切り」
 言いながら、とうとう桜は凛の中の急所を探り当てていた。突くと凛の手に力が篭もる場所を見つけて、数度繰り返して確かめたのだ。
 自分の顔に、と言われた凛は少し焦り、士郎の男が自分を狙っていることを意識する。別に嫌じゃないけど、ドキドキはする。
「あっ、ふぅんっ」
 しかし、桜の指に絶妙のポイントを捉えられて、考えていられなくなる。おまけに、クリトリスも一緒に責められる。
「ああっ……」
 桜は、ちゃんと自分の言葉を守っていた。凛の秘所に止めの責めを出すのと同時に、自分も一番感じるところを突いていた。
 二人して、いっきに高まる。既に充分官能に浸ってはいたが、一桁上がった。二人とも、頭を仰け反らせる。凛は、思い切り桜の胸を握ってしまう。痛むけれど、我慢強い桜には悦楽を損なうほどではなく、姉の乱れっぷりに楽しくなるだけ。締まりが強くなって、士郎も切羽詰まる。
「遠坂、桜、もうそろそろ……」
 律儀に問うと、姉妹は共に首肯した。
 士郎は、両手を二人の頭に添え、スパートを掛ける。応じるように、桜の指も速くなる。
 姉妹は、唇を求め合った。吸い付き合い、舌を絡め、半ば噛み付く。二人で同じ感覚を味わっている。魂が融け合ったみたいに。
 自分の胸で挟んであげているみたい。願望含みで、凛は思った。桜には、自分で手を添えているみたいに思えた。
「さくら……っ、とおさか……っ!」
「せんぱいっ……」
「しろう……!」
 美少女姉妹に愛される歓び。引き裂かれて、紆余曲折あっても、今ではこんなことができるまで親密になった姉妹。やっぱり真っ当な関係じゃないかも知れない、だけどそれで幸福だった。
 そして、今味わっているのは、余計なことなど忘れられるだけの快感。
 くぅ、と士郎が呻き、白く濁った粘液を迸らせた。口付け合っていた姉妹の顔に、降り注いだ。大方は、凛の顔に貼り付く。若く健康な男らしく、堂々たる量の精を放って美少女の顔を汚した。
「素敵です……」
「しろう……」
 当人達は汚れなどと思っていなくても、士郎には穢した想いが強く、でもそれも快感。
 桜が指を蠢かし、ほとんど同時に二人も達する。
 やっと力が抜け、凛の手が桜の胸を離れる。
 まだ脈打っている士郎の男根に、半ば無意識のまま桜は唇を付けていた。口に受け容れて、まだもっと出せますよね、とばかりに吸った。ぐるんぐるんと舌を使った。
「はうっ」
 敏感になっているところに受けた感触が、鮮烈。びくん、ともう少しだけ精を溢れさせてしまう。
「ちょっ、桜っ」
 慌てた士郎の声に、やっと桜は離れる。口に広がる士郎の味に、恍惚として。
 姉の方を見れば、士郎の精液を顔に付けたまま陶然としている。
「気持ち良かったですか? 姉さん」
 静かに凛の頭を抱き、笑いかける。覚醒した凛は、今度は羞恥で固まってしまう。
 黙って桜は、唇を重ねる。舌に乗っていた精の味に、凛は再度意識を取り戻す。そのまましばらく、ゆったりと甘いキスを続けた。
「どろどろですよ、姉さんの顔。先輩ので」
 囁いて、凛の顔を舐め始める。そこに貼り付いていた精液を舐め取り、口に入れ、集めていく。
「桜……」
 戸惑いながらも、凛は身を任せた。
「ほら、こんなに沢山……」
 口を開いて、中を凛に見せつける。いくらか唾で量の増えた、士郎の白い液。理解して、羞恥に凛は顔を背ける。
「欲しいって言わないと私が飲んじゃいますよ?」
 姉を抱き寄せて、耳元に囁く。くすぐったそうに首をすくめた凛は、しかし、小さなためらいの後に桜に向き直る。
