衛宮の野望

MAR 様


 

「もう、ほんと士郎ったら最低! そんな事言って恥ずかしくないわけ?!」
 どっちが発端になったのか憶えていないけど、珍しく遠坂とケンカしてしまった。
もとより口喧嘩で遠坂になんか勝てるわけないんだけど、頭に血が上ってたのか、売り言葉に買い言葉になってしまった。
「そっちこそ! いくらお師匠様だからって言って良い事と悪い事くらいあるだろう!」
「うるさいわね士郎! そんな事いってると知行半分にするわよ!」
 ……はい? 知行?
 知行って、あれだよな。昔の大名が部下の恩賞に土地とか分け与えるっていうあれ。ていうか俺はあれか、完全に遠坂の部下ですか。 
「知行って何だよ……」
「…………えっちの回数」
 ぶっ!
 思いっきり吹いた。いや、ケンカしてた事とかそういう事など綺麗さっぱり忘れる破壊力だった。
 というか健康な男子な俺にとってえっちの回数減らされるというのは大問題だとかいや待て問題はそこじゃねぇ。
「いきなっ、何言い出すんだとおさ……」 
「先輩! それならうちにくれば知行倍増ですよ!」
 がららららっ!
 何の前触れも無く襖が開け放たれて、後輩である所の桜が飛びこんできた。
 いや、お前いつの間に来ていたんだ? というかどこから話を聞いていた?
 いやそれより知行倍増って……え〜っと。つまりは……
「な……なんですって桜! あなたそれは宣戦布告ねそうなのね?!」
「ふふ、姉さん。よりよい部将はいかなる報酬を払っても手に入れるべきものなんですよ」
「くぅ、なら……士郎! 『家宝』よ! 『家宝』上げるからこっちにいなさい!」
「えと、家宝って……?」
「…………士郎の好きな体位でシテあげる」
 何?!
 顔を真赤にしてそんな事を言い出す遠坂に、不覚にもこっちの心はときめいた。
 好きな体位……魅力的な言葉だ……って。
「イヤだから待てお前ら、そもそも何でこんな話に……」
「くぅ、まさか姉さんが『家宝』まで持ち出してくるなんて……それなら先輩! 私は『官位』です!」
 聞いちゃいねぇし。
「……もはや訳わかんないんだが、今度は何だ?」
「私のおしり、どうぞ! 興味深々でしたよね先輩!」
 ぶぶぅぅぅぅぅっ?!
 思いっきり吹き出し、顔面蒼白で遠坂を振り返る。
 うあぁぁぁぁっ!? 痛いよ、遠坂の視線が痛いよぉ! あの目は如実に「士郎の変態」って言ってるよ!
 しかし彼女は溜息一つつくと、にやりと不吉な笑みを浮かべて桜を睨み付けた。
「フ、甘いわね桜。その『官位』なら私にだってあるのよ。あなたに渡すくらいならー!」
「ふふ……ふふふふふ。姉さんに出来るのはそこ止まりなんですよ」
「何ですって?! まだ何かあるというの!」
「私は先輩に『城』を用意出来る!」
「あの、桜、もう何と言うか……」
「ぶっちゃけるとパイズリです! そのまま先舐めも胸に出すのもおーるおーけー! すべて先輩の望むがままですよさあこっちへ来てください先輩!」
「……桜。あなた本気なのね。なら私も全てを懸けるわ」
「笑わせないで下さい姉さん。もうあなたに出せる物はないでしょう?」
「フッ、切り札は最後に出すから切り札なのよ! セイバー!」
 遠坂が一声叫んで指を鳴らすと、バタバタと激しい足音がこちらに向かってきて、勢い良く襖が開け放たれた。
「呼びましたかリ……」
「さあ士郎、『姫』よ! 具体的にいうと私と3P! もうあんな事もこんな事もし放題いやむしろ私がセイバーに士郎と一緒!」
『なに〜?!』
 俺とセイバーの声がハモった。
「ちょ、ちょっとリン?! あなたいきなり何を言いだすと言うかその視線は何なんですか?!」
「うるさいわね! あなたは私の使い魔で士郎も私の使い魔なんだから使える物は何でも使うの!」
「そんな横暴なー?!」
「あはははは、姉さん。愚かですね」
 セイバーの痛切な叫びは、しかし桜の高笑いに打ち消されてしまった。
「……何が言いたいの、桜?」
「お忘れですか? 私にも『姫』は居るんですよ」
「〜〜〜〜! しまった!」
「さぁ来なさいライダー!」