「……私にも、頂戴」
 今度は凛の方から、口付け。二人、精液を舌先に転がしながら、少しずつ惜しむように飲み下していく。ちらちら、わざと士郎の顔に目線をやりながら、長々と睦まじく口を吸い合った。

「羨ましいですか? 先輩」
 凛をキスに酔わせた桜が、士郎に訊く。
「先輩も、姉さんをもっと可愛がってあげたいですよね?」
 曖昧な士郎の返事を聞きながら、桜は凛の後にまわる。さっきまでとは逆に、姉の体を背中から抱き締めた。
「あ……」
 背中に感じる柔らかな胸の弾力が快くて、絶頂とキスの酔い醒めやらぬ凛は奇妙な気恥ずかしさに身をすくめる。しかし、続いて脚を広げさせられてしまい、今度は羞恥に打たれる。
「ほら、先輩、しっかり見てあげて下さい」
 両膝を立てた桜が、そこに凛の脚を掛けさせて、大きく割り開いている。自分のお腹の上に凛のお尻を乗せてしまい、士郎の目に二人の秘所を並べて晒す。
「桜っ……」
 慌てて凛が手を下腹部に遣るものの、桜が捕まえてしまう。
「駄目ですよ、姉さん。ちゃんと全身隅々まで見て貰いましょうね?」
 両手を取ったまま仰向けになり、桜は枕や布団で体を支えた。両手を上げさせられ、凛は、恥ずかしいところを余さず見せているのを意識する。
「あ……」
 逃れようと身じろぐものの、桜は意外にしっかりと凛を抑えていた。おまけに、ますます脚を開かせていく。
「判りますよね、先輩ったら姉さんの裸に目が釘付けです。くやしいなぁ、私のことは、こんなには……」
 顔を背けながらも、自分の裸体が士郎の視線に撫で回されるのが感じられた。
「綺麗だ、遠坂……」
 士郎が、声を上ずらせている。形良くふくらんだ二つの丘。引き締まったウエスト、縦に窪んだような臍。
「士郎……」
 声を掛けられて、見られているのを更に意識する。ちょっと眼を遣れば、M字に開かされた脚の間から士郎が覆い被さって来ていて、そのまま口付けてくれる。不自然な体勢だから、あまり深いキスはできないけれど、再び凛は蕩けた。
 士郎が頭を下ろしていき、今度は胸に頬を摺り寄せた。
「んふ……」
 しっかり感じながらも、さっき桜に同じことをしていた時との眺めの違いを思わずに居られない。仕方がない、ふくらみ加減は大きく違うのだ。
「……やっぱり、桜のおっぱいの方が良いんでしょ」
 嫌なこと、馬鹿なこと言っているな、とは思いながら、凛は言葉を呑み込めなかった。
「なんでさ」
 しかし、士郎の返事に淀みは無い。
 唇を当てる。滑らせて、乳首に吸い付く。執拗に舌先で転がされて、堅く尖っていく。
「んう……ぁん……」
 ちゅう、と尖らせた乳首にキスする合間に、士郎が言う。
「桜の胸の方が大きいのは確かだし、桜の胸は好きだよ。でも凛のおっぱいも同じだけは好きだ」
 また頬擦り。柔らかさや弾力やは、大きな桜の胸の方が上だろう。しかし、ぷりぷりした張り具合なんかは凛の方が気持ち良い。
 夢中な仕草がホントに嬉しそうだったから、凛も士郎の言葉を信じた。また乳首に吸い付かれて、さっきより素直に快感を楽しむ。もう少し続けて欲しいところで、もう一方の乳首に士郎の愛撫は移ってしまう。
「ぁん、もうちょっと……」
 堪らず、ねだる。桜が応えて、両手で凛の胸を揉み始める。意地悪せず乳首を指に挟んで刺激してやる。
「姉さんの胸、触ってて気持ち良いですよ?」
 桜が凛の耳に吹き込む。
「ああっ」
 その睦言と、指や舌の感触に、快感は一気に高まった。