 桜もぱちんと指を鳴らすと、天井板が外されて上からライダーが降ってきた。ジーンズに黒いニットといういつもの格好で天井裏なぞに潜んでいたのに、埃一つ付いていないのは流石というか何というか。
「話は全て聞いてました、サクラ」
「そう、ならわかってるわね?」
「ええ。私とサクラ、二人のテクニックを持ってすれば士郎とセイバーの篭絡など赤子の手をひねるより容易い事です!」
 お前いつから居ていつから聞いていたんだ。我が家のセキュリティとかプライバシーとかは無視かお前ら。
 そう突っ込みたい俺の意思など馬耳東風で、素早く背後に回りこんできたライダーにがしっと体を押さえこまれてしまう。細身だけどさすがはサーヴァント。彼女の羽交い締めなどとても解けやしない。
 ……って、羽交い締め?
「お、おい何をする気ださくらぁあ〜〜〜〜?!」
 俺の前にしゃがみこんだ桜が、とろんとした目でズボンの上から股間をなでさすってくる。どんなテクニックなのか、直に触れられてるわけでないのに一瞬で自己主張してしまう指使い。彼女はそのまま頬を寄せて布越しにすり付けてくる。
 その指がズボンのベルトに掛けられる。
 って、ヤヴァイ、ヤヴァイから桜それはヤバ過ぎるって!
「はぁ……何度触っても先輩のって大きいですよね。布越しでも堅くて、気持ち良い」
「ちょ、やめ、桜! ダメだっふぁぁあぁぅ?!」
「はい、大人しくしていてくださいね士郎」
 慌ててその指を引き剥がそうとしたのだが、羽交い締めされててどうにも腕が届かない。その上ライダーが耳元に息を吹きこんできて体の力が抜けてしまう。そのタイミングは正に絶妙。桜との繋がりの深さを感じさせられる一心同体っぷりだ。
 って、感心してる場合じゃなくて!
 慌てて下に視線を向けるが時既に遅く。哀れ俺の下半身は情けなくも皆の視線に晒されていた。
 こんな状態でも元気一杯直立不動なムスコがなんとも恨めしい。
「って! さっきから見てれば何勝手に進めてるのよ桜!」
 あまりの展開にセイバー共々固まっていた遠坂が、我に返ったかのごとく指つき付けて叫びたててくる。
 うん、その意見は激しく同意なんだが頼むから視線を俺の股間から外してくれ、ついでに指も。
「シロウ……あの、その……大きい、ですね」
 そうかセイバーに見られるのは初めてだったっけ。いやあんまり見られたくなかったというか、こういう状況で拝まれるのは勘弁だったのだけど。
「姉さん。昔の偉い人は言いましたよ」
「何よ!?」
「据え膳食わぬは女の恥、そこにおちんちんあるから食べるんです!」
「誰が言ったかそんな事ー!!!」
 怒髪天をつく遠坂。いや俺も全面的に同意なんだが。
 というか桜何があったんだその壊れっぷりは。先輩として激しく悲しいぞぉぉぉぉあっ?!
 ぺろりと舌を出して、愛しそうに桜が俺のペニスに指を絡めて、その裏筋を舐めてくる。一瞬体に電流が突き抜けたか、そう思うほどの快感。どくりと波打って、比喩ではなくもう一回り大きくさせられてしまう。
「ほら見てください姉さん。先輩こんなに大きくしてますよ? こんなに切なそうにピクピク震えて、私に入れたいって言ってますよ。可愛いと思いませんか?」
「いや言ってない! 言ってないから指を離して舐めないで頼む!」
 むくむく頭をもたげる欲望を必死に押さえ付けて、桜に向かって頼みこむのだが彼女はニッコリ笑ってくるだけだ。
「姉さん? 事ここまで来たらやる事は一つなんじゃないですか? このままなら私のテクニックで篭絡しちゃいますよ?」
「……そのようね。いくわよセイバー!」
「え、あの、そのリン?! いくって何を?」
「セイバー、こっちへいらっしゃい。メインディッシュはマスターに譲って、私たちはデザートを楽しみましょう?」
 蠱惑的なライダーの声が耳を擽る。気付けば遠坂もしゃがみこんで、熱っぽい視線で俺のペニスを見つめていた。
「悔しい、士郎ったらいつもはここまで大きくしないのに……」
「先輩、興奮してるんですよ。女の子四人に見られて、襲われて。だからもっと興奮させてあげましょう」
 はぁ、と息を吹きかけられて、そのまま幹を温かい、柔らかいものが這い回ってくる。一瞬忘となり掛けた意識が、先の方に走る別の刺激で引き戻された。