「こんなに硬くしちゃって、えっちなんですね、姉さんも」
 恥ずかしがらせるために言葉を紡ぎながら、桜自身も乳首を尖らせている。
 やがて、士郎の口は下に向かう。
「やっぱり良い匂いだな、遠坂の躰って」
 言うが早いか凛が暴れ、でもやっぱり桜が捕まえている。体が密着して、悪い気はしないのだ。
「やぁ、士郎っ」
 士郎は良い匂いだと言うけど。
 凛には、汗に混ざってしまう薬の匂いが今も恥ずかしい。それをわざわざ口にするなんて意地が悪いと思う。士郎の顔を体から剥がそうとして、だけど両手を羽交い締めにされた。
 おまけに、桜がとんでもないことを言う。
「先輩、脇の下なんか舐めてあげると良いですよ?」
「ちょっと、桜ぁっ」
 慌てた。
 きれいにはしているけど、そんなところ嗅がれたりなんて恥ずかし過ぎる。
 なのに士郎は誘いに乗ってしまい、凛の腋に顔を寄せる。確かに、他より凛の匂いがはっきり判る。そこに浮いていた汗をペロリと舐めると、塩気が舌に残る。士郎はそれについても言葉にして、凛をますます羞恥に悶えさせた。
「ちょっとしょっぱいかな?」
 ぺろ、ぺろ。
 味見してるみたいだ。
「だめ、やめて……」
 目を瞑ってイヤイヤしている凛に、士郎は滅多に機会のない嗜虐心を起こし、反対側の腋にも口付ける。もっとも、本当に良い匂いだと思っていた。凛の抵抗が楽しくてやって見せているばかりではなく。
 唇を押し当て、音を立てて吸う。べっとり舌を這わせて、凛の匂いと塩味を堪能する。凛は体を震わせるけど、がっちり桜が押さえ込んでいる。
「駄目ってばぁ、しろう……」
 泣き声に近くなり、恥ずかしいだけじゃなくて本当に嫌みたいだな、とこれ以上は止めることにする。そのかわり、汗の浮いた凛の体を思うままに味わいながら、士郎の舌が臍に達する。
「だめっ、そこ……」
 今度は聞く耳を持たず、士郎は臍に舌先を入れる。
「ひゃぁんっ」
 ちろちろと舌を出し入れされて、震えるような快感の波が躰に走る。
「ぁんんっ……」
 その上に内腿を撫でられ、凛は悶える。躰を揺すると、背中で潰れた桜の胸が存在を主張してくる。二点、堅めの感触が判る。
 さっき自分も、こんな感覚を桜に与えていたんだ。
 これもまた、変に恥ずかしい。
「ひんっ、だめぇ……」
 たっぷりと啼かされて、ようやく臍責めから赦された。しかし、それはもっと強烈なことへのほんの前触れ。
 一気に士郎の顔が下がり、凛の媚肉を舐め上げる。
「はふんっ」
 指でくつろげて、谷間を舌で繰り返し往復する。士郎を陶酔させる匂いは、ここでは蜜の匂いに混ざって更に官能に響く。枯れない泉を舐め尽くすばかりに舌を使い、啜る。
「ひっ、ふぁっ……」
 クリトリスに口を付けたら、一際、声が高くなった。
「姉さん、気持ちよさそう……」
 桜が、自分もとろけた声で、凛の耳に囁いている。
 それが士郎にも届き、今度は桜の太腿にも手を出した。
「ん……」
 予期しなかった桜は、びくりと一瞬だけ震え、だがすぐに受け容れる。凛のヴァギナをしゃぶりながら、性毛を掻き分けて士郎の指は桜の秘所に辿り着く。こちらもまた、果汁で濡れそぼっていた。
 凛にクンニしながら、桜を指で責める。
 イカレてる。とっくに頭がおかしくなってる。そうでなきゃ、こんな状況を受け容れられるわけがない。
 今さらそんなことを考えたのが、士郎の理性の最後の残滓。
 頭を下げて、今度は桜を舐めてやる。二人の匂いはよく似ていて、だけどやっぱり、それぞれのもの。
 指で凛を突き始めると、愛液が垂れて顔に掛かる。お尻の穴まで目に入って、それに酷く興奮した。指を伸ばして、そこに触れてみる。
「ひっ、ちょっと、士郎っ!」
 凛の悲鳴に、余計に熱くなる。足首を掴んで逃れるのを許さず、つつく。凛が何をされているかは判らずながら、桜はしっかり凛の躰を捕まえている。
「変態っ、ぁあんっ……」
 とうとう舐められて、凛は観念した。
「だめ……」
 そう、口では言い続けながらも。
 再び士郎は凛のクリトリスを唇に挟み、休み無く責め続けながら、やっぱり指はお尻を責めている。凛の雫は、流れ落ちてこちらもちゃんと潤している。
「あんっ、だめ、士郎……。もう、ちょうだいっ」
 耐えられず、凛がおねだり。
「うふふ、食いしんぼさんっ」
 からかいの声を聞きながら、士郎はまた桜を舐める。溢れた二人のジュースが混ざっていて、エリクサーでも湧いていたが如くに余さず啜ろうとする。
「はしたないですね、もう先輩のおちんちんが欲しくて我慢できないんですか?」
「あぁん……」
 いやいやするように凛が首を振る。
「あれ、嫌なんですか?」
 違う、と凛はまた首を左右に動かす。
「そうか、嫌なのに入れたりはしたくないなあ」
 士郎が呟き、躰を起こして凛の両膝に手を置く。
「いくよ?」
 凛が、激しく首を縦に振る。しかし、士郎が狙っているのは桜のヴァギナ。
「んっ、ぁああっ」
 桜が嬌声をあげ、凛も事態を理解した。
「あん、士郎ぉ……」
「先輩……」
 桜は桜で、予期しなかったから驚きの声。
 凛の膝を掴んだまま、士郎は桜の中に更に入っていく。柔らかな肉の孔は、士郎の男根を愛想良く受け容れ、しっかりと包んでくる。根元まで士郎が自分のものを埋めたときには、引き出せないかと言うほど締め付けられていた。
「すごいな、桜……」
 それでも、ゆっくりと抜き戻す。行かないでと呼び止めるみたいに、桜の媚肉は士郎を掴んでいる。エラの裏側のあたりを撫でられる感覚が一番強烈。一往復もせずに逝ってしまいそうだった。
 裂帛の気合いで耐えながら、腰を振り始める。リズムが付いてしまえば少しは凌ぎやすい。
 それでも、温かく濡れた孔のキツさに耐えるには、噛んだ唇から血を流す勢い。
 桜は、士郎に貫かれる悦びに身を任せずには居られず、士郎のものを搾るようにしてしまっている。早く士郎の精を注がれたくて。
「ふぅん……はぁあ……」
 快感に染まった声を上げ始める桜に、やるせなくて、凛がまたイヤイヤしている。
「桜、遠坂、を……」
 士郎の声が聞こえて、桜は姉の躰を宥め始める。胸に両手を当てて、遠慮無く愛撫を。乳首を摘んで、ピンと尖るまで弄り倒す。
「ぁん……」
 凛も、また喘ぐようになる。桜の指使いは巧みだった。女の方が女の体は判っているのか。それに、姉妹なのだ。性技の好みも実は似ているのかも知れない。
 桜の愛撫は気持ち良いけど、入れて貰っているは羨ましい。自分も欲しい。先に欲しいって言ったのは自分なのに。
 ちょっと拗ねていたら、ここに来て士郎が動いた。桜からイチモツを抜き、今度は凛の性器に押し当てる。
「良い?」
 訊いておきながら、返事を待たず入れ始める。
「ぅん、ちょうだい……」
 もっとも、凛にも異論はない。ほんの今まで妹を責めていたもので、今度は自分が。そんな、倒錯と背徳の快感。
 ずぶ、と亀頭が凛の中に収まる。楽に入るのも、既に男根もよく潤っているから。つまり、妹の愛液で濡れそぼっているから。
「はうっ」