 おそるおそる、鳥が餌をついばむような感触。視線を落としてみれば、顔を真赤にした遠坂が俺のペニスの先っぽを突ついてる。
「姉さん、その様子だと初めてだったんですね」
「うる……さいわね! いいのよ! これから憶えるんだから」
 そうやって遠坂をからかう桜のもどうしようもなく興奮しているみたいで、吐き出す息があたる度にぞくりとさせられてしまう。それに当てられてしまってるのか、遠坂の顔の赤さも恥ずかしさだけでは無いみたいだ。がー、と吠えつつもいつの間にか大胆に、舌を、俺の傘に絡め出し……
 だめだ、もう足に力が入らない。
 砕けそうになる膝にそれでも力を込めようとすると、
「良いですよ、支えてあげますから。力を抜いてください」
 後ろから優しく掛けられるライダーの声。いつの間にか羽交い締めにされてた腕も解かれて、その長くてすらりとした彼女の腕が俺の腰に回されていた。
 その言葉に甘えるように、腰を落として膝立ちになる。 
「あんっ!」
 恨めしそうな声を上げたのは果たして遠坂なのか桜なのか。半分飛びそうな意識だとどっちか区別が付かない。彼女たちの手から、口からするりと抜けてしまったペニスが揺れ弾かれて俺の下腹を打つ。それを追いかけるように、四つん這いになった二人の手が伸びてきた。
 背中にあたる柔らかな膨らみは、きっとライダーの胸だろう。左の首筋を、艶やかに舐めまわる舌の感触もきっと彼女だ。じゃあ、たどたどしく右の耳を甘噛んでくるのは……?
「上手いですよ、セイバー。そうやって、時折息を吹きかけながら耳を攻めてあげなさい」
「わかりました……シロウ、気持ちいい、ですか?」
 揶揄するような、感心するようなライダーの声。それとは対照的に、消え入りそうな声で囁いてくるセイバーの声はそれだけで心の奥底の熱を掻き立てられる。顔は見えないけれど、きっと耳先まで真赤になってるんだろうな。
「そうそう、後はこうしてあげるのも効果的ですよ」
 ライダーの手が、シャツを捲り上げて忍び込んできた。しなやかな指が、半勃ちになってた乳首を弄んでくる。
「男の人も乳首は感じるんですよ。さぁ、セイバー、あなたも……」
「こう、ですか……」
 ぎこちない動きで、右の乳首を撫で回してくるセイバーの指。大胆に、自在にこねくり回される左のそれとのコントラストが、むず痒くも心地良い。
 と、再び股間で快楽が弾けて広がった。
 そちらに目をやってみて……半分茫洋としていた意識が、理性が吹っ飛んだ。
 遠坂が頬を膨らませて、亀頭に吸い付いてる。
 桜が舌を絡ませて、幹を舐めまわしてる。
 ちゅぽっ、ちゅぽ。ぺろぺろ。
 目で犯されて、音で飛ばされる。一心不乱に俺のモノに吸い付いてる姉妹。
 いつの間にか二人とも上着を脱ぎ捨てて、下着姿で絡み付いてきてる。
「ふぁう……ねえ、さん。こうして、ここも揉んであげてください。優しく、壊れないように。大事な所ですから」
「ふぉう、はひら……」
 今だ咥えこんだまま答える遠坂が袋に手を伸ばしてくる。最初は恐る恐る。だけどすぐにその感触が気に入ったかのように大胆に睾丸をもてあそんでくる。
 だめだ、もう、限界。
「二人とも、離れ……出ちまぅっ!」
 いくらなんでも初めてこんな事をしてる遠坂の顔にぶちまけるわけにはいかない。そう思って彼女の顔を退けようとしたのに。
 遠坂と桜の手が腰に回ってきて、ライダーとセイバーに腕を押さえられてしまった。
「姉さん、一人じめはイヤですよ? 最初は仲良く……」
「へへ、わはっはは」
 頷いた遠坂が口元をずらして、半分露出した亀頭に桜も吸いついた。
 それで、堤防が崩れた。
 一瞬膨らんだ先っぽから、一体どれだけ貯まってたんだと自分で呆れかえるくらいの量の精液が吐き出される。
 その先にあるのは、顔を寄せ合い恍惚としてる姉妹の顔。その二人の目と言わず鼻と言わず口元眉毛髪の毛を盛大に汚して飛び散り広がった。
「凄いですね、士郎。若いとはいえ、あんなに出るだなんて」
「シロウのが、あんなに……すごい」
 左右の耳から聞こえてくる二人のサーヴァントの声。だけどそれに答えられない。