 呻くほど、凛の中もまた強烈だった。
 桜に比べると、凛の膣は硬い感じがする。狭くてキツいのは同じだけど、トロトロと柔らかく締め上げてくる桜と違って、コリコリしたもので掴んでくるみたい。ペニス全体を隙間無く吸い上げる桜より、肉に当たる感じが強い。巻き付かれていく。
「んくっ、ぅ……」
 しかし快感の激しさは、甲乙付けがたい。
 凛は、やっぱりまだ、入れられるとき少し痛い。肉を突き破られてくる感じがして、恐れが残ってもいる。それでも、数度往復される間には受け容れられるようになっている。お腹の中に、士郎を感じるのが嬉しい。その歓びが先に立つ。
「しろ、う……んっ」
 幸福感に表情の緩んだ凛が名を呼び、手を出す。士郎の頬を撫でる。士郎は口元に来た指を咥え、舐める。
 ぐん、と突く。引き戻す。存分に汁気を絡めて沢山の指で愛されている、凛の柔肉の快感は、そんな連想を呼んだ。姉妹なのに、こんなところも違っている。ただ、気を抜いたら途端に果てそうなほどの快感だけは変わりなく、しゃぶっていた凛の指を噛みそうになり、慌てて吐き出す。
「んっ……しろう……好きっ……」
 名を呼ぶ声も、うわごとに似て。
 桜の囁きが羞恥と快感を更に掻き立てる。
「姉さん、気持ち良さそう。先輩の、そんなに良いんですか?」
「うん、士郎の、良いの……」
 がくんがくんと首を振る。口にした声の蕩けっぷりが更に自己触媒。
「羨ましい……」
 また桜が囁くと、凛は、ずっと今みたいにされていたい欲望と、桜も気持ち良くなって欲しい希望とに引き裂かれる。
「うふふ、良いです。先に姉さんが」
 桜が告げ、手を凛の下腹部に届かせた。
「その代わり、私も姉さんをいぢめちゃいます」
 草むらに入り込んで、泉の傍に突起を探す。見つけたクリトリスを指で責め始める。
「はあぁ――――ぁん……」
 凛が、更に歌声を高くする。その後、数度突いたところで士郎が動きを止めたのは、焦らして楽しむ積もりではなく、感触が更に格段に良くなった凛の膣に耐えかねたから。まだもっと、姉妹を気持ち良くしてやりたかったのだ。
 吐精を堪えて凛からペニスを抜き、士郎は、また桜の方にあてがう。おあずけを食ってむずがる凛を、桜が指で宥めてやる。両手で、クリトリスと膣を可愛がってやる。
 その労に報いるように、士郎が再び桜を貫いた。
「はぁん……」
「んっ、ぁんっ……」
 リズムこそ違えど、姉妹が唱和する。士郎には、耳に流れ込む媚薬のような心を侵す唄。載せられて、ペースが上がる。慌てちゃ保たないと判っているのに、ブレーキなんて踏めない。いや、きっと踏めたって利きやしない。
 凛と桜は、互いの声に、羞恥以上にライバル心を掻き立てられる。もっと、士郎に自分を気持ち良くして欲しい。もっと士郎を愛してあげたい。悦ばせたい。二人で、愛しい男を愛したい。
 やっぱり、桜の中の柔らかさは尋常じゃない。ねっとりとした液体に突き入れているみたい。それなのに、隙間無く摩擦を受けている。凛のヴァギナに入れるのが無数の指で責められる風情ならば、桜の性器は沢山の舌で舐め回される気配。肉が溶けて混ざり合っているみたいな一体感。擦れて熱いのか、桜の肉が元から熱いのか、融けてしまいそうだ。沸き立つマグマみたいに愛液を吐き出している。
 逞しいペニスに責められて、快感に弾けそうになりながら、桜は手を休めなかった。指を、凛の中に出し入れしている。クリトリスを可愛がったり、乳首をくすぐったりする。凛の肌は張りが強くて、撫でるだけで気持ち良いから、愛撫することが桜にも快感だった。