 この異常な状況にあてられたのか、明らかにいつもより多く射精した疲れもあるんだけど。
「姉さん、こんな所にまで飛んでますよ……勿体無い」
「あん、そこは……桜も、口から垂らしてるなんてはしたないわよ」
「ひゃん……姉さんったら、初めておしゃぶりして初めて顔に受けたというのに、もうそんなに欲しがってるんですか? えっちですね」
「いいのよ。士郎は私のなんだから、士郎の物も私のなの」
「だめです、姉さんだけの物じゃないんだから……」
「はぁうっ! 桜ったら、そんな所にまで付いてない……」
 桜と遠坂が、お互いの顔に飛び散った俺の精液を舐め合ってる。実の姉妹が互いの顔に舌を這わせて時には唇を重ねてる。そんなあまりにも背徳的な光景に、脳の奥底がバチバチいってる。
 今出したばかりだってのに、俺のムスコはいっさら衰える事無く天を向きっぱなしだ。
 それも当然か。こんな光景を見せ付けられて、萎える男なんて居るわけない。
「……サクラ、リン」
 俺の体越しに二人に呼びかけるライダー。それは今までの、どこか揶揄を含んだ口調ではなく、はっきりと分かる熱と艶の篭った声だった。
 その手がするすると俺の股間に伸ばされてる。
「お願いします、私とセイバーにも味見させてもらえませんか」
 どくりと心臓が高鳴った音が聞こえた気がした。
「な……何を言い出すのですかライダー! 私たちはサーヴァントであって、そのような……」
「いらないのですか? これほどの立派なモノ、目にしているだけだなんてわたしにはとても出来ないのですが」
「もちろんいいわよ、ライダー。先輩のモノ、しっかり愛してあげて。だけど入れるのは無しよ?」
 遠坂の瞼を舐めていた桜が、俺の肩越しにライダーに向かって微笑みかけた。それはいつも知ってる後輩としての笑顔じゃなくて、欲情に塗れたオンナの顔。
「セイバー、あなたもいいわよ。しっかり士郎を味見しなさい。可愛い顔で士郎に奉仕する、その姿をマスターに見せてちょうだい」
 遠坂もまた、そう言ってセイバーの腕を取る。
「きゃっ!」
 くっと引きこまれてバランスの崩れたセイバーが、遠坂に倒れ掛かった。それを受け止めた彼女は、そのままセイバーの頭に手を回してその唇に吸いついた。
「――?!」
 驚きのあまりじたばたと両手を振り回すセイバーの背中に手を回して、遠坂が貪るようにキスをしてる。時折膨らむセイバーの頬を見るに、多分舌も入れてるみたいだ。
 遠坂の手が背中から服の裾に潜りこんでいく。右腕は背中に、そして左手はセイバーのお腹から胸に。
 そのうちに徐々にセイバーの手から力が抜けていって、やがて彼女の腕も遠坂の背に回されていった。
「……っはぁ……」
 流石に息が苦しくなったのか、ずっと吸いついていた遠坂が唇を外して、深々と息を吸いこんでいる。互いの唇を伝う、糸を引いた唾液がどうしようもなくイヤラシイ。
「どう、セイバー。士郎の味は?」
「……苦くて、変な味ですが……シロウのだと思うと、もっと欲しい」
「でしょう? だからライダーなんかに負けちゃダメ」
 そう言って遠坂が彼女の背中をとんと押す。
 俺に向き直ってきたセイバーが、塗れた瞳でじっと見つめてきた。 
「シロウ、お願いです。あなたを、もっと味合わせてください」
 その瞳も、その言葉も反則だった。呆けたようにこくこくと何度も頷いてしまう。
「士郎。私の事も忘れないで下さいね」
 負けじと俺の耳を甘噛んで、ライダーが囁き掛けてくる。後ろから回された手が、ペニスをやんわりと包んでくる。
「あなたのお好きなようにどうぞ、士郎。望むどおりの事をしますから」
「シロウ……私も、殿方の喜ばせ方は心得ているつもりです、だから……」
 申し訳程度に残っていた心の防波堤が、その言葉でぶっ壊された。
 どうして今こういう状況になってるのかとか、自分の節操のなさとか、そんな疑問はもはや欠片も存在してやしない。
「じゃあ、二人でしゃぶってくれ。俺のがふやけるほど、ドロドロになるくらいまで口で愛してくれ」
「ええ」
「分かりました、シロウ」
 だから、その口で自然に撃鉄を起こして。
 四人に向けて引き鉄を、引いた。