 一緒に逝けたら良いと強く願うから、逝きそうになっていても手が止まらない。
 もうちょっと、というあたりで今度は桜が寸止めに遭うまわり。士郎が動きを止め、逃がすまいと締め付ける桜の膣に辛くも耐えて、抜き出してしまった。
「ぁん、先ぱ、い――――」
 切なくて、泣きそうになる。
 荒い息を吐きながら凛の胸に顔を押し当て、士郎はしばし休む。しかし、凛の匂いで鼻を刺激され、居ても立っていられず、また突き入れた。無論、今度は凛に向かって。
「ぁ……」
「んんあっ!」
 落胆の声と、喜悦の声と。
 凛の中は、やはり襞の感触が鮮烈。ぐりぐりと揉まれる。柔らかく受け容れて吸い上げる桜の性器に比べて、せめぎ合う感覚。女の道具の具合の違いは、代わる代わるに入れている士郎には愉悦ながら、本当に良くなるのは馴染んでから。飽きるなんてことなく、馴染むほど官能。
 もう凛も慣れただろうと、初めから飛ばした。いや、焦らすとか様子を見るとかって余裕は無かった。
「あぁあ……しろう……」
 激しく突く士郎のペニスの傍で、桜の指が休まずクリトリスを刺激している。もう片方の手は、しっかり乳首を責めていた。
 凛も、どうにか桜の脇腹に指を這わせている。くすぐったくて、ぞくぞくする。
 掌に爪を食い込ませながら、士郎は腰を動かす。
 しばらく突いて、また桜に戻る。自分が逝きそうになると、抜き取って束の間だけ休み、凛に移る。耐えられるだけ腰を振り、桜に戻る。
 凛に。
 桜に。
 繰り返す。
 姉妹は、寸止めされて生殺し。士郎の意地悪をなじり、切なさに身をくねらせる。二人の女を意のままに啼かせていることが士郎には無上の悦楽、しかし吐精の欲求もまた増すばかり。
 これだけの快感に、よくぞ耐えて来た。
 女二人の性器を交互に味わうなんてことをして、どう果てれば赦されるのだろう。
「姉さん、どうぞ、先に――――」
 桜が譲る言葉を発しているから、また凛に。
 桜の膝から落ちた凛の足を、邪魔に思った士郎が掴んだ。考えなく持ち上げた。体の前に揃えて、抱きかかえる。脚が閉じたら、膣の中の具合が変わった。士郎に限界を悟らせた変化は、凛にとっても同じ効果。より強く、自分の中に割り入る士郎を感じられる。こんな恥ずかしいこと、許せるのは士郎だけ。でも、士郎が相手だと恥ずかしいことまで気持ち良いみたい。
「はふぅ、ぁああっ……」
 ばたばたと動く凛の足に顔を蹴られかけ、掴む。たまたま足の裏に指を走らせることになり、こんなこと普通なら、くすぐったがらせるだけ。しかし、それが今はオーガズムのトリガーだった。
「きゃふっ、んあっ……」
 締まり具合が、更に良くなる。無意識に士郎は凛の足を撫で続け、凛は足と膣との間に走る電撃のような快感に打たれる。
 凛の果てるのが近いと知って、桜は更に指を速くし、凛の首筋に唇で触れる。肌の味を確かめる。
 とうとう、凛が絶頂する。
「あっ――――ぁあ……士郎……」
 腕の中で法悦する姉が愛しくてならず、桜はその体を抱き締める。士郎の言った通り、凛の女体は良い匂いだ。
「とおさ、かっ」
 その間も突き詰めの士郎には、千変する感触が気持ち良すぎて、なのに何故か逝き損ねた。桜を逝かせるまでは射精できない呪いみたいに。ともかくも未だ達していない士郎は、たまらず続けて桜に突き入れる。
「んんっ、せんぱ……」
 桜の優しい膣が、今は凶悪。動きが万化して遠慮会釈無く士郎を絞り上げる。ここまで耐えに耐えてきたのが不思議な快感、十も数えぬうちに限度が近づく。
「さく、らぁっ……」
 しかし、桜もまた、愛しい姉を先に逝かせた今、まだその体を抱きながら、あっさりと弾ける。
「ぁあっ――――んンッ……」
 姉と恋人の名を呼びながら、果てた。
 それを待って、士郎は腰を退く。何かに取り憑かれて平等を求めている。しかし、深情けを見せた桜の締まり具合に、抜くまでに半ば達していた。
 それでもまだ、あと半歩ばかり届かない。
「はあ――――っ」
 逝きたい。ぶちまけたい。
 閃いて、長い二組並んだ脚の隙間に矛先を押し込む。肉付きの良い桜の内腿の間を貫き、その奥で、引き締まった凛の腿の間に先端を突きつける。一面、二人の蜜で濡れそぼっているから、強く擦れても痛みは無い。
 姉妹の膣の粘膜を堪能していた後に、すべらかな肌が新鮮。
 数度も突き入れないうちに、ついに士郎も二人を逝かせて呪いが解けたのか、絶頂を得た。
 極限まで抑えられてきた射精は激しく、身が引き攣って呼吸が邪魔され、束の間、眩む。
 呆れるほど多量に噴き出した精液は、脱力して開いた姉妹の太腿の間から降り注ぐ。桜に抱き締められた凛の腹と胸に、どくん、どくんと。
 乾涸らびそうに思うほど絶頂感が続き、一度に姉妹を二人とも逝かせた士郎は、力尽きて座り込んだ。これまでの行為の激しさ応じるような盛大な吐精で、牡としての奇妙な満足感を覚える。
 ぼんやりと士郎が眺めている中、同じく陶然としたまま凛が身じろいだ。背中に当たる感触が柔らかだから、まだ桜の上に寝ていると気付く。
「あ、ごめん、重いわよね」
 ころん、と転がって降りた凛を、桜が再び仰向かせる。
「また、こんなに掛けられちゃいましたね、姉さん」
 桃色に上気した凛の肌を、白っぽいクリームが出鱈目にデコレーションしている。
「きれいにしてあげます」
 そう言って、桜が舐め取っていく。あちこち、凛の弱いところに悪戯しながら。精を口に集めた桜は凛に覆い被さり、今度もまた口付ける。
「今回は全部、姉さんにあげます」
 顔を上げた桜が微笑み、それに応えて、凛は喉を鳴らした。さらにたっぷりと口付けを交わし、二人して起きあがって、士郎に向き合う。
「さて……衛宮くんのも、綺麗にしてあげないとねえ?」
「うふふ、姉さんのえっち」
「あら、どうしてそう言う発想になるの? 敵わないわねえ、桜にはっ」
 じゃれ合う姉妹の前で、士郎は冷や汗をかかされる。
「でも、そうじゃないとあの変態の相手はできないわよねえ」
「まあ、酷いですね、先輩のこと変態だなんて言ってますよ? 先輩、姉さんにお仕置きしちゃいましょう」
 その笑顔が、桜色のあくま。
「駄目よ、今は士郎が凄く頑張ってくれたんだから、今度はこっちがサーヴィスしてあげないと」
「うふふ、じゃあ、姉さんのお仕置きはその後のお楽しみと言うことで」
「しょうがないわね。でも、その次にはご褒美頂戴よ?」

 ――――この地獄のような極楽からは、まだ出られないらしい。

 

/獄楽両女界曼荼羅・了

 


 

 シチュエーションについては読者の皆様にお任せ^^;
 いや、 言い訳程度には状況設定を書かないとノリが悪いのがいつものことなのですが、今回は何やら全くエロ部分だけ書くことが出来たのでした。しかし、多少はここに至った経緯もあった方が良いでしょうか?

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©Syunsuke