†  †  †  †

 仰向けになった俺の股間の上で、誰かが腰を振っている。ぱつっ、ぱつっと肉のぶつかり合う音。じゅくじゅくと柔らかい物をこね回す音が聞こえてくる。
 俺の視界には、熟れて濡れ切ってぱっくりと口を開いた誰かの女陰が広がっていて、蜜を垂らして誘ってる。迷う事無く頭を上げて、ちぎれんばかりに舌を伸ばしてその奥深くまでこそぎとろうと這いまわらせる。
「はぁ、あうぅぅぅ……、士郎、深い……」
 即座に身を振るわせて反応してくる。この声は、どうも遠坂みたいだ。
「ああぅん。せんぱ、い、ったら。姉さんの、舐めて、興奮……してるんですね。びくびくって、私の中で」
 打ち付けられる腰の感触が止まって、そんな感極まった声と共に俺の胸に手が置かれてくる。そうか、俺は今桜に突きこんでるんだ。
 目に飛び込んでくるのは遠坂の恥ずかしい所だけで、後は何にも見えやしない。
 そんな目隠しを掛けられたような状態が、更に俺の中のケモノな部分をくすぐってくる。衝動に任せるまま、舌を使って遠坂のナカミをほじくりかえした。
「あぁぁあっ! 士郎、しろうぅっ……」
 一際高い、悲鳴のようなよがり声。同時に、洪水のように溢れ出した遠坂の蜜が俺の顔をべとべとに濡らしきる。
 そんな声を遠坂に上げさせた事に少し満足感を覚えたけれど、不意に陰嚢のあたりに走った温かい刺激に、逆にびくりと反応させられてしまう。
「ひろふ、おいひいでふよ……」 
 くぐもったその声はライダーなのか。片側の睾丸を舌でこねくり回すように弄ばれて、もう片側はどうも指で転がされてるみたいだ。
「ああぅ、せんぱぃ! また、大きく……ひゃぅ!」
 陰嚢の温かくて柔らかい刺激がなくなったと思ったら、桜がびくりと体を振るわせたのが伝わってきた。
「ライダー、だめ、そんな所舐めちゃ……」
「今度はこちらに入れてもらうのでしょう? しっかりほぐしておいて、痛い思いをさせないようにするのもサーヴァントの務めですよ」
 どこを舐めてるんだライダーの奴。そんな事が一瞬浮かんだけれど、その台詞で思いつく場所なんか一つだけ。やり易くなるんだったら文句なんかあるわけがない。
「桜ったら、本当にえっちなんだぁ」
「そういう姉さんだって顔が真赤ですよ。先輩の舌で舐めてイかせてもらって。嬉しいんですね。恥ずかしいんですね」
「ちが……」
 遠坂の声は途中で遮られて、ちゅぱちゅぱと水っぽい音に変わってる。舌を絡め合い、唇を貪り合ってる。そんな俺の上で展開されてるだろう実の姉妹の痴態を頭に思い描いて、体が熱くなってしまった。
 桜の後ろではライダーが、マスターの尻穴を舐めほぐしつつ俺の陰嚢をもてあそんでる。
 実際には見えない、音と声だけからの想像。そうやって頭に思い描いた光景だからこそ、真実以上のリアルで俺の欲望をこれでもかと刺激してくる。
 さて、でもそうするとセイバーは今どこなんだ?
 そう思った俺の右手が取られて、指先に濡れそぼった毛の感触が伝わってくる。
「お願い……します、シロウ。その指で慰めて、下さい。もうこんなにも……」
 ぴちゃぴちゃ、ちゅぱちゅぱ。そんな淫靡な音に満たされていた部屋に、切ない哀願の声は殊更綺麗に耳に残る。勿論、断る理由なんかある訳ない。指を進めて、手探りのままプクリと膨らんでるセイバーの陰核を押さえ付けて摘み上げる。
「ひやっ、はぁぁぁあああぁっ!」
 途端、絶叫に近いセイバーのよがり声が部屋に響き渡った。ビクビクと震えが伝わってくるけど構いはしない。と言うか止まれない。洪水のように愛液を垂れ流し続けてるセイバーの女陰に、そのまま指を二本つきこんだ。
「はぁうっ! し、シロウ……激しすぎる」
 そんなセイバーの声が、殊更俺の嗜虐心を刺激して。二本の指を、マドラーでウィスキーをかき混ぜるようにバラバラに動かし続けた。
「あああぅ、シロウ、だめ……」
 もはや膝立ちもしていられないのか、俺の腕を抱きこむようにくてんと倒れこんできた。時折身を振るわせつつも、セイバーのアソコはしっかりと俺の指を加えこんだまま離してくれない。
 ちょっと腕が重かったけど、目の端に涙を浮かべて荒い息をついてるセイバーの顔がたまらなく可愛かったから、そのまま首を伸ばして口付けた。一瞬驚いた顔をしたセイバーだったけど、すぐに目を細めて俺の唇に答えてくれる。差し出した舌を互いに絡めて、息すら忘れて唇を貪りあう。
 じゅくりと、指先に感じる蜜の量が増えた気がした。
「シロウ……シロウ! もっと、もっとあなたを感じさせてください!」 
「見てください姉さん……セイバーさんたら、あんなに深く先輩の指を咥え込んで、あんな事まで言ってる」
「困ったわね。あとでお仕置きしてあげないと」
 うっとりとした姉妹の声が俺の上から振ってくる。
 キスをしながら自分の手で、俺の指を秘所に導いて慰めているセイバー。その様を余す所なく他の三人に見られていて、それでも体の疼きに耐える事が出来ずに、真赤にした顔で腰を動かして俺の指に摺り寄せてくる。騎士の誇りもサーヴァントの矜持も今だけは忘れて、一人の女になってるセイバー。そんな姿を想像するだけで、俺の限界が加速されてしまう。
 と言うか、本当にもう限界だ。ずっと桜の中に入れっぱなしだし、また細かい腰使いを再開してきたから、いつ爆発してしまっても不思議じゃない。
「いいですよ、先輩……出しちゃってください。沢山、注いでください」
 そんな言葉と共に、桜のナカがまるで生物のように蠢いて、肉棒を締め上げてきた。
 それで止めをさされて、びゅるびゅるとあらん限りの精液を吐き出してしまう。これで何回出したのかもう憶えてないけど、よくもまぁこれだけ貯まってた物だと、人事のように自分の体に感心してしまう。
「もう! 桜の中から溢れてきてるわよ? 少しは手加減して出しなさいよ」
 そんな不満そうな声を上げる遠坂だけど、無茶を言わないで欲しい。こればっかりは俺の意思ではいかんともし難いのだから。
 でもそんなこっち内心など知る由も無い、と言った様子で遠坂は半ば跨っていた俺の顔から、隣に腰を下ろしてくる。
「ふふふ。士郎の顔ったらびちゃびちゃね」
 そう言って顔を寄せてくる遠坂の目は潤み切っていて、普段の彼女の面影は欠片もない。ただひたすらにイヤラシイオンナノコ。その手で頬を抑えて、その舌が顔を舐めまわしてくる。猫がミルクを舐めるみたいにぺろぺろと。タダそれだけの行為なのに、どうしようもなく心がざわついてしまう。
「変な味、こんなの喜んで舐めてたんだ、士郎ったら」
 揶揄するように言うけれど、跨られてたんだからしょうがないじゃないか。
 いや、嘘だ。確かに舌で彼女を責めるのは楽しかったから、俺はきっとああ言う態勢じゃなくたって喜んで舐めまわしてたに違いない。
 でもそんな俺に向かって、
「……うん、でも気持ち……良かったよ」
 一転して囁くように、顔を真赤にしながらそんな風に言ってくる遠坂は、やっぱり反則だった。開いてる左手を彼女の頭に回して、彼女に深いキスをする。舌を送り込んで歯茎を撫でまわして、隙間から彼女の舌を捜す。すぐに答えてくれたそれと、溶け合えとばかりに絡ませあう。折角舐めて綺麗にしてくれた俺の顔に、混ざり合った唾液が溢れて垂れてくるけど全然イヤじゃなかった。むしろ勿体ないと、そんな事まで思ってしまう。
「ふぅぁ……士郎、好き! 好きなんだから! 絶対に離さないからぁ!」
 キスの合間にそんな事を叫ばれたら、俺だって答えずにはいられない。
「ああ、俺もだ。俺も、遠坂の事が好きだから」
 桜の事も、ライダーの事もセイバーの事も忘れて、ただ今は思いの丈を口にする。目の前の少女だけを見つめて、その唇を奪って髪に指を埋める。
 『家宝』やら『城』やら、そんな事はどうでも良くて、やっぱり俺は遠坂が遠坂だから彼女の側にいるのだ。
「……先輩ったらヒドイですね。まだ私に入れっぱなしなのにそんな事を言うなんて」
 そんな、溜息混じりの呟きと共に桜が俺の腰から身を起こした、こぽりと淫猥な音とともに、彼女の女淫から、俺の白濁混じりのペニスが引き抜かれる。
 桜はライダーと顔を見合わせて、ニマリと意地の悪い笑顔を浮かべてる。
「仕方ないから先輩の篭絡は諦めますから。だから代わりに政略結婚という事で」
「私とサクラは『姫』を頂きましょう」
「……ふぁぅ……?」
 達し切ったのか、俺の指を引き抜いてくたりと横になっていたセイバーを桜が引き起こしていた。虚ろに呟くセイバーの後ろにはライダーが、背中から抱きついて手を回している。
「悔しいから、沢山いじめちゃいます。覚悟してくださいね?」 
 そう言って桜がセイバーの股間に顔を埋めていく。すぐにちゅぱちゅぱと湿った音が響いて、セイバーが体を震わせてる。
「ひぃや……だめぇ、サクラ……」
「サクラがそう言ってますので、私も及ばずながらお手伝いを」
 クスクスと笑い声を上げてるライダーの顔も、何というかものすごく「ヤる気」の目だった。
 セイバーの顔に手を回して、その唇に吸い付く。同時に、慎ましやかな彼女の胸を白い長い指が這い回る。明らかに手馴れたその熟練の動きに、すぐにスイッチを入れられたのかセイバーの方も積極的にライダーの舌を求め出していた。
 こう、何というか幼く儚げな少女を、女の子と絶世の美女が玩具にしている図というのは、あまりに刺激的だ。
 横目で見てたはずなのに、いつの間にか身を起こして食い入るように見てたらしい。
「士郎? そっちなんかに目を向けないで」
 その声に我に返ると、俺の腕から抜け出ていた遠坂が太もものあたりに跨っていた。不機嫌そうにそう言うと彼女は腕を伸ばして俺の頭を絡めとってしまう。
「士郎は私だけ見てなさい。あげられる物は何でもあげるから、だから士郎も私に全部、頂戴」
 そう言って、遠坂は自分の下腹を使って俺のモノをなで上げる。くちゅくちゅと濡れ切った彼女の女淫はどこまでも柔らかくて。薄めのヘアの、それでも少し硬いしゃりしゃりとした刺激との二重奏ですぐに元気を取り戻させられてしまうあたり、我が事ながら呆れてしまう。
 俺は苦笑を浮かべて手を遠坂の胸に向かって伸ばして……

しゃー、がたっ!

「士郎、ご飯食べにき…………」
 勢い良く襖が開け放たれて姿を表わしたのは、剣道着姿の藤ねぇだった。
 ……俺と遠坂が一糸も纏わず抱きあいながら、舌を絡めて互いの体を貪りあっていて。
 ……桜はうっすらと毛の生えたセイバーの股間に顔埋めながら、火照りきった自分の秘所に貪欲に指走らせてる。ライダーはセイバーの口といわず首筋といわずキスの雨で所有印をつけていて、彼女の体はもうべとべとだった。
 そしてそんな二人の攻めで半ば意識が飛んでしまってるセイバー。
 正に乱交としか言いようのない部屋の中を、藤ねぇはぐるりと見まわして。
 その動きが、止まる。
 俺達の動きも、止まる。
 空気が、音を立てて凍りついた。
 
「な……な……な……何しとるかあんた達は〜〜〜〜?!」
『きゃぁぁぁぁぁあああああぁぁっ?!』

 トラの叫びと皆の悲鳴で……冗談抜きで家が、揺れた。

 オヤジ、未来の事は分からないというけれど。この十秒後に俺がそっちにいく事は多分確定だと思う。

「斬首ヨー! イヤムシロ殺ル殺ル時殺レドモ殺ライデカー! こんな士郎に育てたのは私の責任〜!!!」
「藤ねぇこれには訳が〜!」
「聞く耳もたーん!」
「先生落ちついて! 角はマズイです本気でマズイです!」
「だからと言ってテレビなんかもっとダメ―!」
「うきー!!! そんな素っ裸でしがみついてくるような桜ちゃんも遠坂さんもニセモノよ―!! 皆手討チニイタスー!」

 ごちんっ!
 頭に感じる凄まじい衝撃。
 手当たり次第に物ぶん投げ出した藤ねぇを横目に、俺は意識を手放した。
 ……藤ねぇ、流石に陶器の花瓶は洒落に……ならないから……

 

 

/衛宮の野望・了……?

 


 <後書きという名前の言い訳>

 どうも、こうしてSyunsukeさんに作品をお引き受け頂いたのは三度目になります、丸居 瞬と申します。
 さて、今回のこの訳の分からないSSの製作過程なのですが。
 よくお世話になってるチャットで、ある方が「表情」を「評定」と打ち間違えまして、それを見た瞬間俺の頭になぜか「知行」の二文字が。それで気がついたらチャットでライダー登場までのあたりの台詞のみを書き綴るという無法発動w
 本当はそこで終わらせるつもりだったのですが……なぜか流れでこんなSSを書く事に。
 人間、もうちょっと考えた行動が重要の模様です_| ̄|○
 
 Q,これは誰ENDですか?
 A,誰でしょう?(おい 強いて言えば凛ルートっぽいハーレムエンドという事で。実はイリヤも生きてたり(ぇ

 Q,タイガは加わらないんですか?
 A,加わりません。トラに性は無縁です(キッパリ
 
 Q,で,続きは?
 A,カンベンシテクダサイ。
 
 それでは、また機会があれば他の作品にて。
 最後になりましたが、このような作品を受けとっていただけたSyunsukeさんの心の広さに、海よりも深い感謝を。


 

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©MAR